035
一瞬で空気が緊迫する。前にいたラジノが身構えた。
チャマの表情が、驚きと恐怖で青ざめていた。
フクロウ男の表情は全く読めない、目だけは丸く開いた。
ただ普通よりは、かなりガリガリの体つきだ。
近くでじっくり見るのは初めてだから、ガリガリの体がよく目立つ。
「アモンか?」
「正解」
フクロウ男の悪魔は、頭を深々と上げた。
それは前と後ろのフクロウ頭が、ほぼ同時に答えた。
「ようこそ、我が砦に」
「律儀に挨拶されても、結局俺たちと戦うのだろ」
「『石板の騎士団』は、わしと戦いたいとおっしゃるのなら」
「えっ、戦わないのもアリなの?」
「バカいえ!悪魔なんだから、無理難題を押しつけてくるに決まっているだろ!」
剣を抜いて、ラジノが身構えた。チャマも背丈より大きな杖を構えて警戒する。
それでも、フクロウ頭の表情があまり変わらない。
目を大きく見開いて、嘴が微かに動くだけだ。
何を考えているかわからない相手ほど、厄介なものはない。
「だろうよ、なら悪魔退治だな」
「その前に……」そう言いながら鉄格子の奥にいたフクロウ頭が、セレニエルを指さす。
更には鉄格子の奥から、デモンズウォールがゆっくりと現れた。
息を切らしているのか、足取りが重い。
それが返って恐怖で、セレニエルはデモンズウォールに対して大きな盾を身構えた。
「この子は、君の仲間じゃないか?」
鉄格子内のアモンは、じっと僕を見ていた。
というか、アモンは何匹いるんだ。一匹じゃないのか。
「そういうことか、クソっ!」ラジノが悪態をつく。
チャマはおどおどした表情で、震えていた。
「さて、君らはどういう選択をするのかい?降伏?逃亡?」
アモンは、勝ち誇ったかのように笑い声が聞こえた。もちろん嘴を動かさないで。
「いいや、もう一つ」僕はスマホを見ながら、タッチしていた。
「ラジノ、行けっ!」前衛に配置したラジノは迷わず、目の前のフクロウ男に向かっていった。




