holiday 第九十九話 戻らない
一方でフレックサー。彼は意識がなかった故病室にいたのだがしばらくして意識を取り戻したのだ。
フレックサーはナースコールを押す。出てきたのは医者のフォレスだ。
フォレス「フレックサーさん。目を覚ましましたか?」
フレックサー「なんとかな。良い眠りじゃったが他にここ使うやつおるじゃろ。譲るよ」
フォレス「ちょっと待ってください。あなたはかなりの重症者なんですよ。それに左腕も失ってるし。せめて義手を付けたからじゃないと」。
フレックサー「わしを舐めとるんか?千手のうちの一手失うくらいなんとでもないわ」。「それに地蔵様に装飾だなんて不粋なことはせん」。
フォレス「わかりました。でもせめて包帯は巻かせていただきますよ」。
グチと餡の容体は尋常じゃない代物だった。
1秒が命につながる緊張感が治療室を覆い尽くす。
カイは病室でグチの心配と今までの自分は何をしていたのかを疑問に思っていた。
カイ「なぁトラ。本当にごめんな。嘘か本当かわからないことに巻き込んで」。「いや、ユネルコは本当に母を殺したんだ。そうに違いない。あんな奴、死んで当然なんだ」。
トラ「カイ、やめなって。あいつはやろうと思えば俺たちを殺してた場面なんて死ぬほどあった。だけど生きてるっていうことは君の母さんを殺してないっていうのは残念ながら辻褄は合ってしまう」。
カイ「いやだ。俺の気持ちが茶番になるなんて絶対にいやだ!」
その一室の空気は破れるほどに張り詰めていた。
数日後、カイとトラの扉を叩く者がいた。
カイは警戒をしながら扉を開ける。すると見てたのは車椅子に乗ったグチだったのだ。
トラは何が起こっているか分からずカイは彼をみて心底喜んだ。
カイ「グチ!!」
勢いに乗ってグチを抱きしめる。
グチ「おう。待たせたな」。
トラ「よかった。本当に良かった。」トラもグチを見てほっとした。
グチ「だがな、足に障害を残しちまったんだ」。
カイ「え、嘘」
トラ「やっぱ後遺症は残ったんだ」。
グチ「まぁ嘘だけど」
カイ「嘘なんかい!」トラ「ホント君はヒヤヒヤさせやがる」。
グチ「それでもしばらくの間はリハビリが必要みたいやな」。
カイ「そうなんか。出来ることがあったらなんでも言って」。
グチ「ならお言葉に甘えてコキ使ったるわ笑」。
カイは集中治療室に向かう。そこには餡がいるからだ。ガラス越しに見るカイ。
その餡の姿は何本もの管が繋がれておりいつ目を覚ますかわからない。
というか目を覚ますのかすらわからない。
カイは誓った。
もう二度と身内を失ったり不自由を強いることのないようにもっと強くなるということを。
こうしてグチのリハビリを手伝うことになったトラとカイ。
だが密かに規律違反をした彼らを待っている手が近づいていくのであった。




