holiday 第百話 響き
ホープ・ファミリーの被害はかなり大きかった。
海と天、そしてこの総力戦に向かわなかった者達は負傷者のリハビリや世話、亡くなった者の供養等、さらに任務の引き継ぎなどが行われている。
普段は訓練の指揮官をしている地の一人「ナーガ」と胴体に包帯を纏い復帰したマンティスは主に他のメンバーができなかった任務をこなすというとても訓練ができる状況ではなかった。
食堂の質も低下しほとんどの人間が深い眠りにつくことができない。
マリアはそのような状態の組織を遠くから覗いていた。かに思えた。しかしこんな事態になることを危惧してアジトを一度おいてから拠点でしばらく活動しているのだ。
マリア(畜生。出入りすらしてないのか。おそらく別のアジトか仮拠点にいるわね。アジトはどうなってもいいという覚悟がないと到底できないわ。だがそれも時間の問題。あんな大きいものを置いておくとややこしいことになる。絶対にいつかは戻らないといけないわ)。
(まあ一度柳家に出向かないといけないわね)。
空となったアジトに背を向ける踵を返した。
彼女はすでに復讐鬼から冷徹な工作員へと戻っていたのだ。
しばらくして、グチがついに歩ける程度には回復したのど。
カイ「もう大丈夫なんかい?」。
トラ「なんて回復力。医学でも滅多にないぞ」。
グチ「情熱は論理を超えることもあるっちゅうことや」。
トラ「今じゃそう感じてしまうね」。
三人の背後から声がかかる。
フレックサー「3人とも。ちょっと来てくれんか?」
カイ「組織長!」
トラ「あのー、腕の方は」
フレックサー「あぁこんなもんなくてもワシになんの影響もないわい」。
組織長室に向かう。フレックサーは座り机越しに3人を目で捉える。
フレックサー「多分前から聴いとったと思うが残念ながら昇格を止める程度にペナルティを防ぐことはできなかった」。
フレックサー「これを意味する言葉はわかるかい?」トラ「追放、ですね?」
フレックサー「君たちの体が大丈夫なら荷物をまとめなさい」。
グチ「お前ら。ここで残した未練なんてないよな?」トラ「正直全くないとは言えない。でも悔いは全くないさ。自分の道にまた注ぎ込めるし」。
カイ「あのユネルコの発言にまだ心の整理がしきれていないけど、裏を返せばまだ生きてる可能性があるならそれにしがみつこうかなって思うよ」。
フレックサー「、、、」
。フレックサー「これは老いぼれの独語なんじゃが、カイ、トラ、グチは組織の人間ではなくなる。だが逆を言えばもう一度試験ができる。それをどうするかは彼らの自由ってとこじゃな」。
フレックサーはいかにも独り言のように呟く。それに3人は驚愕した。
グチ「質問なんだけど新人にまたなるってことはまた講習受けないといせないのか?」。
トラ「君は一体何を心配してるんだ?」
フレックサー「しー。これは独り言だから答える義理はないぞ」。
グチ「なんだよ頭の固い爺さんだな。
カイ「グチ。やめときな」。
フレックサー「ただし、もし戻るっちゅうなら自分たちの目先のことを終わらせてからっていうのが条件じゃ」。
フレックサー「そして試験の時に見せてやれ。ここに入るにはどのような力、覚悟が必要っちゅうことをな」。
カイ、グチ、トラ「はい!」
そして3人は拠点を出ようとした。
その時フレックサー「カイ、ちょっと残ってくれんか?」カイ「え?なんでしょうか?」(グチ、トラ、先に行ってて)。
フレックサー「えぇお前のお母さんのことなんじゃが、」
「今生きとるよ」。
カイ「はい?」カイは一瞬フレックサーの言っていることが日本語だとは到底受け入れなかったが確かにそれを耳にいれた。
フレックサー「この体育館にいるそう。」。
カイはこれまでの努力が無駄になったとかいう感情は一切なく、ただ母が生きているということが嬉しくてただただ嬉しくてフレックサーの机を濡らした。
フレックサー「お前の目先のするべきこと、わかっとるな?」
カイ「、、、はい。全うして参ります」。




