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092⚫️飛沫より激しく
ヤリスギの流刑地は、
荒ぶる潮風が岩肌を削るだけの、絶海の孤島であった。
そこに住まう民の助けは、一粒の麦すら期待できない。
王の法令が、慈悲を固く禁じているからだ。
もし、彼に食べ物を恵めば
もし、波打ち際で漁の手助けをすれば
その者には容赦のない厳罰が下る。
さらに恐ろしいことに、その執行を命じられているのは、
他ならぬ島民自身であった。
罰を与える者も、罰を恐れて背を向ける者も、
同じ潮風を浴びて暮らす隣人同士。
「助けたい」という本能的な叫びを、
家族を守らねばという恐怖が喉元で押し潰す。
背負わされた罪の意識と、生存への執着。
その葛藤は、岸壁を叩く波頭の飛沫よりも激しく、
島の人々の魂を削り続けていた。




