表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/62

――管理者報告書No.03――

【記録種別】過去研究の調査報告/個人所感

【提出者】管理者X

【提出時刻】不定(協力者との接触後)


過去について調べてみたら、予想以上に面白い情報が手に入った。

私は考古学者ではない。だから、専門家に直接会って話を聞いてみた――驚いたことに、意外と気が合った。


彼女は、私の研究に協力してくれると言ってくれた。

生涯孤独だと思っていたこの研究に、まさか他者が加わるとは。正直、少しうれしい。


特に興味を引かれたのは「クローシス実験」という研究だった。

簡単に言えば、魔術や錬金術を用いたクローン作成技術の一種。

魔法なんて迷信だと思っていたが、文献を追えば追うほど――本当にあったのかもしれないと思えてくる。


では、なぜ今は失われているのか?

その問いに明確な答えはない。だが、失われた理由より、かつて存在したかもしれない事実の方が重要だ。


この実験は、ナスタ国というかつての大帝国で実施されたという。

不死身の兵士を生み出すため、テレパス能力者を使って、意識・記憶・人格をクローンにコピーする技術を開発したらしい。


死んでも、保存された情報をクローンに上書きすれば、見た目も中身も“同じような存在”が再現される。

それは、確かに“死なない兵士”と言えるかもしれない。


だが、それは本人ではない。

本人は、もうどこにもいない。

記憶や人格のコピーが、どれだけ似ていようと、それはただの模造品に過ぎない。

私が求めている“死の先にある本質”とは、違う。


……とはいえ、これは私の研究にも応用できる可能性がある。

“魂と肉体の乖離”に関する良質な資料になるだろう。


他にも、彼女から興味深い話を聞けた。

死ぬたびに2人に分裂する能力者がいたという。

再生ではなく分裂――それも、能力者ひとりの力で可能だったらしい。


中でも、その分裂体のひとつが「ドラキュラ伯爵の妻」になったという噂まである。

馬鹿げた話だと思っていたが、まったくの無価値というわけでもなさそうだ。

魂の体重測定と同じで、表面的には無意味でも、見方を変えれば有意義な示唆がある。


意外にも、有意義な報告書になった――そう思う。


(了)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ