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第26話 2番線・新快速

 猿渡さんに手を引かれるがまま、名古屋駅の改札口をくぐり、駅内部に入る。……なんだろう駅の駅内部って日本語として変な気がするけど……


 まぁ別に言いたい事は伝わってるしいいよね。


 それにしてもここの駅は 乗り場? ホーム? が物凄く多い、私の街でも多くて乗り場は4個だったけど、ここは13個も乗り場がある。多いね。


「えーっと…何番だっけな…くそ、固まった、なんかここ電波悪いな」


「スクショしないからですよ」


「低速じゃないんだけどな…くそ……動け」


 そう言いながら猿渡さんはスマホを軽く叩いたり振ったりする。


 そんなことしても意味ないのに…と思ったけど、言わない方がいいよね。


 それにしても電波が悪いなんて発想はあの街には無かったな、スマホの通信もギガじゃなくてテラが基本だし、通信が悪かったことなんて一度もなかった。


「あぁ…やっと動いた」


「忘れないうちにスクショした方がいいですよ」


「そうね」


 パシャ パシャ


「よし、これで問題なし」


「そう言えば一応確認なんですけど、猿渡さんのおじさんは…えーっとお父さんのお兄さんなんですよね」


「うんそう。後電車5分で来るから歩きながら話そっか」


「はい」


 そう言うとスマホをしまい私の手を握るとゆっくりと歩き出す、迷子にならないためなのはわかるけど…やっぱり少し恥ずかしい。


 でも駅にはかなりの人が居るけど、誰も私達に視線を向ける人はいないし、そこまで気にすることでもないのかな。


「それで…なんで確認したの? 後階段気をつけて」


「階段ぐらい大丈夫です」


「ごめんごめん、それでなんで」


「その…言っていいのかわからないですけど、お母さん側の親族ってどうしてるのかなって…」


「…………」


 猿渡さんはしばらく無言になりながら、駅の階段を登りきり、白線の内側で電車を待つ。


 やっぱり聞いたらダメな奴だったかな。


「その…ごめんなさい」


「あ、いや違うの怒ってるとかじゃなくて、なんで言えばいいのかな…お母さん側の親族はいないの」


「え?いないって、どう言うことですか」


「東京で独り立ちしてたんだけど、心配で様子を見に来た家族がサリン事件で全員……ね」


「…サリン事件?」


「そう言うテロ事件があったの、地下鉄で毒ガス流して、その毒ガスのせいで能力が暴走したりして、50人ぐらいが死んだ

能力者の能力が暴走しなかったら死者は14人ぐらいで済んだんじゃないかとか言われてたかな」


「……その…ごめんなさい、なんか嫌なことを聞いて」


《……線に電車がまいります、黄色の点字ブロックまでお下がりください》


「別に気にしてない。事件も20年も前だし、親族とは言え私からすれば知らない人。お母さんに会ったこともないしね…でも……」


 その先の言葉を電車の音が掻き消し、耳を塞ぎたくなる音を鳴らしながら電車が止まる。


「すみません、今なんて…」


「ほらもう来たからいくよ」


 手を引かれ電車に乗り込む。


 けど電車内は鮨詰めで人がいっぱい……かと思ったけど、人がいっぱい居るのはドアの周りだけで椅子周辺にはそこまで人がいなかった。


「……え?」


 私は戸惑いながらも、手を引かれながら椅子周辺に移動した。


「……なんでわざわざドアの前に…」


「何が」


「いや、こっちの椅子側ガラガラなのに、なんでわざわざドアの前に集まるんだろって」


「……さあ、おしくらまんじゅうが好きなのかな」


「…………」


「………」


「そ、そんな理由なんですか」


「冗談よ、多分次の駅とかで降りるんじゃない、あと電車内では静かにしてて」


「分かりました」


《ドアが閉まります、か………》


 そうだよね、こっちの世界でも電車の中で喋ったらダメだよね、喋らないようにお口チャックしよう。


 数分のアナウンスの後ドアが閉まり、轟音と共に電車が動き出す。こっちの電車はガタンゴトンと音が少しうるさいや


 よく乗ってる人みんな我慢できるね、慣れてるのかな、それとも気にしてないのかな。


 でも揺れてる感じは遊園地のアトラクションみたいで少し楽しいかも。


「…………」


「…………」


 それにしても…こんなに人がいるのに誰1人ルールを破らない、ドアの前にいる人もあんなにギリギリで苦しそうなのに文句の1つ出してない。まぁ…内心出てそうだけど


 それに電車で座らないなんて初めてかも、基本どの時間でもスカスカだし、なんだか新鮮な気分だ。


 そう言えば…猿渡さんの実家はど田舎だって言ってたけど、ここからだと遠いのかな。いや…絶対遠い。


 もしかして、そんな遠いところまでずっと立たないといけないの。


「あ、あのあの、猿渡さん」


「なに、できれば静かに質問して」


「…その……実家ってどれぐらいかかるんですか」


「えっと…2時間ぐらい」


「………」


 嘘でしょ…あと2時間も立ちっぱなし、そんなの無理ですよ、いや案外試してみたらいけるかも……いや無理だこれ。


 もうすでに足プルプル震えてる。そもそも今日あちこち行って戦った後で若干疲れてるしなぁ


 この状態で2時間なんて私の足壊れちゃうよ。


 いや落ち着け私、なんだかんだで運動してるし、スマホを見ながらだったら、2時間ぐらい余裕だって、うん…余裕…余裕だって


「……………」


 あれ?


「…………あ」


 そうじゃん今私スマホないじゃん、管理人さんに没収されてるじゃん!!


 え! 待って待って待って 無理無理無理 マジで無理だって、え?は!?2時間立ちっぱ?しかもスマホもなし!!


 何すればいいの、風景でも見ればいいの、こんな真っ暗で何も見えない風景を?


 あぁ〜もうやだ帰りたくなってきた。


「……ん?」


 電車に絶望しながら気晴らしに窓を見てると、窓の外を雷のような光が通り過ぎた、見間違いとは思えなかったけど、電車の中の人達は何事もなかったみたいにスマホを見てる。


 こんなに人がいて私以外気づかないことなんてないだろうし…見間違いかな。疲れてるもんね。


「う、あれ」

「なんだ…スマホが」

「あ!?」


 なんだろう電車の中が突然騒がしくなった。


「あれ?またスマホが止まった」


「ダメですよ猿渡さん、電車で喋っちゃ…」


「ごめん、だけど突然スマホが…って」


 スマホから視線を離し、私達があたりを見渡すと、電車に乗る人全員のスマホに不具合が起き、操作ができないみたいだった。


 さっきまで静かだった車内が、少しだけ騒がしくなった。


 この状況はこの世界を知らない私でもわかる、何か異常なことが起こってる。


「これって…どう言う」


「さ、さあ」

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