――管理者報告書No.26――
【記録種別】文化設計記録/宗教否定方針
【提出者】管理者X
【提出時刻】D-タウン第1期住民教育準備段階
この世には、猫耳や尻尾を持った者、
サキュバスや吸血鬼と呼ばれる存在など、
他の生物の特徴を併せ持つ“人間”がいる。
呼び名は時代によって変わる。
異種族、多種族、あるいは――“亜人”。
私は古い人間だから、つい「亜人」と呼んでしまうが、
今の時代ではそれは“差別的用語”らしい。
……まぁ、呼び名などどうでもいい。
私が問題にしたいのは、彼らの“ルーツ”だ。
人類は猿から進化した。
では、猫人間は?
サキュバスは?
龍に似た者たちは?
彼らは、いったい何から進化したのか?
未だに、どの研究者も明確な答えを出せていない。
ただ、有力な仮説が一つある。
かつて「スカルキング」と呼ばれた存在が、
魔物を生み出した。
その魔物たちが人間と交わり、あるいは独自に進化を遂げ、
今の“亜人”に至ったという説だ。
確かに筋が通っている。
ではなぜ今、魔物は存在せず、亜人だけが残っているのか?
答えは、淘汰と進化だ。
魔物たちは劣った存在として自然に消え、
生き残るために人類に近づいた者たちだけが残った。
空を飛び、火を吐く龍よりも、
なぜ亜人は“人類的”な姿を選んだのか?
理由は――知識だ。
肉体の進化には限界がある。
だが、知識による進化には上限がない。
人間と亜人は、知識を得ることで、魔王や龍に勝った。
だから私は断言する。
知識を否定する宗教的価値観など、我が街には不要だ。
宗教とは、ひとつの答えを押し付け、他を否定する。
それは、進化の可能性を奪う行為だ。
我々が必要とするのは、**“一つの真理”ではなく、“無限の知識”**だ。
だから私は、図書館と博物館を作った。
あらゆる知識を集めた。
難解な学術書、専門書、
そして、漫画、小説、ライトノベル、エロ漫画
博物館も図書館同様に多種多様な展示を設置した、もちろん遊び場も置いてある。
小難しい理論だけでは、思考は偏る。
現実逃避用の情報も必要だ。
……所詮、小説や漫画とはその程度の価値だ。
だが、役には立つ。
だから私は、全てを集める。
この街では、知識こそが生存の鍵なのだから。
(了)




