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Dータウン・ライアー 〜〜ようこそ死者の街へ〜〜  作者: 神川 真琴
E-3編 もしも私が街を出なかったら
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E-3編-4 衣替え

〜〜知恵の塔・管理人室前〜〜


 D-タウンの中心には街の管理や技術開発を目的にしている区画がある。そんな区画の中で1番高く1番目立つビルがこの知恵の塔と呼ばれている場所だ。


 その知恵の塔に管理人さんの研究室がある。


「ここが…管理人さんの部屋か」


 扉の前で私は一呼吸する。


 なんだか緊張してきた。そもそも管理人さんって、私なんかが気軽に会っていい相手じゃない気がする。服装だって、いつものやつだし……


 もう少しちゃんとした…何だろうドレス? いやそれはないなスーツとか、いやいやそれは硬すぎるかな。


「……なんで今頃になって服装が場違いなんて思うかな、朝思ってよ私」


 今からでも変えたほうがいいかな、お手洗いどこだろうと考えていると目の前のドアが突然開き、中から


「何をしているのかな、早く入りたまえ」


 と言う管理人さんの声が聞こえてきた。


 もしかしてドアの前でモジモジしてたの見られてたかな、何だろう…物凄く恥ずかしい。


「し、失礼します」


 真っ赤になった顔を冷やすように手で仰ぎながら、部屋の中に入ると、部屋の中は静かで、外の塔とは空気の重さまで違う気がした。


 木の匂いと、少し甘いような変な香りが混ざり、そしてイメージとは違う研究室が目に入り私は口をボカーンと開いた。


 研究室の真ん中には巨大な木が植えられており、その木の枝に普段の服とは違い、白い布を体に巻きつけた格好の管理人さんが座っていた。


 なんて言うんだっけなあれ、トーガって言うんだっけなあの格好、神様が来てるイメージがある服。


「驚いたかな」


 そう言いながら読んでいた「面白くなれる会話術」の本を閉じると枝から飛び降り、床に着地した。


「え、えーっと…その……」


 いつも見ている姿と全然違う、いつも被ってる狐面もオレンジの可愛い感じじゃなくて、お寺とかで置いてそうな白い狐面だし…


 いつも付けてる金の腕時計もつけてない、普段と全然違う。これ本当に管理人さんだよね。


 え、私間違った部屋入ってないよね。


「か、管理人…さん…ですよね」


「もちろんだよ、私は正真正銘管理人だよ」


 声は同じだし、背格好も同じなんだけど……何だその格好、もしかして普段着それなの、だとしたらダサすぎない。


「え、えーっと…その……その格好は……」


「あぁ〜これかい、イメチェンしたんだよ」


「イメ…チェン?」


「いやね、誰とは言わないが前までの私の格好が冗談だと言う物が居てね、誰とは言わないが」


 絶対私のことだこれ、多分これ図書館での会話全部聞かれてるよ。


「神様ぽくないとか、変な動物の仮面をつけてるなど言われていてね」


 変な動物の仮面は今もつけてるじゃん。


「思い切って神様ぽい格好にしてみたんだ、トガ、もしくはトーガと呼ばれる格好でね、古代ローマで着用されていた物だよ

映画だとテルマエ・ロマエで使われていたことで有名かな」


 トーガで合ってた、と言うか真冬に着る服じゃないでしょそれ、今12月ですよ。12月も終わる時期にほぼ布みたいな格好するって…頭おかしいんじゃないの。


「前の格好に色々文句がありそうな君に感想を求めたい、どうだいこの格好」


「え、その…」


 これ正直に言っていいの、正直に言ったら似合ってないしクソダサいし、馬鹿みたいな格好してるって言うけど、流石にそんなこと言ったら失礼どころの騒ぎじゃないよね。


 でもここでつっこまなかったら、この人この先ずっとこの格好で居るんじゃない、だったら…傷つけないように素直に言ったほうがいいよね。


「その……に、似合ってますよ(似合ってねぇーよ)似合ってますよ(その格好似合う人あんまり居ないって)似合ってるんですけど…

その…前の格好の方が好き(マシ)です」


「そうか、君は言葉選びが上手だな、クローシスに見せたら死ねと言われたよ」


 それは言い過ぎだって気持ちはわかるけど。


「イブには寒くないですかと言われマフラーを貰ったよ」


 だったら私に聞く前にその格好着るのやめたらいいじゃん。


「まあ彼女達は少し一般的な感覚から外れているから、一般的な感覚をしている君の意見が聞きたかったのだが…うむ前の方がいいか…そうか……」


 さりげなく自分は一般的って言ったなこの人、あの3人の中だったら貴方が1番一般的な感覚から外れてますよ。


「もったいないがパジャマにするか」


 パジャマにするんだそれ。


「さて、君の時間を使っているわけだし、本題に入ろうか、アーティカル椅子を用意したまえ」


《承知いたしました》


 どこからかそんな音声が聞こえたかと思うと、床から椅子と机が突然生えてきた。


「お茶も用意するよ、いや…お茶よりオレンジジュースとかコーラがいいかな、好きな物を言いたまえ」


「え、それならメロンジュースを」


「少し椅子に座って待っていなさい」


 私は指示通りゆっくりと椅子に座ると、管理人さんは後ろの大きな木に近づき、その木に触れると木からタブレットのような物が現れた。


「え?」


「えーっと…どのアプリだっけな、そうだこれだこれだ」


 そう言いながらそのタブレットを操作すると、木に突然穴が空き、その穴から2つのコップとメロンジュースとお茶のペットボトルが現れた。


 管理人さんはそれに軽く触れると、コップなどがひとりでに動き始め、勝手に机の上に乗り、ひとりでにコップにジュースとお茶を注いだ。


「…………」


「さあゆっくりお話ししようか」

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