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第12話 図書館・地下室

  ──ダイバー大図書館・データエリア──


 とてもとても大きな図書館の地下には、重たい本を持ち歩きたくない人のための電子書籍エリアがある。


 ここにはタブレット、椅子、細かく検索するためのパソコンがずらっと大量に並んでいる。


 だけどあと30分近くで図書館の閉館時間だからか人はいない。まぁ…このエリアどころか図書館じたい閉館時間関係なく人いないんだけどね……


「博物館といいここといい、なんで施設は立派なのに人がいないのよ」


「うーん…新しいものが無いからかな?」


「……それもあるけど、単に広いからその分人と出会わないだけよ……」


 ラフェットさんは目の前のパソコンを淡々と操作しながら来場者記録を確認する。


「でもなんで地下にあるの? わざわざ図書館に来てまで電子書籍とは思うけど、それなりに需要あるでしょ、普通に本ある場所と同じ階にすればいいじゃない」


「うーん…なんか聞いた話だと、本をデータとしても残しておきたかったらしくて」


「うんうん」


「で、ここにある本を全部データにしたけど」


「待って?ここにある本全部をデータ化したの」


「話が逸れるから一旦飲み込んでもろて…」


「いや飲み込めって言ったって…あの量の本よどうやったらデータ化できんのよ」


「そりゃ…頑張ったんじゃない」


「……頑張ったんでしょ……」


 猿渡さんは口を開けたまま、ゆっくりうなずいた、何と言うか物凄く納得してない感じがする。


「そ、そっか…そっ……か…うん、頑張ったんだ…うん」


 ……飲み込めって言ったけど、猿渡さん全然飲み込めてないって顔してる。間違いなく納得してない。


「それでせっかくデータ化したし、何か有効活用しようとして、電子書籍エリアを作ることにしたらしいんだけど……」


「……そもそも作れるスペースが地下ぐらいしかなかったのよ、それで地下スペースに作ったの……」


「なるほど。で 地下に作ったら作ったで誰も来ないわけか」


「そもそもダウンロードしようと思えば家でも出来るし、わざわざここに来てまで見る人は居ないよ」


「え?家で…ダウンロードできるの、え…じゃあこの部屋…何の意味があるの」


「何だろうね…」


「……だねぇ〜……」


「え、ごめんなんか怖くなって来た、この部屋何!? 何の意味があるのこの部屋、なんで無駄にこんなに広いの」


「なんでだろうね」


「……さあ、にしても…見つからないわね、来場者記録に載ってないのを見ると、図書館には来てないようね……」


 そっか…


 昨日から色んなところに行ってるけど、未だ手がかりはなし、こうなったら市役所に行くぐらいしかないけど


 それは猿渡さんの事が管理人さんにバレちゃうから無理だから、別の方法を考えないといけないけど…


 全然思いつかないや。どうしよう


「図書館には来てないのね」


「………」


「……ねぇ、そもそもあなたの親は本当に死んでいるの……」


 一瞬周囲の空気が止まった気がした。


 それと同時に、拳を握りしめるようなギシギシという音がして、私は猿渡さんを見た。


「………どう言う意味それ」


 猿渡さんの声が今までにないぐらい低く変わり、気持ちを落ち着かせるためか呼吸音が聞こえるぐらい大きくなった。


「その…猿渡さん」


「……そのままの意味よ最初から死んでないんじゃないかしら……」


「え…えーっとラフェットさん、それって猿渡さんのおじさん?が嘘をついたって事?」


 パソコンのファンの音だけが、聞こえるほどの静寂が広がり、その静寂を壊すように猿渡さんが一呼吸おいて口を開いた。


「わざわざ この私に そんな 嘘を つく理由があるの?」


「……そうでなければ説明がつかない。それに親が子供に嘘をつくのはよくあることじゃないの……」


 そんな事は…あるのかな? 親が居ないから嘘だなんて断言できないけど……流石にこの嘘はないよ。


「そんな こと あるわけないじゃない」


 猿渡さんの瞼がぐっと上がった。


 奥歯のあたりから、ぎしぎしと音がなり、全身から殺気のようなものが感じとれる。


 こ、これは…もしかしてと言うか確実に…


 キレてる。


「あ、あの さ、猿渡…さん」


 一生懸命に猿渡さんを止める言葉を探したが、それを見つけ出すよりも前に猿渡さんが口を開いた。


「もう一度言ってみなさい その言葉 おじさんが嘘ついてるって」


「……可能性としてあり得ない話じゃないわ、貴方もゼロだと言えるの、嘘なんてつかないと言う確証はどこにあるの……」


「それは…」


「……確証もないのにどうしてそんなに信じられるか…私にはわからないわね……」


「永遠にわからないわね、家族がいない貴方には」


「…………………」


「………」


「あ…あの……2人とも……」


 2人の間にバチバチと火花というか電気のような物が散ってるように見えるほど、激しく睨み合っている。


 猿渡さんの能力だろうか、周囲の物がふわふわと浮いてる、なんなら全部の髪が静電気実験みたいに逆立ってる。


 めちゃ怒ってる、バチギレしとる。顔真っ赤。おメメバチ開き。


「す、少し落ち着いて、深呼吸呼吸 6秒待ってアンガーマネジメント 喧嘩したらダメだよ」


「喧嘩なんてしてないわよ。これはただの口論」


「……そうね、口論ですらないわね、私はただ事実を羅列しているだけにすぎない……」


「事実? 面白い事を言うわね ただの妄想でしょ」


「……哀れね、そうやって事実から目を背け、無駄な事に時間を使うなど、なんたる愚の骨頂……」


 ラフェットさんは睨みつけるように猿渡さんを見つめ目を離さない。


「無駄な事?」


「……無駄でしょう、わざわざ4時間かけて誰もいない墓に行かされた挙句、行かされた理由は根拠のない親の嘘だなんて…馬鹿馬鹿しいにも程がある……」


 猿渡さんのこめかみに漫画みたいな怒りマークが浮かび。その怒りを解き放つように近くのモニターを能力で手元に引き寄せると


 そのモニターでラフェットさんに殴り掛かろうとする。


「ちょっと!!それはダメだって、そんなんで殴ったら怪我じゃ済まないって」


 猿渡さんの体に抱きつき全力で止める。


「どきなさいライリー」


「猿渡さん落ち着いて、ラフェットさんは謝って」


「……面白い事を言うわねライリー、私は悪くないでしょ、謝るべきはそこの嘘を嘘だと見抜けない愚か者を止めなさい……」


 何言ってるのラフェットさん、こんな時に火に油を注ぐような事言わないでよ。


「愚か者? さっきから 冗談 1つ 1つ がつまんないわね その髪一本一本剥いでやろうか」


「だから喧嘩はダメだって、落ち着いて、ひひふーひひふー」


「別にいいんじゃない、あんたら死んでも何食わぬ顔で戻ってくるんでしょ、だったら一回死んで頭冷やせば」


「そうだけど、そうなんだけどダメだって!!」


 カン!! カン!!


「ん?」


「何この音」


 カン と言う音と共に施設内の電気が消えていき、5回目のカンと言う音で今いる地下室の電気が消えた。


「暗っっっっ!!」


「滅茶苦茶真っ暗」


 図書館全部の電気が消え、図書館ないは全く光のない手元すら見えない暗闇に変わる。


「どう…言うこと?何でいきなり電気が消えたのよ」


「もしかして、閉館時間が来たのかな」


「……まだ30分近くあるはずよ、それに閉館の時は事前にアナウンスされるはずよ……」


「そう…だよね」


 右腕を軽く触り光る腕時計を作成して時間を確認する 時間は5時38分 閉館時間までは後22分あるはず…


「あるぇ〜全然時間ある」


「まさか停電、なんか意外ね…この街ハイテクなのに」


「……この街で過去一度たりとも停電は起こった事ないし起こることは無いわ……」


「ならこれは何ちんちくりん」


「猿渡さん喧嘩してる場合じゃないよ、もし起こるはずのない停電なら異常事だ…」


 ザーザー


「!!」


「……!!……」


「うわぁ!!びっくりした」


 スピーカーから壊れたラジオのようなホワイトノイズが鳴り響く。


「え?何この音…」


『〜〜テン テン テテテテン〜〜』


 ノイズ音が鳴り響いていたと思うと突然陽気な音楽が鳴り始めた。


「なに…この音楽」


『The itsy-bitsy spider climbed up the water spout』

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