第11話 バス停
〜〜〜〜〜バス停〜〜〜〜〜
ここは墓がある山の中から少し離れたところにあるバス停、みんな墓には興味がないようで墓周辺には何もない。
土と草の匂いが濃くて、息を吸うだけで肺がひんやりする。
ここのバスも2時間に1本くるぐらい、周りには自然豊かな環境とそれを維持するためのロボットしかない。
今も私の前をドローンが通り過ぎた、昔から変わらないなここ…まぁ昔って言っても最後に来たの2年前だけどね。
「にしても…のどかで…田舎だねここ」
「………そうね呆れるほど田舎………」
「だねぇ〜」
「……………………………」
「………」
「え?」
猿渡さんは若干引き気味で目の前を通り過ぎたドローンを目で追いかける。
「……………………………」
「…………」
「……………………………」
「……田舎すぎて、特に話すことないね」
「………そうね…何も面白味もない………」
「次ドローンが来るの何秒後か当てるクイズする」
「いや…田舎なめんなお前ら」
猿渡さんは周囲を見回して、目を細めた。
空飛ぶドローン、無人のトラクター、黙々と働くロボット。なんだ良くある風景じゃないか。
「……普通じゃんみたいな顔やめなさい、これ全部、田舎のテンプレって言い張る気?」
そう言いながら呆れ顔で額を押さえた。
ツッコミたいことが多すぎて、どこからツッコミを入れればいいのかわからないって顔をしている。
「ど、どったの猿渡さん」
「いやいや、面白みのないって正気、こんなツッコミどころいっぱいあるのに?」
「どこに?空飛ぶドローンに運搬ロボットに自動操縦のトラクター…よくある田舎じゃん」
「そんなわけないじゃん、これが田舎!?」
「………はぁ…何を言っているのあなた、どこからどう見ても田舎じゃない………」
「ドローンが鳥みたいに田んぼ飛び回ってる田舎がどこにあんのよ」
「どこって…目の前?」
「………そうよ、よくある田舎の風景じゃない………」
「どこがよ、田舎ってのはテレビもラジオも無くて、車もそれほど走ってないもんでしょ」
「あ、吉幾三だ懐かし、少し前に街で見たよ」
「まだ存命でしょうが」
「………貴方の言う田舎の定義がそれならここは田舎ね、テレビもラジオも車もないし………」
「でもバスは1日15本でるよ」
「そう言う話じゃないの、私が言いたいのはなんで畑にドローンがあるのよ」
ブーン と再びドローンが私達の目の前を横切る。なんの気無しに手を振るとドローンがそれに反応してくるりと空中で一回転した。
「猿渡さんあれは農業用ドローンだよ」
「農業用ドローン?死者の国に?」
ドローンのカメラとかセンサーを使って、空から作物の生育や土の状態を撮影して分析している…らしい、あと農薬撒いたりするみたい。
具体的なことは知らないけど、大体こんな感じらしい。
「食べ物が必要だけど、誰も農業なんてやりたく無いしね」
「そう?農業って意外に楽しいものよ」
「楽しい?あ、そっか猿渡さんって農家の人だもんね」
「まぁ…私たまにしか手伝ってないから、ガチでやると面倒いんだろうけど、にしても…幽霊でもお腹が空くのね」
「そりゃ…すくよ。昨日映画行った時に食べたし、お昼ご飯も一緒に食べたじゃん」
「そうだけど…そうなんだけど」
「………存在している以上、何かを消費するものよ、それに外の世界にはお供え物があるじゃない………」
「た、確かに…お供え物が必要ってことは幽霊もお腹すくのか」
お供え物ってなに?
「でもあんなの大した量じゃないでしょ」
「……だからこうやって大量生産してるのよ……」
「ここ死者の街…よね」
「やっぱイメージと違う?」
「こう…賽の河原とか血の池とか十字架とか、そう言うのが一切ないし、道路も舗装されてるし…」
「そりゃ…舗装されてなかったら歩きづらいじゃん」
「それはそうだけど…死者の街よねここ。現代科学を超える技術のオンパレードじゃない」
「………あのね、普通に考えなさい、色んな発明家が死んでここにくるのよ、その発明家が揃いも揃って何もしないわけがないじゃない………」
「え?そう言う理由なの」
「確かに… 雷華ちゃんも100mから着地出来るか挑戦してたし、科学者も同じ感じで危険なことにも挑戦し放題なのか」
「待って後ろの文章より前の文章が凄い気になるんだけど」
「前の文章って?」
「その"らいかちゃん"って子、何を思って飛び込み自殺したの、とち狂いすぎでしょ」
「猫の亜人だから猫ちゃんみたいに高いところから落ちても着地できると思ったみたいで…」
「猫でも7mから落ちたら死ぬでしょ」
私と全く同じこと言ってる。
「発展してる理由は納得するけど、こんな超科学してるのに戦争とか起きてないのね」
「……国で戦争しようとしてる奴を入国させる王は居ない……」
「それも…そうね、なんと言うかこの街いると頭が痛くなりそう、と言うか痛い」
「そろそろバス来るし、図書館の前にコンビニとか寄ろうか?」
「もういいよ。これ病気的な痛みじゃなくて精神的な物だろうし」
プップー と陽気な音を鳴らしながらバスが到着する。




