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視点こーたい

金髪碧眼の男

↓

伊吹

↓

第三者視点

↓

アベル



(これは、蓮華草か…花言葉は心を和らげる。成る程…この場所に相応しいな)


暖かい日差しが当たるこの階段によく合っているし、この学園の名前が花京院だからそれぞれの花にかけたのだろう。

遊び心もあって楽しい建物だな…

と、建物に見惚れていると漸く足元の近くに小動物が寝ていることに気が付いた。


「この子は…」


携帯を取り出し、金髪碧眼の男は何処かに電話した。


「はい…はい、分かりました。」


ピッと携帯を切り、目の前で眠っている南雲友希に着ていたジャケットを掛け、その胸元に驚いた金髪碧眼の男。

南雲友希の胸元は伊吹のせいで白の下着が丸見えになっていたのだ。

ジャケットを南雲友希の胸元を隠すように掛け直し、保健室で寝かそうと抱き上げた。




*****




「あれ、伊吹どこに行ってたの?桜ちゃんが伊吹の話聞きたいって言ってたよ。」

「もう、皐月くんったら、桜ちゃんじゃなくて桃華でいいって言ってるのに」

「ほらほら、伊吹もこっちにおいでよ」


教室に入ると、仲良く1つの机を2人で使って楽しそうに話をしている桜と皐月が目に入った。

つい先程まで桜ちゃんと仲良くなりたいと思っていたのに、どうしてだか桜ちゃんよりも先程の南雲が頭をチラつかせて離れない。

あの怒りに目を染めた南雲の顔に、俺のジャケットを捨てる際の勇ましさ。

脳裏に焼きつく…。

それに、俺の甘えが効かないなんて…屈辱だ。


「伊吹、ジャケットどうしたの?」

「捨てた。」

「ちょっと何処いくの?」


俺は種を翻し、皐月の言葉に返答する間もなく先程までいた渡り廊下に向かって走った。


走って行くと暖かいガラス張りの廊下に出て、南雲を抱き抱えた一条(いちじょう) 夏樹(なつき)先輩に出会った。


(アレは…一条財閥の跡取り息子。どうして一条財閥の跡取り息子が南雲を…)


一条財閥…世界有数の建築を手掛けている。

また、アートにも凝っていて、まだまだ上に上り詰めるであろう財閥企業だ。


そんな一条夏樹は何故か南雲の閉じた目を見つめて微笑んでいた。

俺はその微笑みに首を傾げそうになったが、どうしようもなく通り過ぎるしか無かった。通り過ぎる際に、一条夏樹が聞こえるぐらいの音量でボソッと耳打ちした。


「この子に手を出したのは君かな。…許さないよ。」


時間が止まった気がした。或いは時間が遅くなった気がした。

俺は急いで振り返り、笑顔を崩さないまま、此方を振り向かないまま、一条夏樹の姿が小さくなって行くまで、その場を動けなかった。





*****





「先生!!!どうした事だろう…眠り姫が目を覚まさない。これは何かの病気なのだろうか…だとしたら、やはり王子のベーゼで目を覚まさせるしかないのか…」

「はいはい、もういーよ帰って帰って」

南雲友希の顎を掴みキスをしようとする一条夏樹を手で遮って、保健室から追い出そうとするアベル。


「先生!この子は助かるのだろうか!?」

「うんうん、もう少ししたら起きると思うから。うるさいから帰って帰って」


真剣な一条夏樹を相槌であしらいながら舌打ちをするアベル。


「本当か!?先生!なら僕は側で手を握っていてもいいだろうか??」

「必要無い」


ピシャリと保健室のドアを閉め鍵を掛けるアベルに「何故鍵まで掛ける必要があるのだ!?せんせぇー!」と泣き叫んでいる。


そこでアベルは思った。こいつ、阿呆だ…と。



ユキが目を覚ましたのは夕方だった。空は暁色に染まり、もう学校の生徒が下校した時刻だ。

保健室のベッドが居心地良かった為か深い眠りに入っていたと思われる。


人の気も知らないで、整った吐息を漏らすユキに近付き、跨って顔を近付けて見る。上質なベッドなので、人1人が軽く乗っただけではギシッとした音は響かず、布の擦れ合う音が静かな保健室には大きく響いた。

今、ここで誰かに見つかったら…クビかな?

と、自嘲気味に笑ってユキを見据える目は鋭かったと思う。

が、ユキの寝顔を見て今度は声を上げて笑った。


優しくふにゃっとした笑みを、キスの一つでも奪おうとした俺に見せたのだ。


「俺はそんなに安心できる存在か…」


思えばユキと出会ったのは、まだユキが幼少の頃だった。

俺は大学を飛び級で卒業し、割に良い世話係という仕事に就いた。

これがユキとの出会いのキッカケだ。

まさか、5歳児に教育係が就くなんて初めは驚いたものだ。

俺はそこまで裕福な家庭で生まれ育たなくて、学校などは全て奨学金で通っていた。遊ぶ金など一銭も無く、親は親で金遣いの荒い人だったので、成人してからは連絡も取ってない。

って、そんな事はどうでもいいか。


任された仕事はやり抜こうと引き締めて、部屋に入った時だ。うん。

絶句。

その時のユキは宝石を集める事が楽しかったようで、ルビー、ダイヤ、真珠、サファイア、アレキサンドライトなどが部屋一面に散らばっていた。


「お嬢様。これはどうされたのですか?」

「もう飽きた。勉強をしないで遊んでいいなら、この宝石全部あげる。」


一丁前に足を組んで、宝石を投げ付ける5歳児の言った事は正直言って、とても魅力的な交渉だったのだが、俺は断った。

俺が答えを間違ったら、ユキの瞳が今にも泣きそうだったから。


「変な人…」


それだけ言って、ユキは真面目に机に向かった。

今の俺の収入は顎が外れる程笑いたくなる位までになったのだが、未だにユキから離れられないのは、ユキがあの時に見せた安心した様な綺麗な笑みに、優しく綱がれたまま抜け出せないで居るからだろうーーーーーー。




アベル視点をいれてみちゃいました。アウトでしょうか…?心配です(^_^;)


ユキが見せた安心した様な綺麗な笑みは、「変な人…」と言ったときです。

自然な笑みって結構キますよね。


破れたシャツを追求したくても、ユキの揺れる瞳にどうにも弱いアベルは、それ以上追求することが出来ませんでした。


追求は出来ないので、調べることぐらいはするでしょうね。

こう見えて、機械弄りが得意なアベルです。


手は…出せていませんね。お恥ずかしい。手が早そうな顔をしてるのに←

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