第64章:ヌメシア市対抗大会
「わああ、すごく広いね」と、彼らは広くて賑やかな場所に到着すると言った。
「十校からそれぞれ十人ずつ参加するなら、全部で百人ってことだよね?」とファッタは言った。
「そうとは限らないよ。一番街と四番街はもう滅んでいるんだから、学校は八校だけのはずだよね?」とサイは言った。
「じゃあ、八十人ってことか?」とルイスは言った。
「本当にここにいる全員と競い合うのか?」とハリーは言った。
「ああ、どうして僕たちだけ十人で置いていかれなきゃいけないんだ?」とルーカスは言った。
「ソフィアさんとラジ兄さん、それにレオンさんは、僕たちの参加者データを手続きしているんだ」とライアンは答えた。
「問題は、僕がみんなの面倒を見る責任を負っていることなんだよ」とルーカスは言った。
「お前はクラス委員長だろ。それに、ここにいる中で一番年上でもあるし」とハリーは言った。
「僕たちはみんな、数か月しか年が違わないだろ」とルーカスは言った。
「ところで、僕たちは彼らと公平に競い合えるのかな? ゴールド・オーガニゼーションのメンバーは、頭がよくて身体能力も優れていることで有名じゃないか」とルイスは言った。
「参加する人たちだって、決して侮れないよ。知力を競う大会で、そんな簡単に負けるような人たちじゃない」とイワンは言った。
「体力を競う大会でも同じだし、もし戦闘があるとしても、相手が僕たちの思っているほど弱いとは限らない」と彼は言った。
「君たち二人はスクール・ファイブの生徒だよね? どうして君たちの学校は参加しないの?」とハリーは言った。
「そうだよね。スクール・ファイブは、ゴールド・オーガニゼーション・アカデミーを除けば、五番街で一番優秀な学校じゃないか」とファッタは言った。
「僕たちの学校は参加することをためらっているんだ。あそこの生徒は、平均的に見ると身体能力よりも頭脳を使うほうだからね。それだけでは、この大会には足りないんだ」とルイスは答えた。
「どうやってそこに通っているんだ? 学費が高いだろ」とニコは言った。
「彼女は優秀な生徒向けの奨学金を取ったんだ」とルイスはミシェルを指して言った。
「僕は普通に学費を払っているけどね」とルイスは言った。
「君の両親はお金持ちなんだね?」とニコは言った。
「ちょ、ちょっと待て」とルーカスは近づき、ルイスの前に立っていたニコとディオンの肩をつかんだ。
「まさか、君はナッシュさんの息子なのか?!」とルーカスは驚いて言った。
「そうだよ」とルイスは言った。
「さっきからそんな気がしていたけど、やっぱり僕の予想は当たっていたんだな」とルーカスは言った。
「えっ? 君はナッシュさんとカヤさんの息子なのか?」とニコは驚いて言った。
「二人は五番街で一番のお金持ちだぞ」とディオンは言った。
「君は本当に幸運だな」とハリーは言った。
「みんな、大げさだよ」とルイスは恥ずかしそうに言った。
「こんにちは、少しいいかな」と、四人が後ろから彼らに近づいてきた。
全員が振り返り、声をかけてきた相手を見た。一番前には男子生徒が立っていた。その後ろには男子生徒が二人と女子生徒が一人いた。彼らの表情は、相手を見下しているようだった。
「何か用か?」とルーカスは警戒しながら言った。
「君たちはゴールド・オーガニゼーション・アカデミーの生徒だよね?」とその男子生徒は言った。
「そうだ」とルーカスは答えた。
「初めまして、僕はアルロだ」と彼は言い、手を差し出した。
「ルーカスだ」とルーカスは握手した。
「こっちは同じチームの仲間だ。ユジンとコウジだよ」とアルロは言った。二人は彼らに微笑みかけた。
「そして、彼女はララだ」とアルロはその女子生徒を指して言った。彼女は手を振った。
「僕たちは君たちと同じ街のワン・シティ・ファイブ・スクールズから来たんだ。よろしく」とアルロは言った。
「こちらこそ、よろしく」とサイは親しげに言った。一方、ルイスとミシェルを除く仲間たちは、彼らに対して不快そうな顔をしていた。
「同じ街の出身なんだから、お互いに頑張って、正々堂々と競い合おう」とアルロは言った。
「どんな結果になっても、怒らないでくれよ」と彼は言った。
「あいつ、本当に親しくなろうとして声をかけてきたわけじゃないよ」とハリーはルーカスに小声で言った。
「あいつら、自慢しているみたいだな。そんなにすごいのか?」とルーカスは言った。
「応援ありがとう」とイワンは笑顔を作ろうとしながら言った。
「僕たちは負けないよ。五番街とゴールド・オーガニゼーション・アカデミーの名に懸けてね」とライアンは無理に笑顔を浮かべて言った。
「君たちはとてもやる気があるんだね」とアルロは言った。
「実は、僕たちにはいくつか用事があるんだ」とルーカスは言った。
「ここであまり時間を無駄にできないから、もう行くよ」と彼は言った。
「どうぞ。また会おうね」とアルロは言った。
「ああ、大会で会おう」とルーカスは言い、全員を連れて立ち去った。サイ、ルイス、ミシェルだけがその場に残った。
三人は立ち去っていく仲間たちを見た。
「僕たち、何か用事があったっけ?」とサイは言った。
「こんにちは。僕たちも自己紹介していいかな?」とアルロは言った。
三人は振り向いた。「もちろん。僕はサイだよ」とサイは言った。
「僕はルイス」とルイスは言った。
「ミシェル」とミシェルは言った。
「えっ?」二人はすぐにミシェルをちらりと見た。
(偽名かな?)と二人は思った。
(自分の性別を、誰にでも簡単に明かすつもりはない)とミシェルは思い、二人をちらりと見返した。
「ところで、ゴールド・オーガニゼーション・アカデミーには、生徒が八人いて、最近入った女子生徒が一人いるだけだと聞いたんだけど」とユジンは言った。
「その女子生徒は参加していないみたいだね。どうやって残りの二人を集めたんだい?」とコウジは言った。
「僕が友達を誘ったんだ。ほかのみんなより二歳年下だけどね」とサイは言った。
「問題ないよ。ここには年齢制限がないからね。十歳より上で、十五歳より下なら参加できるんだ」とアルロは言った。
「それに、ちょうど彼女も君たちと同じくらいの年齢みたいだね」とアルロは、ルイスに微笑みかけているララを指して言った。ルイスはぎこちない様子だった。
「ところで、君たちのほかのメンバーはどこにいるの? 四人だけじゃないよね?」とサイは言った。
「もちろん違うよ。ほかのみんなは見て回っているんだ」とコウジは言った。
「本当は僕たちもみんなと一緒に行きたかったんだけど、君たちに挨拶する時間を作ったんだ」とユジンは言った。
「ど、どうもありがとう」とルイスはまだぎこちない様子で言った。
「それじゃ、僕たちは仲間のところに戻るよ。また会おう」とアルロは振り返り、ユジンとコウジを連れて去っていった。
「またね」とサイは言った。三人はその場に残っているララに目を向けた。どうしたらいいのか分からない様子だった。
「やあ」と彼女は手を振った。ずっと楽しそうな様子だった。
「や、やあ」とサイとルイスはぎこちなく答えた。
「会えてうれしいわ」と彼女は言った。
「う、うん」とサイとルイスは答えた。
「話題がないみたいだね」とサイはルイスに小声で言った。
「気まずいよ」とルイスは言った。
「ねえ、あなたがルイスよね?」とララは言った。
「そ、そうだけど」とルイスは言った。
「五番街で一番のお金持ちに会えるなんて思わなかったわ」と彼女はうれしそうに言った。
「ルイス、私と付き合ってくれない?」
「えっ?!」二人は驚いた。ミシェルも少し驚いた様子だった。
「どう?」とララは言った。
「えっと……その……僕たちはまだ子供だし……だから……」ルイスは困惑していた。ララはそれでも彼に微笑み続けた。ルイスはますます緊張した。
「き、君は彼女の意見を聞くべきだよ!」ルイスはすぐにミシェルを指さした。ミシェルは驚いて彼をちらりと見た。
「えっ? どうして?」とララは言った。
「彼女は僕の女友達だからだよ。彼女の許可を得ないと、僕とは付き合えないんだ」とルイスは言った。
「どうして私の性別をばらしたの?」とミシェルは小声で言った。
「えっ? でも、彼女は関係ないんじゃないの?」とララは困惑して言った。
「これは僕たちが友達同士で決めていることなんだ。それに、いつか彼女に近づこうとする男の子がいたら、僕たち二人もその子を審査するつもりだよ」とルイスは言った。
「変わっているのね?」とサイは言った。
「えっ? 彼は自分のことを男の子だって言っていなかった?」とララは言った。
「違うよ。冗談を言っただけだよ。彼女の名前はミシェルだ」とサイは言った。
「そうなの?」とララは言った。
「こんにちは、ミシェル。あなたの親友と付き合うことを認めてくれる?」とララは言った。ミシェルは驚いた様子だった。
「意見を言ってくれ」とルイスは小声で言った。
「ほ、本当は彼は……」ミシェルは、ずっと微笑んでいるララを見た。
「どうやら、私は彼女が好きじゃないみたい」とミシェルは小声で言った。
「そ、それなら決まりだ!」とルイスは言った。
「彼女は何て言ったの?」とララは言った。
「ごめんね。でも、僕たちは仲間たちのところへ戻らなきゃいけないんだ」とルイスは言い、二人を連れて歩き出した。
「ま、待って。まだ返事を聞いていないわ」とララは言った。
「じゃあねー!」とルイスは手を振った。
(振られたってこと?)とララは不機嫌そうに思った。
***
「ヌメシア市対抗大会に参加するために集まった皆さん、おはようございます」と、一人の男性が演壇に立って言った。彼の後ろにはモニター画面があった。参加者全員が、グループごとに敷地内で整列していた。
「まずは自己紹介をさせてください。私はイルバートです。この大会の進行について説明するために、ここに立っています。説明はそれほど長くありません」とイルバートさんは言った。
「この大会は一か月間にわたって行われます。その間、皆さんにはここに宿泊していただき、大会に参加してもらいます」
「進行について説明する前に、投票数が最も多かった三校を発表します」とイルバートさんは後ろのモニターを振り返った。全員が緊張した様子だった。
「それでは、第一位は……」と彼は言った。
モニターには、ゴールド・オーガニゼーション・アカデミーの写真と学校名が表示された。
「ゴールド・オーガニゼーション・アカデミーです」と彼は言った。サイたちは驚いた。全員が拍手した。
「自分たちの街での投票結果はそれほど良くなかったようですが、ほかの街から多くの票が集まったようですね」とイルバートさんは言った。
「第二位は……」モニターにはスクール・エイトの名前と写真が表示された。
「開催地の学校、スクール・エイトです」と彼は言った。その学校のグループはうれしそうに拍手し、ほかの参加者たちも拍手した。
「そして第三位は……」モニターにはワン・シティ・ファイブ・スクールズの名前と写真が表示された。
「また五番街からです。ワン・シティ・ファイブ・スクールズ」と彼は言った。全員が拍手した。
ワン・シティ・ファイブ・スクールズのグループも拍手したが、その表情は不満そうだった。
「僕たちは大差で負けたってことか?」とアルロは言った。
「それでは、次に大会の進行について説明します」とイルバートさんは再び演壇に立った。
「第一種目は知識テストで、二つの部分に分かれています」
「一つ目は筆記試験、二つ目は私たちの国をテーマにした討論です」
「皆さんがこの種目に参加するのは七日後です。それぞれの競技を週に一度行い、練習する時間を確保するためです」
「第二種目は、チームワークが必要な競技です」
「第三種目はゲームですが、内容についてはここでは明かせません」
「そして第四種目は一対一の戦闘です。皆さん、理解できましたか?」と彼は言った。
「分かりました!」と全員が答えた。
「それでは、解散して構いません」とイルバートさんは言った。
「開催地である私たちは、この大会を祝うために祭りを開催します。皆さんもそこへ行って、楽しんできてください」と彼は言った。
***
「知識テスト、チームワーク、ゲーム、それに戦闘だけなんだね?」と、フライドポテトの袋を持ったルイスは言った。三人は屋台や大勢の人々の間を歩いていた。
「簡単そうに聞こえるけど、ほかの学校のグループを侮ってはいけないよ」とミシェルは飲み物のカップを持ちながら言った。
「体力を競う種目なら、ゴールド・オーガニゼーションでいつも訓練しているから、何とかなるかもしれない。でも、説明されていないゲームについては、詳しいことが分からないね」とサイも飲み物を持ちながら言った。
「それに、相手がどれくらい戦えるのかも分からない」と彼は言った。
「ゴールド・オーガニゼーション・アカデミーの僕たちは、元素を使ってもいいのかな?」とルイスは言った。
「それは大会の運営側の判断次第だね」とミシェルは言った。
「でも、僕は使えないと思う。相手が元素の能力者じゃなかったら、不公平に感じるから」とサイは言った。
「いらっしゃい! きれいなアクセサリーを買っていってください! いろいろな種類がありますよ!」と、ある男性の店主が呼びかけた。
ルイスはそちらに目を向け、それから屋台へ近づいた。
「何を買いたいんだい、坊や?」と店主は言った。ルイスは、並べられたブローチ、リボン、ブレスレット、ネックレス、カチューシャ、王冠、バンダナ、指輪、そしてブレスレットを眺めた。
「ここで何を買うつもりなの?」とミシェルは言った。二人もルイスの後を追った。
「ルイス、アクセサリーを身につけるの?」とサイは言った。
「そんなわけないだろ!」とルイスは苛立って言った。
「さっきの女子生徒に謝るためのプレゼントを買うつもりじゃないでしょうね?」とミシェルは言った。
「それも違う!」とルイスはさらに苛立って言った。
「ルーシーに買うんだよ。僕に妹がいることを忘れたの?」と彼は言った。
「そうだったね」とミシェルは言った。
「ちょうどいいや。僕もムーイにお土産を買いたいんだ」とサイは言った。
「ようやくちゃんと名前を言えたね」とミシェルは言った。
「ミシェルは何を買うの?」とルイスはミシェルに言った。
「私? アクセサリーの屋台で、私が何を買う必要があるの?」とミシェルは言った。
「分かった。それなら、僕たちが買い終わるまで待っていてよ」とルイスは言った。
「あまり長くかけないでよ」とミシェルは言った。
「うーん、何を選ぼうかな?」とサイは店主の商品を眺めながら言った。
「目立つものがいいなら、王冠かバンダナがおすすめだよ」と店主は言った。
「王冠はパーティーや、そういった催しで使えるよ」
「一方、シンプルなバンダナなら、大切な行事だけでなく、普段使いもできるんだ」
「僕は目立つものを買うつもりはないんだけど」とルイスは言った。
「それなら、派手すぎないネックレスかブレスレットがいいよ」と店主は言った。
「それから、服を飾るブローチもあるし、バンダナと同じように普段使いできるカチューシャもあるよ」
「うーん、やっぱりネックレスにしようかな」とルイスは言った。
「どうぞ選んで。どれもきれいだよ」と店主はネックレスの並んだ場所を指して言った。
「これは、お兄ちゃんから妹への特別な贈り物になるね」
「おじさん、うまいことを言いますね」とルイスは照れながら言った。
「それじゃあ、これにします」とルイスは指さした。
「いい選択だね」と店主はそれをルイスに渡した。
「もう買えたの?」とサイは言った。
「僕は何を買おうかな? 女の子の物を買った経験がないんだ」
「女友達への贈り物なら、指輪はどうかな?」と店主はいたずらっぽく微笑んで言った。
「指輪?」とサイは言った。
「どうして指輪を買うんだよ? まさか、プロポーズするつもりなのか?」とルイスは言った。
「えっ? 指輪って、プロポーズするときにしか渡さないものなの?」とサイは言った。
「そ、そういうわけでもないけど」とルイスは言った。
「ああ、もう。おじさんの冗談を本気にしているの?」とミシェルは言った。
「ははは、冗談だよ」と店主は言った。
「指輪以外にもたくさんあるから、指輪を選ぶ必要はないよ」と彼は言った。
「でも、何を選べばいいか分からないよ」とサイは言った。
「リボンはどうかな?」と店主は言った。
「リボン? じゃあ、プレゼントの中身は何にするの?」とサイは言った。
「何の話をしているの?」とミシェルは言った。
「普通、プレゼントの箱にはリボンを結ぶよね? それで、箱の中身は何にするの?」とサイは言った。
「ああ、もうサイ。リボンは物を飾るためだけに使うわけじゃないよ」とルイスは言った。
「服の飾りにもなるし、靴につけたり、ブレスレットにしたり、腰や首、髪につけたりもできるんだ」
「それに、お土産を必ずプレゼントとして包装しなきゃいけないわけでもないよ」とミシェルは言った。
「そうなんだ?」とサイは言った。
「それなら、この紫色のリボンにするよ」と彼は言った。
「分かった。いい選択だね」と店主は言い、そのリボンをサイに渡した。サイとルイスは店主に代金を払った。
「お買い上げありがとう」と店主は手を振って言った。
「じゃあねー!」サイは手を振りながら、ルイスとミシェルと一緒に歩いていった。
「そろそろ急いで戻ったほうがいいね。見て回れる時間がもうすぐ終わるよ」とルイスは腕時計をちらりと見ながら言った。
「それはあなたが屋台を回って買い食いするのに時間をかけすぎたからでしょ」とミシェルは言った。
「でも、君たちだって同じだったじゃないか」とルイスは言った。
***
ルーカスは鍵穴に鍵を差し込んで回し、それからドアを開けた。部屋の中には十台のベッドがあった。右側に五台、左側に五台ずつ並んでいた。
「おお、ちょうどいいな。ベッドが十台あって、僕たちも十人だ」とルーカスは言った。
「これなら別々の場所に分かれる必要もないし、いつでも話し合いができるね」とイワンは言った。
「その通りだ」とルーカスは言った。
(これからは、いつも以上にみんなと一緒に行動することになる。特にここでは、チームワークが必要なんだ)
(ここには、最近知り合ったサイの友達二人もいる。僕が時々サイに嫉妬していることを知ったら、きっと二人はいい気分がしないだろう。もし僕たちが喧嘩をしたら、チームが壊れてしまう)とルーカスはルイスとミシェルをちらりと見ながら思った。
(とにかく、揉め事は絶対に起こしてはいけない)
「何をぐずぐずしているんだ? さあ、入ろう」とディオンは言った。ディオンとニコが先に部屋へ入った。
「えっ? 入らないの?」とファッタは、黙って立っているミシェルを見て言った。
「私は……」ミシェルは困惑した様子だった。
「何をしているんだ? 早く入れよ」とルーカスはミシェルの肩に腕を回して言った。
「い、いいえ。別の部屋をお願いしようと思います」とミシェルは言った。
「ル、ルーカス、彼女は……」とルイスはぎこちなく言った。
「何だ?」とルーカスは言った。
「彼女は本当は女の子なんだ」とサイはぎこちなく言った。
「えっ?」ルーカスはミシェルをちらりと見た。
「ええっ?!」ルーカスはすぐに腕を離し、彼女から距離を取った。
「ええっ?!」ほかのみんなも驚いた。
「ご、ごめん! 知らなかったんだ!」とルーカスは言った。
「まったく、何をやっているんだ!」とハリーは言った。
「それなら、係の人に別の部屋を用意してもらうように話してくるわ」とミシェルは落ち着いたまま歩き出した。
全員が黙り込み、立ち去るミシェルを見つめていた。
「どうして最初から言わなかったんだ?!」とルーカスは怒りながらサイの服の襟をつかんだ。
「ご、ごめん」とサイは言った。
「必要な状況でない限り、言う必要はないと思ったんだ。それに、普段はミシェルが全部取り仕切っていて、僕たちが何でもかんでも勝手に話すのを止めているから……」
「必要ないって、どういうことだ?!」とルーカスは言った。
「僕は失礼なことをしたと思っているんだぞ!」
「おいおい、もういいだろ」とイワンはおかしそうに微笑んで言った。
「お前は知らなかったんだから、全部がお前のせいってわけじゃないよ」と彼は言った。
「でも……」とルーカスは言った。
「さあ、入ろう。いつまで言い争っているつもりだ?」とライアンは言った。




