第60章:白金色の髪の子
その子はゆっくりと顔を上げ、サイの顔を見つめた。
サイは黙ったまま、その子の顔を見つめていた。
「俺たちは聞きたいんだけど、ここら辺で君と同じくらいの年齢の子を見なかったか?」と彼が言った。
「僕と同じくらいの年齢の子? どんな特徴?」とサイが言った。
「髪を結んでいる女の子で、君の耳くらいの高さだ。紫色の服を着ていて、黒いレギンスを履いている」と二人目の男が言った。
「ああ、そういえば、白金色の髪もしている」と、サイはさっきの会話を思い出した。
(この女の子……)
(まさか、さっきの二人が話していた子……)
「君はここで何をしているの?」とサイはゆっくりと言った。
その子はうつむき、目に涙を浮かべた。
(どうやら怖がっているみたいだ)
「幸い、僕はこれを対処する方法を勉強したことがある」と、サイは座り方をあぐらに変えた。
(僕はゆっくり、落ち着いて話さないと)
「君、怖がっているみたいだね」と、サイは落ち着いたまま言った。
「いったい何があったの?」
その子は黙ったままだった。
(僕は間を置く必要もある)
「急いで答えなくてもいいから、ゆっくりでいいよ」
二人は黙ったままだった。その子はうつむいたままで、一方のサイは周囲を見回していた。
(あまり見つめないほうがいい。そうすれば、この子にプレッシャーを与えずに済む)
「誘拐……」その子が声を出した。サイは再びその子のほうを見た。
「うん?」とサイは優しく言った。
「二人の男の人に誘拐されたの」と、その子はサイの顔を見つめながら言った。
(やっぱり、さっきの二人はこの子を探していたんだ)
「そうなの? どうして?」と彼が言った。
「今朝、借金の返済として、両親に彼らへ渡されたの」と、その子は言った。
(もう昼なのに、今朝からこの子は嫌な目に遭っていたのか?)
「そうなんだ。じゃあ、まだ彼らから逃げているんだね」
「僕が君を助けるよ。大丈夫?」
その子は不安そうにサイを見つめた。
「怖がらなくていいよ。僕ならきっと助けられる」とサイは言った。そして、右胸につけているゴールド・オーガニゼーションのバッジを指差した。
その子はそれを見て驚いた。
「同じ子供だから僕を信用できないなら、ゴールド・オーガニゼーションのメンバーとして僕を信用してくれていいよ」とサイは言った。
「本当に大丈夫?」とその子が言った。
「うん、大丈夫だよ」とサイは言った。そして立ち上がった。
「僕と一緒に行く?」と言いながら、手を差し出した。
その子はサイの手を見つめ、それからその手を取った。
「よし、ここから離れよう」とサイは言った。
***
「ふざけやがって! またあの子を見失った!」と一人目の男が言った。
「突然現れたあの強い光のせいだ」と二人目の男が言った。
「あいつはどこへ逃げた?」と一人目の男が言った。二人は木々のある場所へ入っていった。
「ここには人がいないから助けを求められない。だから、木の裏か茂みに隠れている可能性があるだろ?」と彼が言った。
「その通りだ」と二人目の男が言った。
二人は一つの岩のそばを通り過ぎた。その岩の裏には、二人を覗き見ながら監視しているサイがいた。
(もう僕たちのいる場所に近づいてきている)
サイはその子の手を握り続けていた。
(じっとしていたら見つかってしまう。でも、この子を連れているから、むやみに動くこともできない)
(そうだ、僕一人で動かないと)
「ねえ、木に登れる?」とサイが言った。
「登る?」とその子が言った。
「大丈夫、僕が手伝うよ」とサイが言った。
「君はあっちを探せ。俺はあっちだ」と一人目の男は二方向を指差した。
「分かった」と二人目の男が言った。二人はそれぞれいろいろな場所を探し始めた。
その後、二人目の男がサイの隠れている岩のところへやって来た。彼はそこにサイがいるのを見て驚いた。
「おい! ここにいるぞ!」と彼は叫んだ。
サイは手に持っていた吹き矢をすぐに吹き、その中から一本の細い棒が飛び出した。その棒は二人目の男の首に刺さった。彼は首を押さえた。
彼はだんだん弱っていき、その場で気を失った。
「どうした?!」と一人目の男がその岩へ走ってきた。
「おい! 何があった?!」と二人目の男の体を見ながら言った。そして、サイがいることに気づいた。
「お、お前、またか!」と言った。
サイはすぐに岩の上へ飛び乗り、そこから走って逃げた。
「逃げるな!」と一人目の男は追いかけた。
(麻酔の毒を塗った細い棒は一本しかない。今は走るしかない)
(さっき、この子の手を握っていたときに、近くで毒ガエルを見つけておいてよかった)
(それから一本の細い棒も見つけて、その棒をカエルの皮膚に擦りつけた)
(毒はそれほど強くないから、さっきの男を殺すことはない)
「止まれ!」男は石を一つ拾い、それをサイに向かって投げた。
「ドン!」
その石がサイの頭に当たった。サイは一瞬よろめき、痛みを感じたが、それでも無理に走り続けた。
「ふざけやがって!」と男はサイを追い続けた。
サイはそのとき上を見た。「飛び降りて!」と叫んだ。
男はサイの上を見た。すると、さっきの子が高い木の枝の一つから飛び降りてきた。男は驚いた。
サイはすぐにその子を前から抱きかかえるように受け止めた。サイはその子を下ろした。二人は再び走り始めた。
(あの子も木の枝から枝へ飛び移って、ここまで来られてよかった)
サイはその子の手を引きながら走り続けた。
「衝撃に備えて」とサイが言った。
「え?」とその子は驚いた。
サイはすぐにその子を抱き寄せた。その子はすぐに顔を赤らめた。
サイは高い下り坂へ飛び降りた。
「ドン!」
「ドン!」
「ドン!」
サイは何度も地面にぶつかった。二人はそのまま下へ転がっていき、平らな地面でようやく止まった。
サイは立ち上がり、痛そうな様子を見せた。
「だ、大丈夫?」とその子は心配そうに言った。
「う、うん」とサイは痛そうに答えた。
「少なくとも、さっきの人との距離はどんどん離れている」とサイが言った。
「もう追いかけてこないとさえ思うよ」とサイは立ち上がりながら言った。
「本当に?」とその子も立ち上がったが、突然、倒れそうになった。
「え? 大丈夫?」とサイはその子を支えた。
「うん。あの人たちの車から出たときに足を少し擦りむいただけ。それでも走れるように無理をしたの」とその子は答えた。
「どうして言わなかったの?」とサイが言った。
「大丈夫だよ。あの人たちはきっともう追ってこない。それに、この下り坂は少し危険だし、あの人も仲間をそのまま置いていくことはないだろうから」
その子は悲しそうな顔でうなずいた。
「大丈夫、僕たちのところまで連れて行くよ」とサイは言った。
「僕についてきて。僕たちのところへ戻る道は分かっているから」と言った。
「分かった」とその子は答えた。
二人は岩場、泥のある場所、そして木々のある場所を通って歩いていった。そして、川のところで立ち止まった。向こう岸へ渡るための足場になる石がいくつかあった。
「川、けっこう深いね」とサイは、底まで見えるほど透明な川の中を見ながら言った。
「また飛べる?」とサイが尋ねた。
「わ、分からない。さっきは怖くて、木の上で無理やり飛ぶことができたけど」とその子が言った。
「そうなんだ。無理はしないほうがいいよ」とサイが言った。
それからサイは、その子に背を向けてしゃがんだ。
「乗って」とサイが言った。
「え?」その子は驚いた。
「私……もう、あなたにたくさん迷惑をかけている」とその子が言った。
「大丈夫。君はゴールド・オーガニゼーションのメンバーとして僕を信用していいって、さっき言っただろ?」とサイは言った。
「ぜ、全部ありがとう」とその子は言いながら、ためらいがちにサイの背中に乗った。
「大したことじゃないよ」とサイは立ち上がった。
「よし、しっかりつかまってね」とサイは言い、それから向こう岸へ続く石の上へ飛び移っていった。
***
夜になって……
「さっき俺たちが小さい子供たちの世話をするのを手伝った後、あいつがいなくなったんです」とライアンはラジ兄さんに言った。
ライアンとその友達、そしてラジ兄さんはまださっきの場所にいた。そこにいるのはメンバーだけで、もう住民はいなかった。
「なんだ、たぶん遊んでいるだけだろ」とルーカスは気にしていなかった。
「こんな夜まで?」とイワンが言った。
「俺たちが掃除をしているときに出て行ったんです。俺が探しに行こうとしたときには、もういませんでした」とライアンが言った。
ラジ兄さんはため息をついた。「ルイスとミシェルがいなくても、結局同じか」と言いながら、髪をかき乱した。
「ラジ、お前はいつもあの子たちに振り回されているみたいだな」と別のメンバーが言った。
「まあ、そうでもないけど」とラジ兄さんが言った。
「俺と何人かのメンバーで探しに行くよ」と言った。
「俺たちも行ったほうがいい?」とイワンが言った。
「必要ない。君たちまでいなくなったら、後で面倒になるから」とルーカスが言った。
ラジ兄さんはある方向を見た。「あれ、サイじゃないか?」
「え?」全員が同じ方向、暗い道のほうを見た。
そこには誰もいなかった。しかしその後、さっきの子の手を握り、その子を後ろに歩かせながらやって来るサイの姿が見えた。
「本当だ! あいつだ!」と別のメンバーが言った。
サイはただ笑うことしかできなかった。「みんな! 帰るのが遅くなってごめんね」と言った。




