第55章:ラジとステラの叫び
「ドカン!」
岩は立った状態で地面に激しく叩きつけられ、その衝撃で土煙が舞い上がった。
ロッキーさんはどうにか避けていた。彼は見るのに苦労していた。しかし、土煙の中央に少しだけ赤い光が見えた。ロッキーさんは驚き、すぐに土煙の中から走って出た。
「ドカーン!」
ロッキーさんがそこから出ることに成功したちょうどその時、炎が爆発してその場所一帯を満たした。
「ロッキーさん!」と彼らが言った。
ロッキーさんは彼らのところへ近づいた。
「大丈夫ですか?」とオーロラさんが言った。
「ああ、怪我はない」とロッキーさんが答えた。
土煙は薄くなり、それに代わって炎がその場所を満たしていた。時々、そこで爆発が起こった。
「だが、カイの状況はますます危険になっている。この状態では、近づくことさえできない」
「それに、あいつは俺とラジを狙っている」と彼は言った。
「以前から、彼は僕たちがカイの身体にいる自分の存在を知っていることを理由に、僕たちを憎んでいた」とラジは相変わらず同じ表情で言った。
「しかも今は、僕たちが彼に隠していたすべての真実を知ってしまった」と彼は言った。
「彼を正気に戻す方法はないの?」とステラが心配そうに言った。
「すごく怒っているように見える」とルイスが言った。
「まったく、カイったら。まるでここで一番苦しんでいるのが自分みたいに振る舞っているわ」とオーロラさんが言った。
サイは考えているようだった。
「それだ!」と彼が言った。
皆が彼を振り向いた。
「兄さん、カイ兄さんって、いくつかの状況では正気に戻るのが難しいの?」とサイが言った。
「そうでもない。こういう状態以外なら、彼は自分の間違いや行動にすぐ気づく」とラジ兄さんが言った。
「何をするつもり? ロッキーさんはさっきから試しているけど、彼らが悪くないと言われても、まだ正気に戻っていない」とルイスが言った。
「それなら、彼だけが苦しんでいるわけじゃないって気づかせよう」とサイが言った。
「え? それでうまくいくの?」とヴィオナが言った。
「やってみよう」とサイが言った。
「カイ兄さんは人の気持ちが分かる人だって知ってる。話を共有すれば、正気に戻るかもしれない」と彼が言った。
「苦労比べってこと?」とオーロラさんは考えながら言った。
「オーロラさん、炎の元素を持っている人なら、カイ兄さんに近づける?」と彼が言った。
「私たちがしっかり制御できれば、もちろんできるわ」とオーロラさんが言った。
「分かった。それなら、これが僕の作戦だ」とサイが言った。
悪魔は何度もさまざまな方向へ火の玉を投げた。彼はとても怒っているようだった。
「どこにいる?! 早く出てこい!」と彼が言った。
「まだ死んでいないのは分かっている! 出てこい!」と叫んだ。
悪魔が遠くのある方向を見ると、そこから女性と男性の身体のシルエットが近づいてくるのが見えた。
「誰でもいい、出てこい!」と悪魔が言った。
薙刀を持ったオーロラさんとナツがそこから現れた。悪魔は苛立ったように眉をひそめた。
「カイ! 今すぐ止まるつもりがないのなら」
オーロラさんは悪魔へ薙刀を向けた。
「私たちが動くわ!」と言った。
「勝手にしろ! お前たちの言うことなんて聞かない!」と彼は言い、身体の炎をさらに大きくした。
「分かった」とオーロラさんが言った。
二人はすぐに悪魔へ向かって走った。
オーロラさんは薙刀を右から左へ振り、悪魔の頭へ向けて斬りかかった。悪魔はすぐにそれをつかみ、強く握った。オーロラさんは身体を回転させ、武器を後ろへ勢いよく振った。
悪魔は吹き飛ばされ、オーロラさんから遠くへ後退した。突然、ナツがその後ろに現れ、殴ろうと構えた。悪魔は振り返り、顔の前で腕を交差させた。
ナツはその腕を殴り、悪魔を後ろへ押し飛ばした。オーロラさんはすぐに薙刀を突き出したが、悪魔は素早く右へ避けた。オーロラさんは攻撃を続け、悪魔は避け続けた。
オーロラさんが悪魔を上から斬りつけた。悪魔は稲妻のような速さで右へ避け、そのまま姿を消した。
オーロラさんは困惑した。すると悪魔がオーロラさんの後ろへ一気に現れ、彼女は反射的に後ろを振り向いた。
悪魔は炎をまとった拳で殴ろうとしたが、ナツも彼女の後ろから同じように攻撃しようとしていた。
悪魔はオーロラさんを蹴り飛ばし、彼女は何度も地面に叩きつけられながら吹き飛ばされた。
悪魔は振り返り、左手でナツの右の拳をつかんだ。ナツを殴ろうとした。
ナツもすぐに悪魔の拳をつかんだ。二人は互いに手を押し合った。
そして二人は互いに後ろへ押し飛ばされた。
オーロラさんはカイへ向かって走り、斬りかかろうとした。悪魔は後ろを振り向き、オーロラさんを殴ろうとした。
オーロラさんはその腕を斬りつけ、血が流れた。彼女は回転して再び斬ろうとしたが、悪魔は彼女の後頭部を引っかき、髪をまとめていたものが外れた。オーロラさんは悪魔の腹部を傷つけることに成功した。カイは苦しそうだった。
オーロラさんは上から斬りつけようと跳んだ。悪魔は素早く右へ避け、オーロラさんは攻撃を外して地面に着地した。
悪魔はすぐに彼女の髪を後ろへ引っ張り、彼女を仰向けにした。
苦しそうなオーロラさんはその体勢のまま悪魔を突こうとしたが、悪魔は薙刀の柄を押さえ、彼女を遠くへ投げ飛ばした。
ナツは炎をまとった拳を握って彼女のほうへ走ってきた。ナツが拳を突き出すと、その炎をまとった拳がカイへ向かって飛んでいった。
悪魔はすぐにオーロラさんの頭を持ち上げ、彼女にその攻撃を受けさせようとした。
その一方、別の場所では、ルイスが膝をつきながら銃を持っているのが見えた。
「この銃はあまり役に立たない」と眉をひそめながら言った。
「だから、お前の力を高めろ!」とルイスは悪魔へ狙いを定めた。
突然、ルイスの銃がゆっくりと本物の銃へ変化していった。引き金から銃口まで、順番に変わっていった。
「ドン!」
ルイスの銃口から炎が爆発し、弾丸が悪魔へ向かって飛んでいった。
ナツの拳がオーロラさんに届きそうになった時、悪魔は自分へ飛んできた弾丸のほうを向いた。悪魔は驚いたようだった。
「ドカーン!」
弾丸が炎を爆発させ、悪魔の身体に命中した。悪魔は空中へ吹き飛ばされた。
オーロラさんはすぐに立ち上がり、悪魔へ近づいた。彼女はすぐに薙刀を振り、悪魔を傷つけた。
ナツは近づき、悪魔を蹴り飛ばした。悪魔は先ほど投げた、あの場所の中央にある岩へ向かって飛んでいった。
「バキッ!」
悪魔はそこへ激しく叩きつけられた。悪魔が立ち上がろうとすると、突然ルイスがその後ろに現れた。
ルイスは力いっぱい銃を悪魔の頭へ叩きつけ、傷を負わせた。
悪魔はルイスを殴ろうとしたが、その手をナツがつかんだ。悪魔は驚き、もう一方の手もルイスに押さえられた。
悪魔は立ち上がり、逃れようとした。ルイスとナツは、彼らからまだ見える場所の端にある岩へ悪魔を向かわせた。そこにはラジとステラが、低い岩の上から彼らを見上げていた。
オーロラさんが悪魔の後ろへやって来て、その後ろの膝を蹴り、悪魔をひざまずかせた。彼女は悪魔の肩をつかみ、動けないようにした。
(まったく、次からは俺に説教する前に、自分自身のことを気にしろよ)
ラジは眉をひそめ、少し悲しそうな目をしながら心の中で言った。
(いつも人生の問題にのめり込みすぎるなと言っているのに、お前自身がこんな状態じゃないか)
と彼は心の中で言った。
「黙ってカイの話を聞け! お前は、自分と同じような傷を持っている仲間たちを知らなきゃいけない!」とオーロラさんが言った。
真っ黒な場所にいるカイは、彼らを見て驚いた。
(お前たちは何をしているんだ?!)
(俺を止めようとするな!)
(今すぐお前たちを殺すことだってできる!)
そう心の中で言い、カイは悪魔を抵抗させた。
ルイスは悪魔を押さえるのに苦労し、うつむくほどだった。
「ここで自分だけが一番苦しんでいるみたいな態度を取るな!」とラジが叫び、悪魔を黙らせた。
その目から炎が消えた。
「俺は何度も母親への態度に気をつけろとお前に警告した! 今になって後悔するのか?!」
「本当のことを知っていたら、こんなことにはならなかった!」とカイが言い返した。
「じゃあ、お前はいったい何を感じているから、俺にそんなことを言えるんだ?!」
ラジは黙った。彼は怯えているようだった。
(本当にここですべてを叫ばなきゃいけないのか?)
と心の中で言い、うつむいた。
「全部を思い出すのが嫌だ」
彼は拳を強く握りしめた。
「お、俺は……」
「俺は父親を殺した!」
ラジは、言葉を遮るように叫んだステラのほうを驚いて振り向いた。
カイも驚いた様子だった。六人全員にその声が聞こえた。
「父はいつも母を傷つけていた! 暴力を振るい、誰にも通報するなと私たちを脅していた! 私もその被害に遭っていた!」
「ある夜、父は本当にひどいことをした! 母は殺されそうになった!」
「私はもう耐えられなくなって、台所からナイフを取り、何度も父を刺した! 父が死んでも、私はまったく罪悪感を感じなかった!」と彼女は言い、他の者たちは黙り込んだ。
一方、カイはまだ驚いた表情をしていた。
「そして病院へ運ばれた後、母も助からなかった! 二人とも、その日に私を残していなくなった!」
「それから何年も経った! それでも私は、あのすべてのことで今もトラウマを抱えている!」
「必要なら、私はそんな結末になるくらいなら結婚したくない!」カイはそれを聞いてさらに驚いた。
ラジは眉をひそめ、それから再びカイを見上げた。
「俺の父親も、俺を守ろうとして死んだ! それを知っているだろ?!」とラジが叫んだ。
カイは無表情のまま黙った。彼はショックを受けているようだった。
「俺は敵が俺を妬んだというだけでいじめられた! しかもそいつは俺を殺そうとして、その結果、父親まで巻き込まれた!」
「何でもない俺が、周りの人たちに苦しみを与えてしまった!」
「俺は以前、母親を養うために必死で働いた! 父親の代わりになるために、狩人として働いた!」
「組織に入ってからも、母親の生活を良くするために努力し続けた!」
「それでもすべては、俺自身が敵を挑発したことから始まった! だから俺は自分自身を受け入れられない!」
カイはまだ黙っていた。一方、ステラは驚いた様子で彼を見ていた。
「サイ、ルイス、ミシェルが俺のところにいるからって、俺が以前より良くなったと思うのか?!」とラジが言った。
「時々、俺はあいつらの兄のような存在になる資格がないんじゃないかと思う!」
まだうつむいていたルイスは、それを聞いて驚いた。
「いつか俺があいつらを間違った方向へ導いたらどうしようと怖い! だってあいつらは、自分自身とも和解できていない俺を手本にしているんだから!」
「俺は、あいつらにとって良い存在になれないんじゃないかと怖い!」とラジが言った。
カイはまだショックを受けたまま黙っていた。ルイスも同じように黙っていた。
「私たちもあなたと同じように家族を失った!」とステラが叫んだ。
「私たちだけじゃない! 組織のほとんどすべてのメンバーも! それに、まだたくさんいる!」
「全部聞いたでしょう?! この世界で苦しんでいるのはお前だけじゃない!」とラジが叫んだ。
「だから早く正気に戻って帰ってこい、このバカァァァ!」とラジが本当に大声で叫び、カイの外側にいる存在まで驚かせた。
その一方、まだ真っ黒な場所にいるカイはショックを受けたまま黙っていた。
「俺……どうして……?」と彼が言った。
「俺……制御できなくなって……」
カイは、目の前で母親が撃たれた時のことを思い出した。
カイは小さく泣き始め、うつむくと涙が下へ落ちた。
「泣かないで、カイ」と誰かの声が聞こえた。
カイはすぐに顔を上げた。
突然、後ろから誰かに抱きしめられた。
彼の後ろには母親がいた。
「お、母さん?」と彼は後ろを振り向いて言った。
「お母さんが恋しかったのね?」と母親が言った。
「母さん!」
カイはすぐに振り返り、泣きながら母親を抱きしめ返した。
「俺……ごめん……」と彼が言った。
「俺はいつも母さんに失礼な態度を取って、いつも母さんに乱暴にして怒鳴っていた」
「本当にごめん」
「大丈夫よ、カイ」と母親が言った。
「あなたは母さんを嫌っているように見えても、本当は母さんを大切にしていることを、母さんは分かっていた」と言い、抱擁を解いてカイの顔を見つめた。
「でも俺は、それにすら気づいていなかった」とカイが言った。
「あなたは母さんにそれを証明してくれた」と母親が言った。
「二人の女友達と一緒に母さんを家まで送ってくれた。母さんが誘拐された時も、母さんを助けようとしてくれた」
「母さんがいなくなった時には何度も電話をかけてくれた。さっき母さんに乱暴にした男も殴ってくれた」
「それに、母さんがあなたの目の前でいなくなったから、あなたはこんな状態になった」と彼女が言った。
「どうして、母さん?」とカイが言った。
「どうして母さんは、全部俺に話してくれなかったんだ? もし俺が全部知っていたら、こんなことにはならなかった」と彼が言った。
母親は微笑んだ。
「あなたを巻き込みたくなかったの。あなたには、もっと良い新しい人生を始めてほしかった」
「あなたが母さんの願い通り、組織で元気に過ごしているのを見られて、母さんは嬉しかった」
「母さんがあの時、六番街まであなたに会いに行った本当の理由は、あなたの状態と、あなたに与えた悪魔の状態を確かめるためだった」
「でも、どうして? どうして母さんは俺にこいつを与えたの?」とカイが言った。
「あなたの父親は昔、術の生贄としてあなたを殺そうとしていた。だから母さんが先に父親を殺したの」と母親が言い、カイを驚かせた。
「それ以来、母さんはいつも心配していた。この悪魔をあなたに与えたのは、あなたを守り、人から簡単に傷つけられないようにするためだった」
「こいつは頑固な悪魔で、あなたが新しい主人になることを嫌がっている。今でも母さんの言うことしか聞こうとしない」
「だから、何かあった時にはお互いに友達になって協力しなさい」とカイの母親が言った。
「でも、こいつは俺の言うことを聞かない。いくつかの状況では、むしろこいつが俺を操っている」とカイが言った。
「だからこそ、あなたはそれを逆転させるために努力しなければならないの」と母親が言った。
「母さんはもうあなたたちの近くにはいないから、助けることができない」
カイは驚いた。
「母さん、行ってしまうの?」
「ええ。もうあなたや他のみんなと一緒にいることはできない」と母親が答えた。
「でも、俺は母さんを失いたくない!」とカイは悲しそうに言った。
「母さんがあの時の襲撃から無事だったと分かった時、それだけで十分嬉しかった」
「もう行かないで」
「母さんにはできないの」と母親が言い、カイはさらに悲しくなった。
カイは再び母親を抱きしめた。
「母さんは先に行くね? 母さんはいつもあなたと一緒にいるから」
***
カイの身体は元に戻り、目から炎も消えた。
そして力が抜け、意識を失った。
ナツはすぐに彼を支えた。
「よかった、ついに成功した」とオーロラさんが言った。
「すぐに戻ったほうがいい。怪我をしている俺たちも、カイも手当てを受ける必要がある」とナツが言った。
「そうね、戻りましょう」とオーロラさんが言った。
その場所には、もう燃え盛る炎はなかった。
「どうやら、うまくいったみたいね」とヴィオナが言った。
「それならよかった。これからすぐにカイの母親の葬儀を手配できる」と、ロッキーさんは岩にもたれかけられているカイの母親をちらりと見ながら言った。
「カイは目を覚ました後、どんな態度になるんだろうね?」とヴィオナが言った。
ミシェルは右側を見た。
「え? サイはどこ?」
ロッキーさんとヴィオナが振り向いた。
「ここにいない」と彼女が言った。
「今度は何なの?」とヴィオナが言った。
「早く! すぐに彼を探さなければ!」とロッキーさんが言った。




