第54章:隠された真実
「俺だ!」とカイが突然言った。全員が驚き、母親も同様だった。
「その悪魔は今、俺の中にいる!」と彼が言った。全員が黙り込み、ダリオとその仲間たちさえもそうだった。
(俺はただ小さな手がかりを与えただけなのに)とラジが言った。
「まさか、こいつが真実を知ることになるとはな?」と彼が言った。
「本当か?」とダリオが言った。
「もちろんだ!」とカイが言った。
「俺の目を見ろ! この赤い色はコンタクトレンズなんかじゃない!」
「これは俺から見える悪魔の姿だ。その悪魔は、とても赤い炎のような目を持っている」と彼が言った。母親はとても驚いた様子だった。
「父親から受け継いだ遺伝のせいじゃないのか?」とダリオが言った。
「あり得ない! 俺の母さんも父さんも黒い目をしていた。俺も子供の頃は同じだった」とカイが言った。
「でも、父さんがいなくなった後、俺の目の色は変わった」
「俺は、その時に母さんが俺に渡したんだと確信している!」とカイが叫んだ。
全員が黙り込んだ。ダリオでさえ呆然としていた。
そして、彼は笑った。「ありがとう」
「バン!」
カイの母親が撃たれた。
カイはひどく驚き、他の者たちも同様だった。時間がゆっくりになったように感じられ、カイの母親の体がゆっくりと地面へ倒れていった。
「ドサッ!」
彼女の体が地面に横たわった。
全員が黙り込んだ。何の音もなかった。カイは母親の体を見つめたまま、呆然としていた。数秒の間、すべてが静まり返っていた。
「お前はもうここに必要ない。俺を苛立たせるだけだ」とダリオは言い、拳銃をカストルに投げた。
カイはまだ黙っていた。彼の体から熱い蒸気が出ているようだった。
「いつまでも悲しんでいないで、早く俺たちについて来い。もう彼女が目を開けることはない」とダリオは何の罪悪感もなく言った。カイはそれでも動かなかった。
ダリオ、カストル、ロジャーは互いに顔を見合わせた。
「おい、聞こえているのか?」とロジャーがカイの肩に触れた。
「熱っ!」突然、ロジャーは手を引っ込めた。彼の手にも蒸気が出ていた。
「体がものすごく熱い」と彼が言った。
「本当か?」とカストルが言った。カイの体から出る蒸気はさらに増えていった。
「おい! 黙っているな!」ダリオがカイを蹴った。カイはすぐにその足をつかんだ。顔は下を向いたままだった。
カイはダリオの足を強くつかんだ。
「ああっ!」ダリオが苦しそうに声を上げた。
カイが顔を上げた。彼の目には炎が宿っていた。
彼らはそれを見て驚いた。カイは立ち上がり、腕を持ち上げると、ダリオの足まで高く持ち上がった。
ダリオの頭が地面に向かって落ち、体が逆さまになった。仲間たちはそれを見て驚いた。
カイはそのままダリオの体を振り、地面へ叩きつけた。
「ドカン!」
全員がそれを見て驚いた。周囲には土煙が舞い上がった。
ダリオはとても苦しそうにして、体を押さえていた。
カイは彼のところへ歩いて近づいた。
「ま、待て……」とダリオが言った。
「俺を殺すな!」と彼は恐怖に怯えながら言った。
「すぐには殺さない」とカイは鋭い爪のようになった指を見せながら言った。
「先に苦しませてやる!」カイはダリオを攻撃した。
「うわあああ!」ダリオが苦痛に叫んだ。ロジャーとカストルは数歩後ろへ下がった。
カイはさらに攻撃を続けた。サイたちはそれを見てショックを受けた。
「今のカイ兄さんは、あの時の戦争中のカイ兄さんと同じだ」とサイは、カイが戦場全体を炎で包んだ時のことを思い出した。
カイの体は次第に炎に包まれていき、彼は動かなくなったダリオを攻撃し続けた。
「完全にあの悪魔に支配される前に、急いで止めなければならない」とラジが言った。彼らは拘束を外そうとしたが、外すことができなかった。
「くそっ! 外せない」とサイが言った。
「おじさん! 早く俺たちを解放して!」と彼が言った。ドレズはただ呆然としており、カイを見て怯えているようだった。
「こいつ、黙ったままだ」とルイスが言った。
カイは今度はダリオを殴った。ダリオはもうまともに動けない状態だった。
「カ、カストル、あいつを止めないと!」とロジャーはカストルを振り返って言った。しかし、カストルはもういなかった。
「この馬鹿野郎!」ロジャーはカイを引き離そうとした。
突然、カイの体の炎がさらに大きくなり、ロジャーの体へ燃え移った。
「ああっ!」ロジャーが叫びながら後ろへ下がった。炎に包まれた彼は地面に倒れ、必死に転がろうとした。カイはただ後ろを振り返り、ロジャーの様子を見た。
ダリオはまだ息をしていたが、もう限界のようだった。
怒りの収まらないカイは、彼にも炎を向けた。
「ああっ! 助けて!」ダリオは慌てた様子で叫んだ。
「助けて! あああ! 助けてくれ!」
カイはその後、仲間たちの近くに立っていたドレズへ顔を向けた。ドレズはとても驚いた。
カイはゆっくりと彼らの方へ歩いていった。恐怖を感じたドレズは振り返り、逃げようとした。
突然、火の玉が投げられ、ドレズの足元で爆発した。ドレズは倒れ、足元を見た。
「ああああ!」彼は恐怖に叫んだ。
サイたちは驚いた。
ドレズはそこから離れようともがいた。再びカイが火の玉を投げ、それがドレズへ向かって飛んでいった。
「ドオオオン!」
ドレズの姿が炎と土煙の中へ消えた。血が飛び散り、端に座っていたラジと、その隣にいたナツにもかかった。ラジは眉をひそめながら、炎に包まれたドレズをちらりと見た。それからカイへ振り向き、驚いた。
そこにいたのは、もうカイの姿ではなかった。体は完全に赤くなり、目には炎が宿り、牙のような歯と長い爪を持ち、黒いオーラがその体を取り囲んでいた。
「悪魔が……」
「完全に支配した!」とラジが言った。
悪魔はゆっくりと彼らの方へ歩いてきた。とても恐ろしい姿だった。
「あいつ、俺たちを攻撃するのか?」とミシェルが言った。
「そのようね」とステラが言った。
「ここから離れないと!」とナツが言った。彼らは拘束を外そうとした。
「待て……どうして俺はあいつらの方へ歩いているんだ?」カイの声が聞こえた。悪魔はそのまま他の者たちへ歩き続けた。
「俺はあいつらまで殺すのか?」
「違う……俺は止めなければ……」
「なのに、どうして俺の体は勝手に動くんだ?」
カイは真っ暗な場所にいて、ただ座り込んでいるようだった。彼は慌てていた。
「やめろ! あいつらを攻撃するな!」とカイが叫んだ。
「みんな俺の友達だ! 触るな!」
「お前が何を言おうと、俺は気にしない」と声が聞こえた。カイは困惑し、周囲を見回した。
「あの悪党どもはダラを殺した」
「そして、お前の友達は何もせず、助けようともしなかった!」と悪魔が言った。
「そ、それはあいつらが……」
「黙れ! 俺はお前の体の中にいるだけでも十分苦しんでいる! お前の空っぽな命令で、これ以上俺を反抗させるな!」と悪魔はカイの言葉を遮った。
「目を覚ませ! 苦しんでいるのは俺だけじゃない! お前もだ!」カイはそれを聞いて驚いた。
「お前は母親の手で父親が死ぬところを見た。そして、母親が悪党の手で死ぬところも見た」と悪魔が言った。
「俺に影響を与えようとするな! 思い出させるな!」とカイが言った。
「お前は真実を知らない、カイ。誤解したまま母親を憎んでいるお前は愚かだ!」
「え?」カイは困惑した。
「ダラは……お前の父親がお前まで殺そうとしたから、お前の父親を殺したんだ!」
カイはそれを聞いた瞬間、黙り込んだ。その場で呆然としていた。
「俺はお前を憎んでいる。それでも無理やりお前の体の中にいるんだ! 自分から望んでいるわけじゃない!」と悪魔が言った。
「だから、俺がお前の言うことを聞くと思うな!」
「お前は大きな間違いを犯した!」
「黙れぇぇぇ!」
「うああああ!」
カイの叫び声が悪魔を通して響き渡った。
サイたちはそれを聞いて驚いた。カイは右手を上げ、そこに巨大な火の玉が形成された。
「まずい! どうすればいい?」とサイが言った。彼らには悪魔を見つめることしかできなかった。
悪魔は巨大な火の玉を彼らへ投げつけた。
「ドオオオオン!」
突然、土煙があたり一面に舞い上がった。彼らは視界を奪われ、見ることさえ難しくなった。
その後、悪魔の前方から少し離れた場所に、二人の人間が立っているのが見えた。
二人の前には、大きな土の盾があった。
彼らはロッキーさんとオーロラさんだった。
「二人が来た!」とヴィオナが言った。
すると、その土の盾が消えた。
巨大なハンマーを持ったロッキーさんとオーロラさんは、今のカイの姿を見た。
「いつかきっと、こうなると思っていた」とロッキーさんが言った。
「オーロラ、彼らをそこから解放してくれ」とロッキーさんが言った。
「ラジが俺を助けてこいつと戦おうとしないようにしてくれ」
「分かりました、ロッキーさん」
オーロラさんはそう言うと、サイたちのほうへ走っていった。
「それで、カイ。今、目の前に立っているのが誰なのか、まだ分かるか?」とロッキーさんが言った。
悪魔はすぐにロッキーさんへ飛びかかり、上から爪で引き裂こうとした。
ロッキーさんはすぐにハンマーでそれを防いだ。
その後、ロッキーさんは悪魔を押し返し、ハンマーを悪魔へ振り下ろした。
悪魔はすぐに腕で防いだが、そのまま遠くの地面へ吹き飛ばされた。
オーロラさんは薙刀を取り出し、サイたちを縛っていた鎖を切った。
彼らは立ち上がり、まだ手首に残っている鉄の腕輪を見た。
「元素を封じていたものは外れたわ。これでもう、また元素を使える」とオーロラさんが言った。
すると、彼らは手から元素を出し、その鉄の腕輪が外れた。
「あなたたち、大丈夫?」とオーロラさんが言った。
「うん、私たちは大丈夫」とヴィオナが答えた。
「どうしてあなたは足に包帯を巻いているの? それに、ナツの手も」とオーロラさんが言った。
「それに、どうしてそれを使っているの?」とラジの耳を指差しながら言った。
「心配しなくても大丈夫です。私たちは元気です」とヴィオナが言った。
「何日も帰ってこないから、心配したのよ」とオーロラさんが言った。
「僕たちも、こんなことになるとは思っていませんでした」とラジはロッキーさんとカイの戦いを見ながら言った。
「ロッキーさんを助けようとしないで、ラジ。さっき彼がそう言ったから」とオーロラさんが言った。
ラジ兄さんは彼女のほうを向いた。
「どうして? 止めなきゃいけないんじゃないの?」とヴィオナが言った。
「オーロラさんの言う通りだ」とラジ兄さんが言った。
「カイの身体にいる悪魔は、僕をとても憎んでいる。カイ自身の次に憎まれているのが僕だ」と彼は言った。
彼らはそれを聞いて驚いた。
「それなら、僕たち他の者はロッキーさんを助けたほうがいいの?」とナツが言った。
「やめたほうがいい」とラジ兄さんが言った。
「大勢で攻撃されると、あの悪魔は普段以上に激しく反撃することがある。それで僕たちが危険になる可能性がある」
「この前の戦争の時と同じだ。敵をたくさん倒しただけじゃない。あの時、カイはすでに死んでいた仲間たちまで攻撃していた」と、ラジはあの時、カイが戦場一帯にとても大きな炎を放ったことを思い出しながら言った。
ロッキーさんは悪魔へハンマーを振り下ろした。
悪魔はすぐに身をかがめ、その後ロッキーさんを殴った。
ロッキーさんは避け、悪魔はその後、彼を蹴った。
ロッキーさんはカイの攻撃を避け続けた。
ロッキーさんは再び悪魔へハンマーを振り下ろした。
悪魔は顔の前で腕を交差させ、あの場所の端まで遠く押し飛ばされ、大きな岩にぶつかった。
「バキッ!」
その岩に大きなひびが入った。
悪魔は怒っているようだった。
ロッキーさんはそのほうへ走って近づいた。
悪魔はそのひびの入った岩を殴った。
「バキッ!」
岩はやや大きな破片にいくつか砕けた。
悪魔はそのうちの一つを拾い、ロッキーさんへ投げた。
ロッキーさんは避けながら、悪魔へ向かって走り続けた。
悪魔はさらに多くの岩を投げ、ロッキーさんはそれを避け続けた。
岩が地面に落ち、あたりに土煙が舞い上がった。
その土煙は徐々にロッキーさんを取り囲み始めた。
ロッキーさんは足を止めた。
「俺の動きを止めたのか!」と周囲を見ながら言った。
突然、悪魔が拳を構えたまま目の前まで一気に迫ってきた。
ロッキーさんは驚いた。
「ドン!」
ロッキーさんは後ろへ吹き飛ばされ、ハンマーが手から離れた。
悪魔は再び彼を追い、蹴り飛ばして地面に叩きつけた。
「ドカン!」
皆はその音を聞いて驚いた。
彼らには、二人の戦いを覆っている土煙しか見ることができなかった。
「状況が悪くなっているみたい」とナツが言った。
「ロッキーさん一人であいつを相手にできるの?」とヴィオナが言った。
彼らは、まだロッキーさんとカイを覆っている土煙を見つめた。
「待って、カイ兄さんのお母さんはどうなったの?」とルイスが言った。
「ここにいる」と誰かの声が聞こえた。
彼らが振り向くと、先ほどナツとヴィオナと森にいた女性が、先ほど彼らが縛られていた岩にカイの母親の身体をもたれかけさせていた。
オーロラさん、ヴィオナ、ステラが近づき、他の者たちはただ立って見ていた。
オーロラさんは彼女の脈と首を確認した。
「もう亡くなっている」と彼女は言った。
ヴィオナとステラは驚いた様子だった。
「こんなに早く……」とミシェルが言った。
ロッキーさんは立ち上がろうとし、苦しそうな様子を見せた。
土煙が薄くなり始めた。
悪魔は飛び上がり、ロッキーさんの上へ滑り降り、右足で踏みつけようとした。
ロッキーさんは素早く飛び退いた。
悪魔の足が地面に激しく着地し、再び土煙があたりに舞い上がった。
ロッキーさんは着地し、悪魔の後ろに立った。
彼は手を上げた。
土煙の向こうからハンマーがロッキーさんの手元へ現れ、彼はそれを握った。
「目を覚ませ、カイ! あの悪魔にお前を支配させるな!」とロッキーさんが言った。
「お前に、こいつを操る権利があるのか?!」と、悪魔はまだロッキーさんに背を向けたまま言った。
「どうしたんだ? どうして突然こんなことになった?」とロッキーさんが言った。
「あの悪い奴らはもう死んだ。それなのに、まだ何をしようとしている?」と言った。
「死んだだと?! まだお前たちを倒し終わっていない!」と悪魔が振り返り、もう目が燃えていない状態で言った。
ロッキーさんは本来の目を見て驚いた。
「お前……今、意識があるのか?」と言った。
「そうだ! この存在が俺に話す機会を与えてくれた!」とカイは振り返って言った。
土煙がゆっくりと薄くなった。
他の者たちにも、再び二人の姿が見えるようになった。
「何がお前をこんな行動に駆り立てた? 仲間まで傷つけようとしているじゃないか?」とロッキーさんが言った。
「これは父さんとラジのせいだ!」とカイが言い、ロッキーさんと、それを見ていたラジは驚いた。
皆も同じだった。
「何年も組織にいたのに、お前たちは俺の家族に起きた真実をずっと隠していた!」
「母さんが送った手紙で、俺にこの悪魔やその他のことを教えないように言われていたことは知っている。それに、母さんはきっと俺の家族の背景についても伝えていたんだろ?!」
ロッキーさんとラジの表情には、少し気まずそうな様子が見えた。
「もしお前たちが教えてくれていたら、俺は母さんにあんな無礼なことをしなかった!」とカイが言った。
「俺は誰が悪かったのか知ることができた! 本当に俺の家族を壊したのが誰なのか知ることができた!」
「ラジを責める必要はない。彼はお前の家族について知らなかった」とロッキーさんが言った。
「でも、こいつはこの悪魔について知っていた!」とカイはラジを指差した。
ラジはまだ気まずそうな様子だった。
「こんなに重要なことをどうして隠せたんだ?! 俺には知る権利がある!」
「俺はお前たちの行動のせいでもう苦しんだんだ!」
「これはお前らしくないぞ、カイ! 正気に戻れ!」とロッキーさんが言った。
「俺に命令しようとするな!」とカイが言い、目が再び燃え始めた。
ロッキーさんは、再び悪魔になったカイを見て驚いた。
悪魔はロッキーさんへ走っていった。
ロッキーさんはすぐに避けたが、悪魔はそのまま高い岩々のほうへ走っていった。
「何をしているんだ?」とロッキーさんは困惑した。
悪魔は一番高い岩に近づいた。
そして、その岩を持ち上げた。
皆が驚く中、悪魔はその岩を、あの場所の中央にいるロッキーさんへ投げつけた。
「ドカン!」
岩が地面に激しく叩きつけられ、その衝撃で土煙が舞い上がった。




