第41章:カイの母
「カイ……」
カイはその声を聞いた瞬間、反射的に目を開けた。彼は周囲を見回した。そこは何もかもが黒い場所だった。
「こ、ここはどこだ?」と彼は言った。
「こ、ここに来たのは初めてじゃないはずだ」
「一体ここは何なんだ?」
「カイ……」
再び誰かの声が聞こえた。
カイが振り返ると、そこには黒いローブを着た中年の女性が立っていた。
「か、母さん?」とカイは驚いて言った。
「カイ、元気だった?」とその女性は言った。
「どうして?」とカイは驚いた。
「母さんはもういない……」
「冗談はやめてくれ!」
「母さんは、第四都市が襲撃された時に、あなたが組織に救われたことを嬉しく思っているわ」と母親は言った。
「あの事件で生き残った人はいなかったんじゃないのか?」とカイは言った。
「そうよ」と母親は答えた。
「でも、それは黒魔術を操り、あの悪魔たちと親しくしていた母さんには当てはまらないのよ」と母親は言った。
「悪魔?」とカイは言った。
「カイ、あなたはまだ母さんに怒っているの?」と母親は言った。
「な、なぜ今さら聞くんだ?!」とカイは怒った様子で言った。
「数年前に母さんが父さんを消し去ったあとで、まだ怒っているかどうかを聞くのか?!」
「母さんは俺に良くしようとしなくていい! 俺を愛している母親みたいなふりをするな!」と彼は言った。
母親の顔は悲しそうだったが、それでも笑っていた。
「カイ、母さんがあなたに会いに行ったらどう?」と母親は言った。
カイは困惑した様子を見せた。
「あなたは望んでいる?」と母親は言った。
「俺をもっと怒らせるようなことをするな!」とカイは言った。
「カイ、あなたが知らなければならないことがあるの」と母親は言った。
「とにかく、もう俺に会いに来るな!」とカイは言った。
「また会いましょうね?」と母親は言った。
***
カイはすぐに目を開けた。すると、彼はテントの中にいた。
カイは困惑した表情で体を起こした。
「い、今のは何だったんだ?」とカイは困惑しながら言った。
***
カイはテントの外へ歩いて出た。彼は周囲を見回した。多くの人々が組織のメンバーたちと一緒に壊れた建物を大勢で修復していた。また、女性たちはメンバーたちと一緒に食事を用意しており、子供たちはあちこちを走り回って遊んでいた。
「どうやら少し寝坊したみたいだな」と、午前八時を示している腕時計を見ながら彼は言った。
カイは、左右に人々が協力して建物や道路を修復している通りを歩いていた。
(さっきのは一体何だったんだ?)と、カイは母親との会話を思い出した。
(七年前、俺たちの街は大勢の人々に襲われた。そいつらが政府の使者だと言われていたが、俺はそのことを知らない)
(俺たちは、街や国を脅かす危険な術がこれ以上残らないように、始末されなければならなかった)
(母さんもいつもあの奇妙な術を扱っていた。それに、さっき母さんは悪魔について話していた。だけど、俺たちは一度も霊的な存在と関わったことなんてなかったはずだ)
突然、カイは足を止めた。少し驚いたような表情をしている。
「悪魔……」とラジが言った。
「え?」とカイは困惑しながら彼を見た。
「お前が話したことは夢じゃない。それは現実だ」とラジは言った。
「そして、お前が戦争に参加させてもらえなかったのは、組織がお前が制御不能になることを恐れていたからだ」
「そして、そのすべては悪魔が原因だ」とラジは言った。
カイは、クリサンと出会った日のラジとの会話を思い出した。
「悪魔?」と彼は言った。
(そういえば、ラジは以前、悪魔について話していた。あの言葉には何か隠された意味があるのか?)
「よし! ラジを探して、そのことを聞かなきゃ!」
***
その頃、ラジはレンタルコンピューター店にいて、コンピューターの画面を見つめていた。彼は真剣な表情をしており、時々そこで何かを入力していた。
「わあ、こんなところで会うなんて偶然だな」と、カイが作ったような笑顔を浮かべながら突然現れた。
ラジは少しだけ彼を見て、それから再びコンピューターの画面を見た。
「何の用だ?」と彼は言った。
「何でもない。ただ退屈していて、たまたまお前に会っただけだ。それに、昨日の災害のあとでもこのレンタルコンピューター店がまだ残っているなんて、誰が知っていたんだ?」と、カイは無理に笑顔を作ったまま言った。
「何が欲しいのか、さっさと言え。良い人のふりをする必要はない」とラジは言った。
カイの表情は苛立ったものに変わった。
「この堅物! お前、もう少し気楽になれないのか?!」
ラジはコンピューターに文字を入力しながら、黙ったままだった。
「ん? 何を探しているんだ?」とカイはコンピューターを覗き込んだ。
コンピューターの画面には、大きなタイトルで「第七都市の赤い王国」という記事が表示されていた。
「なんでそれを調べているんだ?」とカイは尋ねた。
ラジはため息をつき、それから椅子の背もたれに寄りかかった。
「レッドファイアが昨日、このことについて話していた」と彼は言った。
「ああ、そういえば、お前とあいつの戦いはどうなったんだ? あいつは自分の間違いを認めたのか?」とカイは言った。
彼は隣のコンピューター机にあるキャスター付きの椅子を取って、ラジの隣に座った。
「そんなに簡単にいくわけがない」とラジは自分の髪をかき乱しながら言った。
「あいつは戦いの途中で逃げた」と彼は言った。
「なんで追いかけなかったんだ?!」とカイは言った。
「俺が目を開ける前に、もういなくなっていた」とラジは言った。
「じゃあ、あいつは何を話したんだ?」とカイは言った。
「馬鹿げて聞こえるかもしれないが、あいつはこの王国の支配者が俺の祖父だと言った」と、ラジはコンピューターの画面を見ながら言った。
「お前の祖父?」とカイは言った。カイもコンピューターの画面を見た。
「なんで携帯電話で調べないんだ?」とカイは尋ねた。
「携帯電話の充電が切れた」とラジは言った。
カイは、コンピューターの近くにあるコンセントで充電中の携帯電話をちらりと見た。
「彼に会いに行こうと思っている」とラジは言った。
「何のために? 遺産でももらいに行くのか?」とカイは言った。
「違う! 俺が自分の財産を持っていないと思っているのか?」とラジは言った。
「じゃあ、何のためだ?」とカイは言った。
「自分の家系図をはっきり知りたいだけだ。それと、彼が父さんに与えた印について聞きたい」とラジは言った。
「じゃあ、第七都市に行くつもりなのか? いつ?」とカイは言った。
「今ではないと思う」とラジは言った。
「なぜ?」とカイは尋ねた。
「そこへ行く用事はそれほど重要じゃないし、第七都市の政府に会うのも、きっと簡単ではない」とラジは言った。
「統治する仕事だけじゃなく、時々、赤い王国の王は、都市の防衛任務を専門に担当する支部王国が管理している軍事組織の仕事にも関わる」と彼は言った。
「でも、場所はここから遠くないだろ。第六都市から第七都市なら、ついでに行けばいい」とカイは言った。
「俺に乗り物があれば遠くない」とラジは言った。
「確かに。一つの都市から別の都市へ移動するとなると、やっぱりかなり遠いな」とカイは言った。
「でも、試してみても悪くないだろ?」と彼は言った。
「後で考える」とラジは言った。
「じゃあ、ちょっとコンピューターを借りるぞ」とカイはラジの椅子を押し、今度は自分がコンピューターの前に座った。
彼は検索欄に「第四都市に存在する悪魔に関連する黒魔術の一覧」と入力した。
検索結果は表示されなかった。
「な、ない?」とカイは驚いた。ラジもコンピューターを見た。
「何のためにそれを調べている?」とラジは言った。
「第四都市に関する情報は全部禁止されているんだ」と彼は言った。
「どうしてそうなっているんだ?」とカイは落胆して言った。
「知っているか? さっき俺は奇妙な夢を見たんだ」とカイは言った。
「奇妙な夢?」とラジは言った。
「母さんに会って、悪魔について話されたんだ。それから、七年前の虐殺からどうやって生き残ったのかについても話していた」とカイは言った。
「それに、母さんは俺に会いに来ると言っていた」
「それを信じるのか?」とラジは言った。
「少し疑っている。だから、お前から調べたかったんだ」とカイは言った。
「お前なら、俺自身のことや、なぜ俺が戦争に参加することを許されなかったのかを知っているだろ?」とカイは言った。
「それどころか、かなりたくさん知っている」とラジは言いながら、椅子をコンピューターの前へ動かしたので、カイは再び横へ退いた。
「どうして教えてくれないんだ?」とカイは苛立った様子で言った。
「母親に聞かないのか?」とラジは言った。
「お前は俺と母さんの関係を知っているだろ!」とカイは言った。
「知っているか? 俺はロッキーさんから聞いたことがある。お前が昔組織に加入したばかりの頃、匿名の手紙が組織に送られてきた」とラジは言った。
「その手紙には、送り主がカイの母親だと書かれていた。ただし、名前は書かれていなかった」
「その手紙には、第四都市や黒魔術、あるいはお前自身にある何かについて、お前には教えないようにと書かれていた」とラジは言った。
「俺自身にある何か?」とカイは言った。
「それは何だ?」とカイは言った。
「言っただろ。俺たちには言えない」とラジは言った。
「組織は所属するメンバーについて、すべて、そして何でも知っている。さらには、そのメンバー自身が知らないことまでな」と彼は言った。
「ロッキーさんや他の人たちに聞いたらどうだ?」とカイは言った。
「俺に教えてもらえなかったんだから、あの人たちに聞いても同じだ」とラジは言った。
「確かに。あいつらもお前と同じだな」とカイは言った。
「どうしてお前が俺についてそんなに知っているんだ? お前は俺のメンターでもなければ、地位の高い人間でもないだろ!」とカイは言った。
「俺の階級は上級シニアだ。それは十分に高い!」とラジは苛立って言った。
「はいはい……確かに高いけど、どうしても納得できないんだ」とカイは言った。
「お前は俺についての情報を知っているのに、入ったばかりのサイはまだ俺についてあまり知らないだろ」とラジは言った。
「俺がお前やサイの情報を知っているのは、お前たちととても親しいからだ。だから組織が、お前たちについて俺に教えている」とラジは言った。
「どれくらい親しいんだ?」とカイは言った。
「俺はお前の親友で、そして俺はサイの兄だからだ」とラジは椅子から立ち上がり、その場を去った。
「おい! まだ質問は終わってないぞ!」とカイも後を追った。
レンタルコンピューター店の外に出たラジのところへ、サイ、ルイス、ミシェルがやって来た。
「兄さん! カイ兄さんを見なかった?」とサイは尋ねた。
「中にいる」とラジは言った。
「兄さんはここで何をしていたの? コンピューターでゲームでもしていたの?」とルイスは言った。
「そんなわけないだろ」とラジは言った。
「え? お前たちはいつからここにいたんだ?」と、カイがレンタルコンピューター店から出てきて言った。
「兄さん、僕たちは兄さんをあちこち探していたんだよ」とサイは言った。
「何のために俺を探していたんだ?」とカイは言った。
「アーデンさんによると、市長室でカイ兄さんを探している人がいるらしい」とサイは言った。
***
「変な人だな。どうして市長室で他人を探すんだ?」とカイは言った。彼らは机と椅子のある部屋にいたが、全員立っていた。
「警察署っていうものがあるだろ」と彼は言った。
「警察署は修理中だ」とラジは言った。
「カイ兄さんに会いたい人って誰?」とサイは言った。
「俺が知るわけないだろ。お前たちが俺を呼んだんだから」とカイは言った。
「でも、アーデンさんに頼まれたんだ」とルイスは言った。
「カイはもうここにいるのか?」とアーデンさんが部屋に入ってきながら言った。
「俺です」とカイは言った。
「カイ、お前に会いたい人がいる」とアーデンさんは言った。
「誰だ?」とカイは言った。
「入ってきてもらおう」とアーデンさんは言った。
一人の女性が部屋に入ってきた。
カイは彼女を見た瞬間、驚いた。
「母さん?!」と彼は驚いて言った。




