第23章 新たなオーディション
「皆さん、おはようございます。」
壇上に立っていたレオンさんが挨拶した。
「おはようございます!」
ゴールドオーガニゼーションの新人候補者全員が答えた。
「本日は、
ゴールドオーガニゼーション新人候補者募集の
開会式に参加してくださり、
ありがとうございます。」
レオンさんは言った。
サイはまたあくびをした。
(どうして僕は、
この時間になるといつも眠くなるんだろう……。)
サイは心の中で思った。
それでも彼は、
話し続けるレオンさんをちゃんと見ていた。
(昨日の夜、
勉強していて時間を忘れちゃったのかな。)
サイは思った。
「組織の仕組みや規則を説明する前に、
自己紹介をさせてください。
私の名前はレオン・フェリックスです。
この組織の指導員の一人を務めています。」
レオンさんは言った。
(前にも聞いた内容だし、
少し寝ようかな。)
サイはそう思い、
目を閉じた。
***
「本日は、
皆さんの知力と体力を試します。
その前に、
オーディションと試験がどのように行われるのかを説明します。」
レオンさんは言った。
(前からずっと気になっていたけど、
オーディションと試験って、
いったい何が違うんだろう?)
サイは思った。
「オーディションとは、
知力と体力を測る試験です。
知力試験では、
皆さんは一人ずつ部屋へ呼ばれ、
いくつかの問題を素早く解いてもらいます。
皆さんが知ることができるのは、
ここまでです。」
レオンさんは言った。
「皆さんくらいの年齢で合格できる可能性はとても低いです。
だからもし一人でも合格者が出たなら、
この場で敬意をもって迎えられます。
それは、
その人がこの組織へ入る資格を持ち、
組織の後継者になれるということです。」
レオンさんは言った。
(前回のオーディションでも、
レオンさんはまったく同じことを言っていたな。)
サイは思った。
「最初の試験は学力試験です。
自然科学と一般常識を出題します。
正しく答えられるように頑張ってください。」
試験監督は言った。
「はい!」
受験者全員が答えた。
「それでは、
それぞれ指定された部屋へ入ってください。」
試験監督は言った。
「列の一番前にいる参加者は、
第一試験室へ入ってください。」
試験監督は言った。
その参加者はうなずき、
列を離れて歩いて行った。
「第二試験室。」
試験監督は言った。
最初の参加者の隣にいた参加者が、
自分の部屋へ向かった。
(次は僕だ。)
サイは思った。
「第三試験室。」
試験監督は言った。
サイは第三試験室へ向かって歩いた。
「失礼します。」
サイは部屋へ入った。
部屋の中では、
ロッキーさんが机に座っていた。
(まずい……
どうしてロッキーさんなんだ?
あの人、
僕のことを嫌っているのに……。)
サイは驚いた。
「どうして黙っている?」
ロッキーさんは言った。
「早く入れ!」
彼は続けた。
「は、はい!」
サイはすぐにロッキーさんの前まで歩いて行き、
その場に座った。
「サイ・サルヴァハルサか?」
ロッキーさんは尋ねた。
「はい。」
サイは答えた。
「まだオーディションを受けるのか?
前回は不合格だっただろう。」
ロッキーさんは言った。
「だからこそ、
もう一度受けに来ました。」
サイは答えた。
「そうか?
また落ちるのが怖くないのか?」
ロッキーさんはからかうような口調で言った。
「怖くありません。
何度失敗しても、
僕は挑戦し続けます。」
サイは答えた。
「お前が合格できるとは思えない。
まだ小さすぎる。
オーディションを受けるには早すぎる子どもだ。」
ロッキーさんは言った。
「そんなことありません!
僕は必ずできるって証明します!」
サイは不満そうに言った。
「それは後で分かる。」
ロッキーさんは言った。
「僕を試験するのが先生の仕事でしょう!
挑発することじゃありません!」
サイは言った。
ロッキーさんは口元を少しゆがめて笑った。
「そうだな。
確かに私が悪かった。」
ロッキーさんは言った。
「なら証明してみろ。
お前が史上最年少の隊員になれることを。」
「もし合格したら――」
「私自身の手で、
ゴールドオーガニゼーションのバッジを
お前につけてやる。」
ロッキーさんは言った。
「必ず証明します!」
サイは答えた。
「よし。
では、
この問題を解いてみろ。」
ロッキーさんは数枚の紙をサイへ渡した。
サイは紙を受け取り、
内容を見た。
(ひゃ、百問!?)
サイは驚いた。
「どうした?
できそうか?」
ロッキーさんは尋ねた。
「やってみます!」
サイは答えた。
「制限時間は一時間。
つまり、
一問につき三十六秒しかない。」
ロッキーさんは言った。
(三十六秒……。
僕にできるかな……。)
サイは少し不安になった。
「それでは始めろ。」
ロッキーさんは言った。
サイはすぐに問題を解き始めた。
(まずは一問目を見よう。)
サイは問題文を読んだ。
(こ、これは問題なの!?
何これ!?)
サイは驚いた。
「学校では一度も習ったことがない。
でも、
ラジ兄が全部教えてくれた。」
サイは思った。
「そこには小学生向けの問題は一つもない。
だが、
私から見ればどれも簡単な問題だ。」
ロッキーさんは言った。
(よし、
答えてみよう。)
サイは思った。
サイは真剣に問題を解き続けた。
時間はどんどん過ぎていき、
彼はすべての問題を解き終えた。
「時間切れだ。」
ロッキーさんは言った。
サイはため息をつきながら、
ペンを机の上に置いた。
ロッキーさんはサイの解答用紙を取り、
その場ですぐに採点を始めた。
サイは緊張しながら結果を待った。
ロッキーさんは解答用紙を机に置き、
別の紙を取り出して、
そこへ何かを書いた。
「これだ。」
そう言って、
その紙をサイへ渡した。
サイは紙の内容を読んだ。
「学力試験の結果……。」
(A!?)
サイは驚いた。
信じられないという表情で、
ロッキーさんを見つめた。
「結果はその通りだ。
今日は運が良かったな。」
ロッキーさんは言った。
サイはもう一度紙を見つめた。
まだ信じられなかった。
「さあ、
次の試験会場へ急げ。」
ロッキーさんは言った。
サイはうなずき、
すぐに部屋を飛び出した。
***
「第二の試験は体力試験だ。」
「十キロの石が入ったリュックを背負って、あの丘を登ってもらう。」
監督官は、前回のオーディションでも使われた丘を指差して言った。
サイはその丘を見つめた。
(あの丘は、ラジ兄と訓練したウィルダネスの丘ほど急じゃない。)
(これならきっと突破できる。)
サイは心の中で思った。
「よし、それではそれぞれ自分のリュックを持て。」
監督官は言った。
サイはそのリュックを軽々と持ち上げた。
一方、他の参加者たちは苦戦している者も多かったが、簡単に持ち上げる者も少なくなかった。
「全員、自分のリュックは持ったな?」
「それでは準備!」
監督官が言った。
参加者たちは一斉に構えた。
「一、二――」
「始め!」
その合図と同時に、全員が丘へ向かって駆け出した。
しかし丘は少し急だったため、多くの参加者は登るのに苦労していた。
その一方で、サイは勢いよく丘を駆け上がっていく。
その姿に、他の参加者たちは驚いた。
「よし!」
「ラジ兄と必死に訓練した甲斐があった!」
サイは嬉しそうに言った。
「おっ、ずいぶん成長したじゃないか。」
サイの隣を走っていた一人の少年が言った。
「君!?」
サイは驚いた。
その少年は、以前チョコレートをくれたあの少年だった。
「どうしてここにいるの?」
「前のオーディション、落ちたの?」
サイは尋ねた。
「お前だって落ちただろ?!」
「今回は俺がお前に勝つ!」
少年は言った。
「それはどうかな!」
サイは言った。
二人はさらに速度を上げた。
「あいつら、人間じゃないだろ……。」
一人の参加者が言った。
「もう足が動かない……。」
別の参加者も言った。
サイとその少年は競い合いながら、頂上へ向かって走り続けた。
「先に着くのは僕だ!」
サイは言った。
「いや!」
「俺だ!」
少年は言い返した。
「僕だ!」
「違う!俺だ!」
「僕!」
「俺!」
二人はもう頂上のすぐ近くまで来ていた。
「じゃあね!」
サイはそう言うと、一気に頂上へ飛び上がった。
「くそっ!」
「小さいからそんな身軽なんだ!」
少年は悔しそうに言った。
「早く採点して!」
「早く早く!」
サイは監督官が自分の用紙を採点している間、待ちきれずに言った。
「落ち着け。」
監督官はそう言って、その用紙をサイへ渡した。
サイはその紙を見た。
「A+!」
「やったー!」
サイは大喜びし、そのまま次の試験会場へ走って行った。
「おやおや、また会ったな。」
以前サイがこの試験を受けた時と同じ監督官が言った。
「また会いましたね。」
サイは言った。
「手順は覚えているな?」
監督官は尋ねた。
「もちろんです!」
サイはそう言うと、大きな石がたくさん入った網につながれたロープを引き始めた。
(この後、僕は追いかけられるんだ。)
サイは心の中で思った。
サイは苦労しながらも、そのロープを引き続けた。
「おお、ずいぶん成長したじゃないか。」
監督官は言った。
石が入った網は高く持ち上がった。
あとはサイがそのロープを支え続けるだけだった。
「十!」
監督官は数えた。
サイは必死にロープを支え続ける。
「九、八、七、六――」
(前よりは楽だけど、それでもやっぱり重い……。)
サイは心の中で思った。
「三、二――」
「一!」
その瞬間、石の入った網は勢いよく地面へ落ちた。
その反動でサイの体は上へ引っ張られ、一軒の家の屋根へと吹き飛ばされた。
「うわあああ!」
「ドン!」
サイは屋根へ激しく落ちた。
「いたた……。
背中が……。」
サイは起き上がろうとしながら言った。
「準備はできたか?」
誰かが言った。
サイは後ろを振り向いた。
黒い服と黒い仮面を身につけた男が、すでに彼の後ろへ立っていた。
サイはニヤリと笑った。
準備はできていた。




