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第21章 厳しい訓練

「本当にロッキーさんが昔僕を鍛えたような訓練を受けたいのか?」


ラジ兄は言った。


「うん、ラジ兄!」


「今年もう一度参加者オーディションが開かれるって聞いて、すごくやる気が出たんだ!」


サイは言った。


二人は今、


本部の廊下にいた。


「でも正直、


お前にできるとは思えない。」


ラジ兄は言った。


「絶対にできるよ!」


「兄さんは心配しなくていい!」


サイは言った。


「文句を言わないと約束できるか?」


ラジ兄は尋ねた。


「うん!


約束する!」


サイは言った。


「分かった。


じゃあ明日から始めよう。」


ラジ兄は言った。


「うん!」


「ルイスとミシェルと遊んだ後で兄さんのところへ行くね。」


サイは言った。


「誰が夕方に訓練するなんて言った?」


ラジ兄は言った。


「え?」


「じゃあいつ?」


サイは尋ねた。


***


翌朝――。


サイはまたゆっくりとウィルダネスの丘を登っていた。


まだ朝早く、


太陽の光は少ししか見えず、


空はまだ暗かった。


ラジ兄はすでに丘の上に立っていた。


サイも着いて、


その隣に立った。


「こんな朝早くに何しに来たの?」


「みんなまだ寝てるよ。」


サイは言った。


「訓練したいと言っただろ。」


ラジ兄は言った。


「でもこんな暗いうちからじゃなくても……。」


サイは目をこすりながら言った。


「まだ朝四時半だよ。」


「兄さんも昔はこの時間から訓練してたの?」


サイは尋ねた。


「いや。」


「俺は朝三時から五時まで訓練していた。」


ラジ兄は答えた。


「さ、三時!?」


サイは驚いた。


「しかも毎日だ。」


ラジ兄は言った。


「毎日!?」


サイはさらに驚いた。


「だから睡眠時間は六時間ほどしかなかった。」


「健康上の最低限の休息時間だ。」


「訓練中はずっとそうしていた。」


ラジ兄は言った。


「兄さんは疲れなかったの?」


サイは尋ねた。


「目標を叶えるためなら、


そんなことは全く問題じゃない。」


ラジ兄は答えた。


「わあ……


兄さんは本当にすごい。」


サイは感心した。


「僕も兄さんみたいに強くなりたい!」


サイは言った。


「なら、


さっそく始めるぞ。」


ラジ兄は言った。


「それで、


今は何をすればいいの?」


サイは尋ねた。


「この丘を下まで走って、


またここまで登って来い。」


「それを五十回だ。」


ラジ兄は言った。


「上り下り!?」


「でもこの丘、


すごく急だよ。」


サイは町へ続く急な坂を見つめた。


「もし転んだら?」


サイは言った。


「ボランティアになれば、


怪我をする危険は非常に大きい。」


「命を落とすことだってある。」


ラジ兄は言った。


「こんな訓練すらできないなら、


実際の現場ではどうする?」


ラジ兄は続けた。


「に、兄さんの言う通りだ。」


サイは言った。


「分かった。


やってみる。」


サイは坂へ足を踏み出した。


「よし、


始めよう!」


まだ歩き出したばかりなのに、


サイの足はすぐ滑った。


「わあああ!」


サイはそのまま下まで転げ落ちた。


ラジ兄はため息をつくことしかできなかった。


***


サイは全力で丘を駆け上がり、


そしてまた下へ走った。


それを何度も何度も繰り返した。


「もっと速く走れ。


歩けとは言っていない。」


丘の途中に立っていたラジ兄は言った。


サイはさらに速度を上げた。


何度も丘を上り下りし続けた。


やがて、


サイの足は震え始めた。


必死に坂を登ろうとしたが、


もう体は限界だった。


「急げ!


これが最後だ!」


丘の頂上からラジ兄が言った。


サイは汗だくになりながらも、


一歩ずつ登り続けた。


「もう……


少し……。」


ラジ兄のすぐ近くまで来た時、


サイは言った。


「着いた!」


最後の一歩で、


足が滑った。


ラジ兄はすぐにサイの手をつかみ、


転びそうになったサイを引き上げた。


「疲れた……。」


サイは地面に寝転びながら言った。


「この訓練は、


もっと上手くできるようにならなければならない。」


ラジ兄は言った。


「どうして?」


サイは尋ねた。


「オーディションの最初の試験は、


十キロの荷物を背負って丘を登ることだからだ。」


「そのために、


この訓練ができるようにならないといけない。」


ラジ兄は答えた。


「分かった……


頑張るよ……。」


サイは言った。


「寝転がっていないで、


早く腕立て伏せの姿勢を取れ。」


ラジ兄は言った。


サイはすぐに腕立て伏せの姿勢を取った。


「二百回だよね?」


サイは尋ねた。


「千回だ。」


ラジ兄は言った。


「せ、千回!?」


サイは信じられないというように言った。


「どうした?」


ラジ兄は尋ねた。


「な、何でもない。」


サイはすぐに腕立て伏せを始めた。


太陽はどんどん高く昇り、


空もますます明るくなった。


それでもサイの腕立て伏せは終わらなかった。


「九百八十七……


九百八十八……


九百八十九……。」


サイは腕立て伏せを続けた。


腕は激しく震えていた。


「急げ。


こんなことだけで時間をかけ過ぎだ。」


ラジ兄は言った。


「九百九十五……


九百九十六……


九百九十七……。」


サイはもう限界のようだった。


「九百九十八……


九百九十九……。


千!」


サイはそのまま地面へ倒れ込んだ。


息は激しく乱れていた。


「だから言っただろ。


俺の訓練は受けるべきじゃないと。」


ラジ兄は言った。


「だ、大丈夫……。」


サイは答えた。


「本当なら、


すぐ腹筋を始めるところだが……。」


ラジ兄が言う前に、


「やる……!」


サイはすぐ腹筋の姿勢を取った。


「千回だよね?」


サイは尋ねた。


「……ああ。」


ラジ兄は答えた。


「よし!」


サイはすぐ腹筋を始めた。


ラジ兄は、


そんなサイの努力を見て、


小さく微笑んだ。


サイはその日ずっと訓練を続けた。


八の字走り、


タイヤジャンプ、


木の枝での懸垂、


うまくできなかったが、


必死に挑戦した。


さらに、


タイヤを体につけたまま走る訓練まで行った。


ようやく訓練が終わった。


ラジ兄とサイは、


町の景色を見渡せる場所に座った。


太陽はまだ空全体を照らしてはいなかった。


「ラジ兄。」


「カイ兄が、


最初はカイ兄に鍛えられたって言ってたよね。」


「それなのに、


いつからロッキーさんにも鍛えられるようになったの?」


サイは尋ねた。


「朝から昼まではカイと訓練し、


夕方から夜までは勉強し、


少し休んだ後、


真夜中に起きてロッキーさんと訓練していた。」


ラジ兄は答えた。


「兄さん、


全部それをやってたの!?」


サイは驚いた。


「最初は大変だった。」


「でも、


そのおかげで今の俺になれた。」


ラジ兄は言った。


「兄さんは、


体力も強いのに、


どうして警察部門じゃなくて医者になったの?」


サイは尋ねた。


「昨日、


カイが話しただろ。」


ラジ兄は言った。


「あっ……


そうだった。」


サイは気まずそうに言った。


「第三の町は、


国の最大のゴミ処理場の近くにある。」


「だから病気にかかりやすいんだ。」


ラジ兄は言った。


サイは黙って話を聞いていた。


「町には特に何もない。」


「だから政府に襲われたのも一度だけだ。」


「良いところと言えば、


景色がきれいなことくらいだ。」


ラジ兄は言った。


「それだけ?」


「他の町にもきれいな景色はあるよ。」


サイは言った。


「実は、


十八年前に政府が俺たちの町を襲った理由がある。」


「特殊な力を持つ人間を探していたんだ。」


ラジ兄は言った。


「どんな力?」


サイは尋ねた。


「ヒドゥンソウルだ。」


ラジ兄は答えた。


「ヒドゥンソウル?」


サイは言った。


「ヒドゥンソウルは、


第三の町の先住民だけが持つ力だ。」


ラジ兄は説明した。


「その力は非常に強大で、


使う者の魂の中に眠る力なんだ。」


ラジ兄は言った。


「でも、


誰も元素の訓練をしていなかった。」


「だから元素は体の中にあるだけで、


ゴミから出るメタンガスや二酸化炭素を受けると反応するんだ。」


ラジ兄は言った。


「俺たちの体は、


病気や有害なガスに抵抗しようとする。」


「でも訓練されていない元素には、


それを消し去る力がない。」


「その結果、


拒絶するどころか、


危険なガスは体の中に閉じ込められてしまう。」


ラジ兄は続けた。


「そして、


それが元素に影響を与える。」


「元素はガスを消すことはできないが、


そのガスを力へと変え、


元素の中に眠らせ続けるんだ。」


ラジ兄は自分の手のひらを見つめながら言った。


「しかし、


元素を使う訓練をしなければ、


ヒドゥンソウルを使うことはできない。」


「体の中にある元素とヒドゥンソウルは、


外へ出てこないんだ。」


「もし僕が第三の町へ行ったら、


僕もヒドゥンソウルを持てるの?」


サイは尋ねた。


「残念だが無理だ。」


「向こうの人たちは、


生まれた時からゴミのガスが混ざった空気を吸って育ってきた。」


「でもお前はもう十歳だからな。」


ラジ兄は答えた。


「そうなんだ。」


「じゃあ兄さんは、


ヒドゥンソウルを持ってるの?」


サイは尋ねた。


「たぶん持っていない。」


ラジ兄は答えた。


「えっ?


どうして?」


サイは尋ねた。


「ヒドゥンソウルは、


ただの伝説だと言われているからだ。」


ラジ兄は答えた。


「伝説!?」


サイはがっかりした。


「でも、


それを信じている人は多い。」


ラジ兄は言った。


「体の中に閉じ込められた元素は、


いつ爆発するように外へ出るか分からない。」


ラジ兄は言った。


「どうして?」


サイは尋ねた。


「要因次第だ。」


「怒りや強いストレスかもしれない。」


ラジ兄は答えた。


「へぇ、


そうなんだ。」


サイは言った。


「ヒドゥンソウルって、


どんな姿になるの?」


サイは尋ねた。


「元素が外へ爆発すると、


その元素は凶暴な動物の姿に変わると言われている。」


ラジ兄は言った。


「凶暴な動物?」


サイは尋ねた。


「ヒドゥンソウルの持ち主は、


特定の動物へと姿を変える。」


「しかも、


その姿は非常に大きい。」


ラジ兄は答えた。


「エネルギーは大量に消費する。」


「でも戦争では、


とても役に立つ力だ。」


ラジ兄は言った。


「そうなの?」


「じゃあ、


あの時どうして兄さんは使わなかったの?」


サイは尋ねた。


「理由は二つある。」


ラジ兄は二本の指を立てた。


「一つ目は、


ヒドゥンソウルが本当に存在するとは思っていないからだ。」


「二つ目は、


俺にはヒドゥンソウルを持っている兆候すらない。」


ラジ兄は言った。


「その兆候って何?」


サイは尋ねた。


ラジ兄はため息をついた。


「お前は本当に質問が多いな。」


そう言いながら、


サイの髪をくしゃくしゃにした。


「無理やり外へ出ようとするヒドゥンソウルは、


持ち主を傷つける。」


ラジ兄は言った。


「突然現れるものもあれば、


少しずつ現れるものもある。」


「そして欠点は、


一生に一度しか使えないことだ。」


「えっ?


一回だけ?」


サイは驚いた。


「そうだ。」


「もし本当にヒドゥンソウルが存在したとしても、


そんな条件なら、


俺は簡単には使わない。」


ラジ兄は答えた。


サイは何も言わず、


ただラジ兄を見つめていた。


「何だ?」


ラジ兄は尋ねた。


「兄さんがこんなにたくさん話すの、


初めて聞いた。」


サイは笑いながら言った。


ラジ兄はすぐにそのことに気づいた。


「説明している時は、


いつもこんな感じじゃないか?」


ラジ兄は言った。


「でも、


今日はもっとたくさん話してる。」


サイは言った。


「まあ、


好きにしろ。」


ラジ兄は言った。


「そうだ、


学校のことだけど。」


「ルイスとミシェルも学校へ通ってるんだ。」


サイは言った。


「それがどうした?」


ラジ兄は尋ねた。


「みんなの中で、


学校へ通ってないのは僕だけなんだ。」


「僕も学校へ行きたい。」


「昔、


お母さんは学費を払えなくて、


僕は学校を辞めなきゃいけなかった。」


サイは言った。


「そうだったのか。」


ラジ兄は少しかわいそうそうな表情をした。


「実は、


お前は――。」


「ゴールドオーガニゼーション・アカデミーはどうだ?」


突然、


カイが二人の間に現れ、


ラジ兄の言葉を遮った。


「うわっ!」


サイは驚いた。


「いつからそこにいたの?」


サイは尋ねた。


「今来たところだ。」


「特にやることがなかったから、


二人のところへ来たんだ。」


カイは答えた。


「びっくりさせないでよ。」


サイは言った。


「そうだ、


さっき言ってたゴールドオーガニゼーション・アカデミーって何?」


サイは尋ねた。


「その通り!」


「そこはゴールドオーガニゼーションの隊員のための学校だ。」


「もちろん、


通うのは義務じゃないけどな。」


カイは答えた。


「そんな学校があるなんて知らなかった。」


サイは言った。


「入れるように手伝うことはできる。」


「でも――。」


ラジ兄は言った。


「でも何?」


サイはラジ兄の言葉を尋ねた。


「あそこには中学校しかない。」


「しかも、


一番年下の生徒でも十二歳だ。」


ラジ兄は言った。


「そうだった。」


「僕はまだ十歳だったね。」


サイは少し落ち込んだ。


「でも、


高校もあるぞ。」


カイは言った。


「勉強の遅れを取り戻して、


その学校の授業についていけるなら、


俺が手伝ってやる。」


ラジ兄は言った。


「絶対できる!」


「僕、


勉強は大好きだから!」


サイは言った。


「でも……。」


サイは急にためらった。


「どうした?」


カイは尋ねた。


「僕、


小学校の卒業証書がないんだ。」


「それでも学校へ行けるの?」


サイは尋ねた。


「安心しろ。


そのことは俺に任せろ!」


カイは言った。


「本当に手続きできるの?」


サイは尋ねた。


「もちろん!」


「それに、


この国で卒業証書なんて気にする人がいるか?」


カイは言った。


「じゃあ、


僕また学校へ行けるの!?」


「やったー!」


サイは嬉しさのあまり飛び跳ねた。


「また学校へ行ける!」

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