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第19章 友達になる

サイはカフェでの仕事に忙しかった。


テーブルを拭き、


客のテーブルから汚れた皿を片づけ、


掃除をし、


注文を運び、


その他いろいろな仕事をしていた。


そのカフェはかなり賑わっていて、


サイはとても忙しかった。


時計は午前十一時を指していた。


その頃には、


カフェは少しずつ空いてきていた。


サイが一つのテーブルを拭いていると、


一人の人物がカフェへ入って来た。


「サイ。」


その人物は呼んだ。


サイは振り向いた。


「ルイス!」


サイは元気よく言った。


「なんでまだ働いてるんだ?」


「この時間ならもう仕事は終わってるだろ?」


ルイスは尋ねた。


「え?」


「そうなの?」


サイは時計を見ながら言った。


「もういいから。」


「早く帰って遊ぼう。」


ルイスは言った。


「ちょっと待って!」


「先に店長のお兄さんに許可をもらわないと。」


サイは言った。


「なんで?」


「仕事はもう終わってるじゃないか。」


ルイスは言った。


その間に、


サイは店長のお兄さんのところへ歩いて行った。


「お兄さん。」


サイはレジ係と話していた店長のお兄さんに声をかけた。


「何だ?」


彼はぶっきらぼうに答えた。


「もう十一時ですけど、


帰ってもいいですか?」


サイは尋ねた。


「帰る?」


「なんでそんなに早……。」


サイを叱る前に、


突然ルイスがサイの隣へ立ち、


二人の会話を聞き始めた。


「こんにちは。」


ルイスは挨拶した。


「こ、こんにちは。」


店長のお兄さんも挨拶を返した。


「パンを三つください。」


ルイスは言った。


「はい。少々お待ちください。」


そう言うと、


店長のお兄さんはルイスの注文を用意した。


「どうぞ。」


そう言って、


注文したパンを渡した。


ルイスはそのパンを受け取った。


「それで、お兄さん。」


「サイはもう帰ってもいいですか?」


ルイスはお金を渡しながら尋ねた。


「それは……。」


店長のお兄さんはサイをちらりと見た。


「……ああ。


帰っていい。」


店長のお兄さんは仕方なく言った。


「ほら、


行こう!」


ルイスはサイの肩を組み、


そのまま連れて行った。


サイはそのままついて行った。


椅子の上に置いてあった自分の鞄を取りながらも、


ルイスに肩を組まれたままだった。


「じゃあね、店長のお兄さん!」


サイはそう言って去って行った。


店長のお兄さんは、


不機嫌そうな顔をすることしかできなかった。



***


「なんで働かなきゃいけないんだ?」


「そのせいで遊ぶ時間が減っちゃうじゃないか。」


ルイスは言った。


「もちろん、お金を稼ぐためだよ。」


「生活は無料じゃないんだから。」


サイは答えた。


「そういえば。」


「組織の教官たちは元気なのか?」


ルイスは尋ねた。


「まあまあ元気だよ。」


サイは言った。


「カイ兄は戦争の日の夜にはもう目を覚ましたよ。」


「レオンさんはもう普通に活動できるけど、まだ頭に包帯を巻いてる。」


「ロッキーさんとオーロラ先生は、まだ医務室で意識が戻ってないんだ。」


「それからソフィア姉は元気だけど、昨日飛行機で全部壊しちゃったことを何度も謝ってた。」


サイは説明した。


「なんで謝るんだ?」


「それは彼女のせいじゃないだろ。」


ルイスは言った。


「さあ。」


「ただ申し訳なく思ってるだけかもしれない。」


「ところでサイ。」


「毎日朝からこの時間まで働いてたら、学校はどうするんだ?」


ルイスは尋ねた。


「学校?」


サイは言った。


「そう。」


「俺はあそこへ通ってる。」


ちょうどその時、


二人はかなり立派な学校の前を通りかかった。


二人はその学校の向かい側で立ち止まった。


「わあ。」


「あれが学校なの?」


サイは感心した。


その学校の名前は、


スクール・ファイブだった。


「そうだ。」


「俺とミシェルはあそこで勉強してる。」


「ただ、クラスは違うけどな。」


ルイスは再び歩き出した。


「そうなんだ。」


「見た感じ、あの学校って学費が高そうだね。」


「ミシェルも君みたいなお金持ちなの?」


サイは尋ねた。


「違う。」


「彼女は裕福とは言えない。」


「でも奨学金で入学したんだ。」


ルイスは答えた。


「貧しい子どものための奨学金?」


サイは尋ねた。


「違う!」


「成績優秀者向けの奨学金だよ。」


「ミシェルはかなり頭がいいんだ。」


ルイスは言った。


「へぇ。」


「僕、ミシェルのことはまだあまり知らないな。」


サイは言った。


「その奨学金のおかげで、彼女は何も払わなくていいんだ。」


「この町で一番の学校に入れて、本当に運がよかったよ。」


ルイスは言った。


「なんで学校の名前がスクール・ファイブなの?」


「五つあるってこと?」


サイは尋ねた。


「違うよ。」


「ファイブっていうのは、この町の名前なんだ。」


「ファイブ・シティ。」


ルイスは答えた。


「へぇ。」


サイは納得したようにうなずいた。


「それで。」


「サイはどこの学校に通ってるんだ?」


ルイスは尋ねた。


「僕は……。」


サイは少し答えるのをためらった。


「もう学校は辞めたんだ。」


「え?」


「どうして?」


ルイスは驚いた。


「家が貧しかったから。」


「三年生の時だった。」


サイは答えた。


「それは残念だったな。」


ルイスは言った。


「そうだ。」


「今からどこへ行くの?」


サイは話題を変えた。


「ミシェルの草原。」


ルイスは答えた。


「え?」


「ミシェルのところ?」


サイは驚いた。


ルイスはうなずく。


「何しに行くの?」


「また殴られたいの?」


サイは言った。


「今回はちゃんと行くんだ。」


「昨日みたいに畑を壊したりしない。」


ルイスは言った。


「じゃあ好きにして。」


サイはそのままついて行った。



***


その頃、


草原では、


ミシェルが植物に水をあげていた。


いつものように、


ミシェルは帽子をかぶっていた。


「おーい!


ミシェル!」


誰かが呼んだ。


ミシェルは、


草原へ続く坂道の上にある道の方を向いた。


ルイスとサイは、


その草原へ滑り降り、


ミシェルのところまで歩いて行った。


「また何しに来たの!?」


ミシェルは言った。


サイは、


ミシェルが怒り始めたのを見ると、


すぐにルイスの後ろへ隠れた。


「お、俺たちはただ寄っただけだ。」


ルイスは言った。


ミシェルは少し眉をひそめながら二人を見た。


「別にいいけど、


もう私の植物を壊さないで。」


そう言うと、


また植物に水をあげ始めた。


「気をつけるよ。」


「もし壊したら、


また弁償する。」


ルイスは言った。


「いつから他の人がこの草原へ入ってもよくなったの?」


「最初に私が来た時は、


すぐ追い出したのに。」


サイは言った。


「追い出してほしいの?」


ミシェルはサイの方を向いて言った。


「ち、違うよ。」


サイは言った。


「そんなこと言わないで。」


「僕たちと一緒にパンを食べない?」


ルイスは、


さっき買ったパンを見せながら言った。


ミシェルは不思議そうな顔でルイスを見た。


「いつから私たちは友達になったの?」


ミシェルは言った。


「じゃあ、


今から友達になろう。」


サイは元気よく言った。


「サイの言う通りだ。」


「戦争の日も一緒に過ごしたじゃないか。」


ルイスは言った。


ミシェルは、


ただ不思議そうに二人を見つめていた。



***


サイとルイス、


そしてミシェルは一緒にパンを食べた。


三人はその緑の草原に座っていた。


「この植物は全部一人で世話してるの?」


ルイスは尋ねた。


「いつも一人ってわけじゃないよ。」


「時々お母さんも一緒。」


ミシェルは答えた。


今はもう帽子を脱いでいた。


「でも、


いつも一人でやってるように見えるけど。」


ルイスは言った。


「お母さんには休んでいてほしいの。」


「疲れてほしくないから。」


ミシェルは言った。


「お父さんはどうしたの?」


ルイスは尋ねた。


「もういない。」


ミシェルは答えた。


ルイスとサイはそれを聞いて驚いた。


二人とも気まずそうな表情になった。


「じゃあ僕たち同じだね。」


サイは言った。


「そうなの?」


「今はお母さんはどうしてるの?」


ミシェルは尋ねた。


「お母さんは……。」


「お父さんのところへ行っちゃった。」


サイは言った。


ルイスはとても申し訳なさそうな顔をした。


「そうだったんだ。」


ミシェルは言った。


「お父さんは、


私が七歳の時に出て行った。」


「私が男の子みたいだったから、


お母さんを守れって言われたの。」


ミシェルは言った。


「でも逆に、


お母さんは私が男の子みたいに振る舞うのを嫌がる。」


「女の子なんだから、


そんなことしちゃ駄目だって。」


ミシェルは言った。


「だからあの時、


髪飾りを使ってたことで怒られたの?」


サイは尋ねた。


「うん。」


「本当は髪をいつも短く切ることも嫌がってる。」


ミシェルは答えた。


「そういえば、


あの時のお前のロープダートだけど……。」


ルイスは言った。


「これのこと?」


ミシェルはルイスの言いたいことが分かっていた。


そう言うと、


腰のバッグからロープダートを取り出した。


「これ、


何年もかけて作ったんだよ。」


ミシェルはそう言って見せた。


「本当にこれ、


自分の髪で作ったの?」


サイはその武器を持ちながら言った。


「わあ。」


「髪、 どれだけたくさんあるの?」


ルイスは言った。


「私、 髪がすぐ伸びるの。」


「それに長い髪は好きじゃない。」


ミシェルは自分の髪に触れながら言った。


「本当は、 あなたたちみたいな髪型に切りたいんだけど。」


「でもお母さんが、 これ以上短くするのは駄目だって。」


ミシェルは言った。


「お母さん、 決まりごとが多いんだね。」


ルイスは言った。


「だから私はいつもこの帽子をかぶってるの。」


「そうすれば、 みんなが私の本当の性別に気づきにくいから。」


ミシェルは言った。


「どうしてそんなに男の子になりたいの?」


サイは尋ねた。


ミシェルはただ二人に微笑んだ。


「これからも私と友達でいてくれたら、

その答えは分かるよ。」

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