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第11章 試験結果

サイはゴールド・オーガニゼーション本部の広場へ走って戻ってきた。


そこにはすでに多くの人が集まり、整然と並んで演壇に立つレオンのほうを向いていた。


「皆さん、おはようございます。」


レオンが挨拶した。


「おはようございます!」


受験者たちは声をそろえて返事をする。


サイも一緒に挨拶した。


「今日、皆さんには一通の手紙をお渡しします。」


「その中には、皆さんが合格したかどうかが書かれています。」


レオンはそう言った。


サイは緊張した。


試験結果が気になって仕方がなかった。


「それでは、これから結果を配ります。」


「私が指示するまで開けないでください。」


レオンが言った。


数人の係員が列へ向かって歩き出す。


一番前の列から順番に封筒を配り始めた。


一番後ろに並んでいたサイは、ただ待つしかなかった。


しばらくして、ようやくサイの番が来た。


サイは嬉しそうに封筒を受け取る。


早く中を見たくてたまらなかった。


「全員、受け取りましたか?」


レオンが尋ねた。


「はい!」


全員が答える。


「それでは、開けてください。」


その言葉と同時に、全員が一斉に封筒を開けた。


サイも封筒を開き、中の紙を取り出す。


結果を見た人たちの表情はさまざまだった。


喜ぶ者もいれば、落ち込む者もいる。


サイも結果を読んだ。


その瞬間、彼は驚いた。


しかし、その表情からは何を思っているのか読み取れなかった。


「それでは、合格した皆さん、おめでとうございます。」


レオンはそう言った。



---


「コンコン。」


巨大で豪華な建物の一室の扉がノックされた。


「入れ。」


部屋の中から男の声が響く。


部屋の中は薄暗く、窓から差し込む朝日だけが室内を照らしていた。


そのため、男の顔も、背後に飾られた大きな肖像写真もはっきりとは見えない。


ただ、写真に書かれた「ヌメシア政府」という文字だけが光に照らされ、はっきりと見えていた。


一人の男が静かに部屋へ入る。


「バン!」


男は一枚の書類を机の上へ置いた。


「何だ?」


男は眉をひそめた。


「何の用だ。」


「私は忙しい。」


「忙しい?」


「国民の金を使うことでか?」


白衣を着た男――胸にはケンという名札が付いていた――は冷たく言った。


「用件を言え。」


「勝手な真似をするな。」


政府の男は言った。


「この資料が見えないのか?」


ケンは机の上の書類を指さす。


男は書類へ目を向けた。


そこにはゴールド・オーガニゼーション新規隊員受け入れ数という題名のグラフが載っていた。


「見ろ。」


「ゴールド・オーガニゼーションは年々勢力を伸ばしている。」


ケンは言った。


「だから何だ?」


政府の男は答える。


「このまま力を持ち続ければ、いつか政府へ反旗を翻し、クーデターを起こすかもしれない。」


「そうなってからでは遅い。」


ケンは低い声で言った。


「だから、お前はまたゴールド・オーガニゼーションを攻撃するつもりか?」


「もう五回目だぞ。」


政府の男は言った。


「必要なら何度でもやる。」


ケンは答えた。


「好きにしろ。」


政府の男は短く言った。


「今回こそ失敗するな。」


ケンは小さく笑った。


「当然だ。」


「それで、お前の実験はどうなった?」


政府の男が尋ねる。


「例の生物か?」


ケンは鼻で笑う。


「あれは死んだ。」


「俺はずっと以前から、実験に失敗した生物をウィルダネスの森へ捨てていた。」


「あの森が危険なのは、そのせいでもある。」


「今回の試験でも、その中の一体を送り込んで試験を妨害した。」


「受験者を何人も殺すことには成功したが、試験そのものを潰すことはできなかった。」


「結局、試験は中止になっただけで、奴らは受験者の結果をそのまま評価した。」


ケンは悔しそうに言った。


「またやればいい。」


政府の男は言う。


「簡単に言うな。」


「もっと大きな打撃を与えなければ意味がない。」


ケンは静かに言った。


「見ていろ。」


「俺は必ず、ゴールド・オーガニゼーションを滅ぼしてみせる。」



---


サイはゴールド・オーガニゼーション本部の廊下の窓辺にもたれ、外をぼんやりと眺めていた。


その表情からは何を考えているのか分からない。


ただ静かに外を見つめているだけだった。


窓の外、本部前の広場では十人ほどの新しい隊員たちが朝の空の下で整列していた。


彼らはレオンの後に続いて、入隊の誓いを唱えている。


「我々は決して裏切りません。」


レオンが言った。


「我々は決して裏切りません。」


隊員たちが続ける。


「我々は国と組織のために尽くすことを誓います。」


レオンが続けた。


「我々は国と組織のために尽くすことを誓います。」


隊員たちも復唱する。


サイは何の表情も浮かべず、その光景を見つめ続けていた。


ちょうどその時、ラジが廊下を歩いていた。


窓の前で外を眺め続けるサイの姿に気付く。


不思議そうに眉をひそめると、そのままサイの隣まで歩いてきた。


「サイ。」


ラジが声をかける。


「えっ、ラジ兄。」


サイは振り向いた。


「どうした。」


ラジはサイの隣に立つ。


「何かあったのか。」


サイはぎこちなく首を横に振った。


「ううん。」


「何でもないよ。」


そう言うと、再び外へ目を向ける。


ラジも不思議に思い、窓の外を見る。


そこには、入隊の誓いを続ける十人の合格者が並んでいた。


(落ちたのか……。)


ラジは心の中で静かにつぶやく。


ラジ自身も結果は知らなかった。


カイが試験結果を教えてくれなかったからだ。


ラジも何も言わず、サイと同じように外を見つめた。


「ごめんね、ラジ兄。」


突然、サイが口を開く。


ラジはサイを見る。


「僕……。」


「ラジ兄をがっかりさせちゃった。」


サイは声を詰まらせながら言った。


涙をこらえようとしていた。


ラジは少しだけ悲しそうな表情になる。


サイがかわいそうだった。


「せっかく……。」


「ラジ兄が勉強を教えてくれて……。」


「訓練もしてくれて……。」


「僕はいつもラジ兄に頼ってばかりで……。」


「時間まで使わせちゃったのに……。」


サイは必死に涙をこらえる。


ラジが泣くことを好きではないと知っていたからだ。


ラジは小さく微笑んだ。


「泣き虫だな。」


「俺は別にがっかりしていない。」


ラジは言った。


サイは驚いてラジを見る。


「でも……。」


「僕は……。」


「お前はちゃんと努力した。」


「それだけで十分だ。」


「俺はお前を誇りに思っている。」


ラジは静かに言った。


「ラジ兄……。」


「僕を誇りに思ってくれるの?」


サイは驚いた 。


「当たり前だ。」


「お前は俺の弟だからな。」


ラジはそう言って、サイの頭を優しくなでた。


サイは感動したように笑う。


「ありがとう、ラジ兄。」


そう言って涙をぬぐった。


「諦めるな。」


「来年、また挑戦すればいい。」


ラジは言う。


サイは力強くうなずいた。


「うん!」


「次の試験では絶対合格する!」

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