聖剣使い
「ロアク! どこまで連れていく気だ!?」
レックスが突然の状況に戸惑いながら説明を求める。
「こいつ俺のことを見てねえ! 多分グランフォスを追ってる! 止めねえと不味いぞ!」
「なんだと!?」
前後で地龍を挟んで大声で会話するロアクとレックスを無視して暴れながら走り続ける地龍。
既に21階層を抜け、現在は20階層に上がってきており木々を薙ぎ倒しながら進み続ける。
「このままじゃやべえな・・・・・・」
この先にいる大勢の冒険者がこいつとかち会えば、何も出来ずに轢き殺されることになる。
それだけは何としてでも阻止したい。
出来ることならグランフォスに行ったように平原が広がっていて戦いやすい15階層で戦闘をしたいが、そこで止められる確証が無い以上は今から止めにかかるしかない!
「レックス! こいつを止めるぞ!」
「止めるって・・・・・・これをか?」
全長10mを超える巨大な地龍、もしこの走行に巻き込まれれば誰であっても一溜りもないだろうことは明白だ。
それを遠距離での手段も無しにどう止めるんだとレックスは頭を抱える。
そしてロアクが出した解決策は・・・・・・。
「遥かなる海の彼方より、我らの地を侵さんと迫り来る絶望の闇よ」
詠唱だった。
今まで一刀流で戦っていたロアクは、二刀流になっておりその手には真っ黒に染まった漆黒の剣を持っていた。
「燦然たる黄金の刃にて焼き尽くし、照らし示そう!」
「「「!?」」」
全員がロアクの詠唱に気付く。
「おいおい聞いてねえぞ剣士の方は魔法はからっきしじゃねえのかよ!」
フードの男が悪態を吐いているのが聞こえたが、レックスだけが気付く。
実際に見るのは初めてだが、ロアクが聖剣という伝説上の武器を持っていると言うことを。
そしてそれは、使用者や味方に強力なバフを与えるということも。
「光輝く我が剣よ、闇を切り裂き、我らを導き、永劫の勝利を齎せ!」
「クソがあ! 間に合わねえ!」
そして、完成する。
「不敗の太陽!!」
漆黒の剣が、太陽の輝きを放っているかと錯覚するほどの黄金の剣へと変わっていくまさに奇跡のような現象。
まるで夢でも見ているかのような、そんな雰囲気すらあるほどの神々しさを放っている。
「おお!? なんだ、これ・・・・・・」
体の疲れが一切なくなり怪我をしていた箇所が完全に塞がっていた。
そして分かりやすいほどの身体能力の上昇。
身体能力のレベルが1段階、いや2段階ほど上がったような感覚で調整が難しい。
「レックス! 止めるぞ!」
「あ、ああ!」
ロアクがついに動き出す!
前進を止めて振り返り地龍を目を合わせ尚も進み続けようとする地龍をすれ違いざまに二刀の剣で斬り刻む!
五感も上がっているのか、反射神経が凄まじく一切地龍に触れずに受け流しカウンターを決めるロアクについ笑ってしまう。
「はは、あいつも大概化け物だな」
自分では絶対に出来ない動きをしているロアクを見ながら、ロアクの攻撃に怯む地龍の背後から大剣を大きく振り上げ、強化された身体能力を余すことなく使い超速で叩き下ろす!!
ギャアアオオオオオオ!!
レックスの剣は切断まではいかなかったが、地龍の後ろ足を深くまで斬りつけて大ダメージを与えていた。
「ぐっ!?」
後ろを足を大きく振るってレックスは横に思いっきり吹き飛ばされ木を数本折りながらようやく勢いが止まる。
「まずは一撃・・・・・・」
口から垂れてくる血を拭いながらレックスは立ち上がる。
これなら勝てると、そう確信しながら。




