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てんやわんやで異世界転生  作者: いんふぃ
第3章 マルガス公国
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てんやわんやな聖域回5

 芋焼酎を飲みながら洗脳されたと思う頃からの話をしてくれるユーリッヒ。


 他のみんなもお腹が空いているようなので、鹿の肉を焼きながらの話になった。


 鹿の焼き肉につけるタレはリンを使った果物と野菜で作ったタレだ。


 甘辛く、何にでも合うように作っていたのでこういう野外での食事にはぴったりだ。


 パンはチーズを練りこんだ物だが、火で炙り直して焼き肉と食べると中々味に深みが出る。


 オモチとユーリッヒが争うように食べる中、リッツは果物をマイペースに食べておりハニカムさんだけがユーリッヒの話が食事よりも気になるためか食が進まないようだ。


 最後の料理である野菜スープを作り終え、みんなに配りながら、ユーリッヒから聞いた話を確認していく。


「それじゃあ、ユーリッヒは村から離れてユフリス国で密偵として働いている時に魔獣教団と出会ったんだね? 」


「あぁ…そうだ。俺は村でも1、2を争うほど森や山での活動が得意だったんだが、ユフリス国の村の領主でもある男爵にその腕を見初められてな、ユフリス国の密偵として主に野外での活動をしていたんだ」


 そこでユーリッヒは酒と肉を口に運び、美味しそうに食べる。


「ある事件に、魔獣教団という物騒な名前の教団が関係するという話が出て俺はその教団の本拠地を探るべくユフリス国とマルガス公国の国境付近にある砦に向かった訳だが、そこで魔剣使いの男に見つかってしまってな…その後教団の教祖とやらに捕虜として会った時に、多分洗脳されたのではないかと思っている」


 あまり思い出したくない事なのだろう…酒を口に運ぶ回数が増える。


「成る程…でも、その時だと思うからには理由があるんだよね? 何が原因だったと考えているの? 」


 俺の疑問に、ユーリッヒは苦笑いを浮かべながら話してくれる。


「そりゃ捕虜と話す時に、竪琴を持って話す奴なんざいないだろ? その後の記憶が曖昧なのを考えても、あの竪琴が怪しいとしか思えんよ…」


 そう言って酒を一気に飲み干すように飲み出すユーリッヒ……しかし、竪琴だと? 音楽関係でしかも洗脳…嫌な予感しかしない。


「仕方がないかぁ…それは後で聞きに行くとして、ユーリッヒ。魔獣教団の狙いはその竪琴を使っての魔獣を操ることが目的だったりする? 」


 自分の言葉にギョッとしてスプーンを落とすハニカムさん…ごめんよ、どうやら今回は前より大変な事に巻き込んだみたいだ。


「あぁ…それなんだが、教団の設立初期に試したようだが失敗したと聞いている。どうやらその為に、龍の契約に目をつけたみたいだ。俺が指令受けたのは竜の聖域と言われるこの場所での内偵だ。マルガス公国内にも俺のように洗脳された人間が何人かいるから大変だろうな」


 ユーリッヒは気の毒そうな目で、スープの器を持って震えているハニカムさんを見ている。


 ハニカムさんは今すぐにでもこの事を大公に知られせたいのだろうが、今ここで聖域から離れると、その動きが魔獣教団に洗脳された者達にバレる可能性が高く、それにより更なる問題が起こる可能性が出てくる。


「ぐっ…手も足も出ないとはこの事か…」


 苦渋の決断をしているハニカムさんに、自分は呑気にその件について答えてあげる。


「ハニカムさん。この件については今日中にでも大公殿下に私から伝えますからそこまで気にしないでください。それよりも、魔獣教団が他に何をしているか知る必要があります」


 自分の言葉に驚きを通り越して、時間が固まったかのように動きが止まるハニカムさん。


「それで魔獣教団は他にどんな実験や、活動をしていたか知っている事を教えてくれないか?ユーリッヒ」


 自分の言葉に戸惑いながらも洗脳された時の記憶を語ってくれるユーリッヒ。


「そうだな…幽霊や死霊系は操れたから、幽霊船として活躍させているとは聞いた。後は各国に洗脳した人間を何人も潜入させていて、機会を見て国の中枢部自体を洗脳する作戦を立てているみたいだ。しかし、教祖は他の2人と違って魔獣を操ることに力を入れているからな、内部でも二極化している所だ」


 幽霊船と聞いて、自分はこの国に来る途中の幽霊船をすぐに思い浮かべる…不味いな、かなり自分は魔獣教団の陰謀に関わっていたようだ…しかし、それより気になる事が出来たぞ?


「教祖以外にも教団で意見が言える人間が2人もいるのか? その人達の事を教えてくれないか? 」


 かなり赤ら顔になってきたユーリッヒは、機嫌良さそうに話してくれる…これ、酒さえ与えていたら情報勝手に喋ってくれたかも知れないな……


「あー教祖のラザレスは元々音楽家だったらしいが、魔獣に家族を殺されてから冒険者になったらしい。その時から一緒のメンバーで今の教団の幹部としているのが魔剣使いのゼロスと魔術師のギラフなんだが、ギラフがどうやら各国に対する洗脳を進めていてな、ゼロスは戦えれば良いという男だし、それで教祖のラザレスと最近折が合わなくなってきているんだ」


 話を聞けば聞くほど、マルガス公国周辺の危機が迫っているという感じだ。


 それにしても魔獣に家族を殺されたのに魔獣教団と名付けるのか…かなり問題のありそうな教団だな。

読んで頂きありがとうございます。


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