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てんやわんやで異世界転生  作者: いんふぃ
第3章 マルガス公国
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てんやわんやな聖域回6

 魔獣教団の構成を聞いてみると、教祖以外に2人の幹部がいる事をユーリッヒから聞く事が出来た。


 1人は魔剣士のゼロス、この男は以前砦で戦うことになった男だと思われる。


 マスタークラスの魔剣の使い手などこの大陸でも中々いない逸材だろう。


 撤退の時の判断力なども的確だったのでかなり手強そうな相手だ。




 もう1人の魔術師のギラフについては名前程度しか分からなかったが、ゼロスと同じ冒険をしてきた相手だと考えれば気が抜けない相手に間違いはないと思う。


「さて、マルガス公国にも大変不味い状況だというのは分かったけど、ユーリッヒはこれからどうする? 操られていたんだから自分としては無罪放免と行きたい所なんだけど使えていたユフリス国に戻っても大丈夫なの? 」


 俺の言葉に空になった水筒をこちらに投げ、不敵に笑うユーリッヒ。


「大丈夫、と言いたい所だが多分裏切り者扱いされるだろうな。村の仲間に迷惑をかけてしまった事だけが心残りだがな…」


 そんな不憫なダークエルフのユーリッヒだが、かなりの探索能力に機転の良さも持っている。


 このまま見捨てるのも嫌なので一つ取引してみよう。


「それなら自分がマルガス大公に口利きをするから、このまま自分をフォローしてくれないかな?手柄を立ててユフリス国に戻れば流石に手打ちとはならないだろうしね」


 自分の提案に目を細めこちらの心を覗くように見てくるユーリッヒに、やはりこの男を失う事を残念に思う気持ちが出て来てしまう。


「どういうことだ? 俺はここに不法侵入をして、マルガス公国で裁きを受けるんじゃ無いのか? それが手伝うだけで許されるとは俺に都合が良すぎて逆に不安になるんだが…」


 ハニカムさんも俺の提案に驚いてはいるようだが口を出してはこない。


 どうやらある程度、自分の行動を見ていく事にしたのだろう。


「正直こちらが不利過ぎて手が足りない。公国に援軍を頼めば、間違いなく奴らに気付かれる。かと言って自分について来てくれるような人にも心当たりはない。ほら、どうしようもないんだよ。魔獣教団に知られないように動くには少数精鋭で行くしかなさそうだしね?なら、自分が戦ってある程度手の内が読める相手の方が仲間に相応しいという事さ」


 自分の言葉に納得という感じで見てくるユーリッヒに対して、ハニカムさんは絶望的な表情でこちらを見てくる。


 自分はにっこりと2人に笑いかけこれからの段取りを話していく。


「それじゃ悪いけど2人とも強制だけど手伝ってくれるよね? 」


 対照的な2人だがこの時だけは同じように肩を落として頷いてくれた。







 ある程度の戦略を話した後、2人をテントに押し込め、自分は離れた所で神の箱庭に入る。


 門の女神像に後で開いてもらう場所を告げた後、楽器の話を聞くためにラシャンがいるであろう広間へと向かって歩いていく。




「待っていましたよ。色々聞きたいことがあるでしょうからそこに座りなさい。それとこの場所に楽天使の使徒を呼ばせてもらっても良いですか? 」


 ラシャンの言葉に頷く自分。


 それ見たラシャンは天使のしーちゃんを呼び出して何かを言付けるとしーちゃんはその場から霧のようになって消えていった。


 しばらくすると、しーちゃんに手を握られて済まなそうな顔をした女性が現れる。


「すいません、識天使様。今回もうちの馬鹿がご迷惑をお掛けしたようで…ベル様も何度もお手を煩わして申し訳ありません」


 ひたすら頭を下げるピュセルさんにこちらも頭を軽く下げ、使徒として同情しながら挨拶をする。


「お久しぶりですね、ピュセルさん。今回は少しお話をお聞きしたくて来て頂きました。宜しければお聞きしてもいいですか? 」


 自分の言葉に恐縮しながらも、ラシャンに挨拶をし終わったピュセルさんは自分の疑問に答えてくれる。


「間違い無くうちで無くなった物でしょうね。竪琴はかなりの数の品をうちの馬鹿は作っていますから特定は難しいですが、音で人を操れる程の物ですと神具に間違いありません」


 ピュセルさんが溜め息をつきながら竪琴の事を教えてくれるが、また神具か…それじゃ近寄る事すら難しいんじゃないかな?


「前のような神具ですと正直近寄る事すら出来ませんね? もうこれは神様の対応案件なのではないですか? 」


 自分の言葉にピュセルさんは顔を蒼褪め、ラシャンは難しい顔をする。


 あれ?自分はおかしい事を言ったのだろうか? そんな事を考えていると、ラシャンが額の眉を寄せながら理由を教えてくれる。


「そうなると楽天使の責任として、楽天使を神として罪に問わなければなりません。それ自体は問題ないのですがそうなると間違い無く地上は混乱し戦乱の世の中となるでしょう。元々あの子は神になりたくない様子でしたからこれ幸いと神の座を喜んで降りるでしょうね…頭が痛くなって来ました」


 何という面倒くさい神様なんだ! 問題は起こすは、その責任を取らせれば地上の世界が危なくなるわ…これって踏んだら蹴ったりではなかろうか。


 大きく項垂れるピュセルさんを見ながら、自分は本当に楽天使の使徒でなくて良かったと思うのであった。






自作品コラボの短編小説を投稿しております。この世界に少しだけ関係がある設定などが盛り込んでありますので、お暇な時間があれば読んで頂けると嬉しく思います。後書きの下にリンクを貼っておりますのでよろしくお願いします。




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