てんやわんやな晩餐会
大公のバルトさんがいなくなり、ギルツとクリステラさんの2人が部屋に残っている。バルトさんから2人の話を話し相手になってくれた言われたがどんな事を聞かされるか正直分からない。
「ベル殿には是非我がドルティア公爵家に来て頂きたいのです。ギルツとベル殿には父上からも会いたいという連絡を受けておりますので今日の夜にでもお食事にお招きしたいと思っていますがいかがでしょうか?」
これ又断れないような所からの話だ。マドックを見るが他人のフリだ。お前一応親父役だろう⁈
「お受けしたいのは山々なのですが流浪の民故に礼服など持ち合わせておりません。公爵様に非礼をする事になってしまうのでお許しを。」
ない頭で断る理由を見つけ辞退しようとしたのだが次の言葉に負けてしまう。
「大丈夫です。父から服装や身の回りの物を全て揃えるよう仰せつかっていますから心配ありません。」
にっこり微笑むクリステラさんに勝てる道理はなく渋々服飾店に行く事になったのである。
「これは流石に酷いと思うんです。」
泣きそうになる自分を何とか堪えながらクリステラさんに抗議するがお付きのメイドさんや店の店員さんときゃあきゃあ言ってるだけで聞いてくれない。事の起こりは服飾店に着いてからだ。どう見ても女性服の店なんだが。嫌な予感がしてクリステラさんを見ると、申し訳なさそうに理由を教えてくれる。
「実は父上に会った時にベル殿の話をしたのですがどうもその時に女性と勘違いしてしまったようで………陛下にもお話しさせて頂いたのですが先程お帰りの時に「あれなら女性と間違えても仕方がなかろう。」と言われそれなら女性として合わせた方が…いいかなと。」
照れた顔でいい話にしようとしても駄目ですよ。これじゃ自分が嘘をついてしまう形になる。その辺を説明してとっとと場所を変えようとしたのだか、目に涙を浮かべられたらこっちはどうしようもない。さらに理由を聞くと面倒な話を聞いてしまう。
「実は………父は私に近づく男の方をよく思わないらしく男性の方々が私に近づこうとするだけで威圧するようなんです。私の前ではそういった態度を見せませんが周りの人が言われるにはかなり酷いらしく、今では私に近づく男性は殆どいません。騎士団の方と仕事でのお付き合いをさせて頂く位なんです。」
涙目でそんな事を言われたら想像するだけで死んでしまいそうだ。どんだけ娘を可愛がっているんだよ!全身鎧を脱いだクリステラはか細く儚げな感じがするので余計に父親の気持ちが分かってしまうが………やり過ぎだ。
「それで………私に女装しろと?流石に女装なんてした事ありませんしこれからもするつもりは無かったのですが?」
ため息交じりで言葉を出すが本当に気乗りしない。非礼を承知で断りたいがそれをするとクリステラさんが間違いなく叱責を受けるだろう。
「分かりました。良いですよ。その代わり1つだけ約束して欲しい事があります。この事でコルカ王国に迷惑が掛からないようにしてください。絶対にですよ?あと貴方にも貸し1です。ギルツには貸し2から3になるようこちらから言っておきます。」
絶対にギルツも関わっているからな。奴には痛い思いをしてもらおう。
「この服なんかどうでしょう?」
「髪の艶が凄いわ。しっとりしてるのにサラサラなんて訳が分からないわ。」
「腰も細いし肩幅もそれ程無いからいいわね。一応コルセットも用意しておいて。」
「お化粧が難しいわね。髪には銀粉程度で良いとしてお顔は下手にしない方がいいかも。口紅だけで充分だわ。」
「服の色は白にしましょう。そちらの方が映えるわ。あと全体的に飾りは少な目の方が良さそうね。首飾りと髪飾りは銀色で纏めましょう。靴も銀色が良いかな?」
「お肌モチモチなんですけどー。本当に男の子何ですか?」
「瞳は金色が混じっているのね。エギゾチックな感じて良いわぁ。」
されるがままである。もうどうしようもない。最初にクリーンの魔法を嫌という程かけられ、服を脱がされ下着姿をみんなに見られながら合う服をチェック。服が決められたら装飾と化粧を始められ服はその間に手直しされる。何時間経ったんだろう。やり切った感じのメイドさんや店員さんの顔を見るとそれなりに纏まったらしい。自分で評価はしたくないし見たくもない………
フォーベイン家にギルツをそのまま迎えに行く。ギルツの方も貴族として家に報告する事があるのだろう。クリステラと2人で出てくるのを待つ。
クリステラからは頬を赤く染めながら敬称無しで呼んで欲しいと言われたのでそうしている。公式な場所ではするけどね。
「すまない待たせたな。クリステラ嬢にべ………ル?」
挨拶の途中で固まるとはマナーがなっていないな。女性を待たせるのも失礼だぞ?クリステラの事だからな?
「お忙しいのですね、ギルツ様は。私達も先程来たばかりですので、然程待ってはいませんわ。ねぇクリステラ様?」
[演技][精神耐性][宮廷作法][歌姫]を完全制御でコントロールする。宮廷作法と歌姫は礼儀作法と歌唱の上位スキルでエキストラスキルである。
2人とも唖然としているようだが時間がない。クリステラの執事に目配せをして2人を元に戻してもらう。馬車内では一切会話がない。と言うかさせない!
沈黙と波乱を乗せたまま馬車は粛々とドルティア家に向かうのであった…
礼儀作法に関しては完全に私個人の独断と偏見で作られております。ご注意下さい。




