てんやわんやな初航海
海上での魔獣討伐が終わり、夜回りも問題なく終了したので自室に戻り、クリーンの魔法で体を綺麗にして就寝。1日目からハードでした。
2日目は少し遅れての起床。装備品を点検してから食堂でで残り物を貰う。パンとスープは普通だったが魚のトマト煮のような料理が美味しかった。
時間が空いて暇だったので久し振りに自室にてステータスの確認でもしよう。あまり見たくはないのだが知らないよりは知っておかないと戦略も立てづらいしな…
(名前)
ベル(仮名)
人間(神造体)
0才
Level 10
(出身国)
神界
(職業)
使徒
(ステータス)
HP 8640
MP 10850
筋力 1180
知力 1522
敏捷 1380
器用 1462
生命 1806
精神 1008
幸運 2090
(スキルスロット)4/6
「ゴッドスキル」
・神の箱庭
「ユニークスキル」
・百花繚乱
・完全制御
・神龍紋
(称号)
・創世神の使徒
・異世界神造人間
・天界の要観察対象
・勇者の息子
(賞罰)
なし(創世神の免罪符)
あー。仮とはいえ遂に名前がベルになったか。あれだけ名前が売れると偽名だろうがなんだろうが定着するということかな?
レベルは倍以上上がったなぁ。益々体の動きに差異が出るかもしれない。注意しよう。
ステータスは…上位魔獣クラスかな。本気で[手加減]スキルをずっと見につけておかないとまずいかも知れない。
スキルスロットが増えたのは素直に嬉しい。エクストラスキル以下のスキルは覚えられないけど余裕があるのは大事です。
称号が…観察が要観察に変わっている⁈天界では危険物なのか。
勇者の子供は良いな。これで嘘偽りなく親子になった訳だ。後でマドックを冷やかしに行こう。
ひと段落したので甲板に行こうとしたら部屋のドアがノックされる。今まで会った人の気配ではないので少し緊張はするがとりあえずドアを開ける。
「休憩中に申し訳ない。私はマルガス公国への大使としての任を受けているカーターと申します。昨今名を挙げられているベル殿と少し話しをしたくてこちらに寄らせて頂きました。」
丁寧な名乗りをあげるカーターさん。会いたくない人ベスト3に入りそうな人がいきなり乱入である。後ろを覗くとリデルが済まなそうな顔でこちらを見ている。止められなかったのか懐柔されたのかは分からないが悪い流れだ。仕方がないので中に招き入れる。
「どうぞ入ってください。護衛の方もどうぞ。」
カーターさんとリデルを招き入れると椅子を2人に譲り自分はベッドに座る。
「いやー。ギードで有名なベル殿に船の護衛をしていただけるとは光栄ですな。」
口髭を撫でながら満足げにこちらに話しかける。何を知りたがっているかは知らないがリデルもいるしそこまで酷い話にはならないだろう。
「それで私に会って満足できましたか?」
確認するように話しかける。話すことがないので向こうから話すように仕向ける。これで向こうの狙いも分かるだろう。
「えぇ。我らが王の言う通り、聡明な方ですな。私が言いたい事が既に承知済みとは。」
カーターの視線が鋭くなる。王が言う通りだと?王様には取り込むなと言う指示しかいってないはずだ。王は何を配下に言ったんだ?訳が分からない。相手の話を聞くつもりがこちらから聞かなければならないようになるとはさすがは官僚。仕方が無いので話を終わらせよう。
「コルカ国王が何を言ったのかは知りませんが私としては国のお偉方と交流を持つ気はさらさらありません。お役に立てず申し訳ない。」
そう言って扉まで行き扉を開ける。とっとと帰れ、そういう意思表示だ。
「これはご丁寧にどうも。」
カーターは鋭い視線のまま自分の部屋を出て行く。何を考えているのかわからないが仕事以外の事でこちらに対する態度があれならば敵認定しても問題無いだろう。リデルが出る時に小声で「後で説明しろ」と言っておいたので連絡があるはずだ。
やさぐれた気分になったので船長室にマドックをたずねる。最初に艦橋に行ったのだが船長室で航路の確認中です。と言われたのでこちらにやって来た。船長室の前には護衛がいるので船長に連絡があるので伝えて欲しいと言付けをする。護衛の人は船長に連絡してくれて船長に会えることができた。
「この忙しいのに何の用だ?息子よ。」
すごく嫌味たっぷりで挨拶してくれる。これは丁寧に返答しないと…だな。
「おとうさん。僕の称号に勇者の息子が出来たんだ。」
表には聞こえない程度でバラしたんだか、マドックは椅子を飛び越え自分の口を塞いだ。
「てめぇ。勇者は内緒に決まってんだろ!態と表に聞こえねぇぐらいの声で言ったんだろうが何処に目耳があるか分からねぇ。口に出すのはやめろ。…称号が付いたのか。俺にもあるな…」
どうやらマドックにも称号が出たようだ。その名も[天界の注目を集める親子]らしい。自分の要観察とはえらい違いだ。それでもマドックは倒れそうな表情でステータスを見ているようだ。
「おかしいな。勇者をやめて普通の生活に戻るつもりが前より酷くなっているんだか。」
弱気な言動をしているので笑顔で返答してやる。気分は死なば諸共だ。
「大丈夫、大丈夫。すぐ慣れるから。」
そう言うとマドックは諦めたのかベッドに倒れこんだ。頑張れお父さん。息子は応援しているぞ。




