てんやわんやな10日間
前回、最後の所が私の不注意の為尻切れ状態になっていました。現在は修復済みですが大変失礼しました。
マドックを揶揄った後、甲板に行き体を動かす。船が揺れるため下半身が鍛えられそうだ。
体術で体のチェックをしていると13隊のメンバーの一人バーディさんに声を掛けられる。
「いよぅ。ベル君良ければ相手をしてくれないか?」
バーディさんはリデルと同じくらいの背丈なのだが体の厚みが違う。20代後半ぐらいに見えるが人懐っこそうな顔で人当たりも良い。
ミノタウロス戦では盾役としてパーティを守っていたが戦場をコントロールするのが上手い人だと思う。
「良いですよ。格闘戦でよろしいですか?」
あの人達の 護衛だとストレスも溜まるだろう。そう思って了解する。
「あぁ。それでいい。判定はまいったと言うことで。目と金的や骨折になる様な攻撃は無しで」
そう言うと腰辺りで拳を構えるバーディさん。足元が不安定なので安定する構えをとったのだろう。対応力が高い!
「それじゃあ行きます。」
開始の合図と共に相手の右側に回り、ステップインからの左ジャブを放つ。牽制程度で放った1発だか、バーディさんに丁寧に右腕でガードされる。それと同時に左足でローキックを打つがそれを無視してバーディさんは右肩からのショルダーチャージをしてくる。流石に圧倒的質量を食らいたくないので左ローキックを前蹴りに変化させ相手のからだに当たると同時に反動で後ろに跳ぶ。
「取ったと思ったんだかなぁ。」
楽しそうにこちらに話し掛けるバーディさん。意外と格闘戦もお得意だったんですね。こちらもニヤリと笑みを返す。
今度は左右にステップしながら前に出る。本来ならこの足場の悪さなら待ちの方がいいのだが体のスペック調整がメインだから攻めた方が調整しやすい。全力とまではいかないがかなりのスピードでの撹乱にバーディさんはついてこれていない。
相手の右脚内側にローキックを叩き込むと、竹の割れるような音がしてパーティさんの体勢が崩れる。そこに左拳によるリバーブロウを放つ!
パーティさんの右脇腹に左拳がめり込むがバーディさんは両手をこちらの頭部へ叩き込もうとしている。左拳を引き、肘を立て相手の鳩尾めがけて打ち込む!
バーディさんの攻撃と自分の攻撃が同時に決まり自分はその場に崩れ落ち、バーディは後ろに吹き飛んだ。
「参りました。自分の負けです。」
後頭部にダメージを受けたがこの体は頑丈だ。先生に空中コンボを食らっても生きていたもんな。後頭部をさすりながら降参する。体の調子も良いようなのでこの辺で終わらせたい。
「ん?まだやれるだろ?さっき殴った感触からしてまだまだいけると思うんだが?」
いつの間にか立ち上がっているバーディさんがまだやり足りなさそうにこちらを見て言ってくる。まともに鳩尾入ったのに!オーガみたいな体力だな。
「流石にダメージを受けると足が止まりますから戦いになりませんよ。」
服の汚れをはたき落として両手を上げ降参のポーズをとる。この男も戦闘狂だったか。
それで納得してくれたのかその場で握手をし別れることにする。周りの船員からは「よくやった」だの「ちっこいのにすげえな。」などお褒めの言葉を貰うが、群衆の中に上位冒険者がいるのを見つけてしまいテンションがさがる。
「格闘戦もかなりやるじゃないか。ウチに欲しくなってきたな。」
腕組みをしてうんうん頷いているリーダー。自分は冒険者じゃないですよ。勝手に構想に入れないでください。
「うーん。可愛らしいのに意外と凶暴ね。お姉さんも相手してもらおうかな?」
いきなり抱きついてこないで下さい。セラさん。逃げようとすると関節を取ろうとしてくるしどっちが凶暴なのやら。後、黙って[鑑定]飛ばさないでくださいギルツさん。それもう3度目ですよ?
セラさんの関節技から逃げ切り、夕方まで仮眠をとる。夕方からの警備はサルサさんと同じだったのでサルサさんの経験談など聞きながら見回りをする。深夜まで問題ないようなので警備の交代。部屋に戻り簡単な夜食を済ませてクリーンをかけてさて、就寝。
こんな感じで初日以降殆ど問題無く10日ほど時間が経つ。海では魔獣は群れは作らないそうだ。その代わり強力な魔獣が出やすいらしい。風と潮の流れが良いらしくこのままいけば3日は短縮できそうだとの事。平穏に過ぎる毎日。これこそ至福である。
「北から船が来ている。海賊かも⁈」
どうやら自分の平穏はここまでのようだ。マスト上の見張りから大声で連絡が入る。船員に緊張が走り、応答の声が多くなる。
帆船のため基本的に風上を取った方が有利なのだが、現在の風は北から吹いているため逃げれそうにもない。
マドックから連絡が入り戦闘要員である上位冒険者と護衛の13隊、船員の中で戦闘が出来る者。そして自分
「どうやらこの辺を縄張りにしている海賊ではないみたいだ。ただこちらから見た限りは武装はしている。旗信号にも応じない為敵と判断し行動する。」
対人戦での実践は初めてになる。殺人への緊張と不安を抱えながら、接敵する相手を見てこれからの戦いを待つのであった。
格闘戦は頭の中で考えている事と文字にして表現する事な難しさの差異をとても感じてしまいます。




