表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
てんやわんやで異世界転生  作者: いんふぃ
第2章 コルカ王国
11/107

てんやわんやな一人旅

「そうか。また、旅に戻りなさるか」


  残念そうに話してくれる村長。


 どうやら腕の良い狩人は村としても欲しかったらしく、何度か村に残るよう説得された。


 でも、神様に言われた自分らしい生き方をもう少し探していきたい自分としてはまだ旅は始まったばかりのでずっと断わっていたのだ。


「それじゃお世話になりました」


 そう言って村長宅を後にし、村の入り口に向かう途中、何人かの村人さんにお土産を貰って行くことに。


「旅人さん。今までありがとう。これ貰っていきな」


「兄ちゃん、出て行くんだってな。これやるよ」


「お肉ありがとうねぇ。これ途中で食べな」


 この村の人達はいい人ばかりでちょっと感動してしまった。


 お土産もう20キロぐらいあるんだけど…


「旅人さん。短い間だったがこの村はどうだったかい?」


 村の門前で自警団のおっさんが聞いてきたので自分も笑顔で答える。


「とても気持ちの良い村でしたね。旅の終わりにはもう一度来たいと思います」


 こうして村を出た自分は、次の目標である地方都市へと向かうのであった。




 基本、現在の自分は人前ではあまりスキルを使わず生きて行こうと思っている。


 昔よく見た異世界転移の小説などでは主人公がばんばん活躍してチートな能力で無双する。


 読んでいる分には楽しいし、感情移入もしやすい…


 だが、異世界転移する身となった自分が今、感じるのは戸惑いの方が多い。


「歩き旅も良いもんだけど、人に全く会わないなぁ。やっぱり魔獣の所為なのかな?」


 独り言を言いながら、【一般知識】のスキルで旅の知識を検索して見るが、やはり一人旅はほとんどあり得ないようだ。


 そりゃそうだよね。


 魔獣は何時何処に現れるか神様ですら分からないだから。


 基本この世界の移動は《傭兵》を雇ってのキャラバン移動がメインであるらしい。


 最初の村で不審がられたのはそれが原因だろう。


 自分としては人目がない方がスキルを使って移動出来るのでありがたい。


 また、村から都市にはちゃんと街道があり軍の小隊が見廻りをしているらしい。


 この世界では道が無い所を一人で歩く事は自殺行為なのだろう。


「んー【索敵】にも何も引っかからないし、少し急ぐかな。【韋駄天】発動」


 別に言葉に出さなくてもスキルは発動するのだがそこは雰囲気作りという事で。


  一気に加速すると、馬の全速力以上のスピードに達して周りの風景が流れる様に過ぎていく。


【韋駄天】は走るスピードが3倍なるというレアスキル。


 なかなか汎用性の高いスキルではないかと思っている。


  2時間ほど走ると【索敵】に反応が。


 10人以上の人間の反応があったのでスピードを落とし様子を見る事にする。


 どうやら街道上を移動してきているので軍人さんかな?全員馬に乗っているし。


 後1kmでご対面だ。




「そこの君、少し話しを良いかな?」


 はい。やっぱり兵隊さんに捕まりました。


 馬上から、声を掛けられるが思ったより反応はフレンドリーだ。


 武器に手をかける様子も無ければ、取り囲む事もない。


「はい。何でしょうか?」


 スマイル、スマイル、と念じながら返答する。


 見た感じかなりの腕前のようだ。


 まぁ街道確認なんかするような人達だ。


 魔獣相手のプロと考えて間違いないだろう。


「一人の様だがどうしたんだい?逸れたのかな?それとも村に何かあったのかい?」


  あーこれ、村の子供と間違えられてるな。


 仕方ないか。一人旅なんて滅多にないだろうし。


「いえ、自分は1人で旅をしている者です。今は地方都市ギードに向かっている途中です」


  そう言うとかなり驚かれた。


 むごい…

 

「一人旅とはめずらしい。ギードまではまだかなり距離があるが大丈夫かい?自分達は職務でこの先の村に行くんだが村には寄っていたのかい?」


 子供扱いは変わらずだが、少し警戒されたかな?まぁこれくらいは仕方がないか。


「一人旅なので焦らずのんびり行きますよ。村には7日ほど村長宅で滞在していました。狩が出来るので獲物と交換でのんびりさせてもらいました」


 これなら嘘は言ってないから問題ないだろう。


 スキルには【真贋】のような嘘を見破るスキルもあるから注意が必要だ。


「そうだったのか。あの村で滞在出来るような人物なら問題ないか。この辺には魔獣は見かけないが注意して旅を続けるんだよ」


 自分の話しを聞くとほっとした様子でこちらに話掛けられる。


 あの村人気あるんだなぁと少し驚きを感じながら、挨拶を終え一人旅に戻る。


 都市に入る前に、獲物を何体か確保したほうがいいかな?そんな事を考えながら青空の下、自分の一人旅は始まったのであった。






 地方都市で自分を待っていたのは、門前での魔獣と人との激闘だった。




 




 



次回初の戦闘回になりそうです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ