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魔法使いと少女  作者: 徒然花
本編
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7/14

巣立ち

「では行ってくる」

「はい。いってらっしゃいませ」

「戸締りには十分気を付けるように」

「はい」

「誰か来ても居留守を使え」

「……はい」

「念のため結界を張っていく」

「……それじゃあ誰も来ませんよ」

「お前も出るな」

「入れなくなったらシャレなりませんから、出ません」

「今日は遅くなるだろうから、夕飯は……」

「アル様、お約束の時間に遅れますよ?」

「……行ってくる」


今日のアル様は、東の領主様のところにお薬を納品に行く。

領主様直々に特注の薬らしい。

アル様は時折こういう仕事もしている。こっちの方が実入りもいいらしい。

村の薬屋さんに卸す時と違って、こういう納品は必ずアル様自身が出向く。私が行ったら納品どころか、薬もろとも行方不明だしね☆


しかし、私はアル様に信用されていないわ。

毎回冒頭のような会話を繰り返すのだ。

私だってもう15歳だし? 家事歴5年だし? 留守番くらい一人でできるっての。実家にいた時(10歳よ! つーか、10歳以下!!)ですら、弟妹の面倒を見ながら留守番だってしてたんだから!

でも、アル様からしたら、自分の留守中に私に何かあったらアル様の責任てことになるから大変だよね。

やっぱり私は出て行った方がいいんだろうな。

何だか最近お荷物感が増してきたような気がするわ。




元はアル様の寝室、アル様の家の前で倒れていたあの日に寝かされていた部屋、は、今ではすっかり私の部屋になっている。


「子どもをソファで寝かすわけにはいかないだろう」


そう言って、アル様のベッド(もふもふ♪)を私に明け渡してくれた。

ちなみにアル様は、リビングの端に衝立をして、もうひとつベッドを作ってそこで寝ている。上背もあり、魔法使いというには立派な体躯のアル様が、窮屈な簡易ベッドでなんて!!

ああ、そんなことも申し訳ない!←めっちゃ今更。

そんな部屋に戻り、荷物をまとめる。

荷物と言っても衣類が少々と生活雑貨が少々くらいなもんだけど。置いていって処分に手を煩わせるのも申し訳ないしね。


「……ふう。こんなもんかな。当面の生活費も貯金で何とかなりそうだし。あ、そうそう、お手紙書いておかなくちゃね」


パンパンと手をはたきながらざっと荷造りした部屋を見渡し、忘れ物がないかをチェックしてからダイニングテーブルに向かう。


文字もアル様に教えてもらったなぁ。


ここに来るまで、一切勉強とかしたことなかったから、読むのも書くのもできなかった私を、アル様はちゃんと仕込んでくれた。

ああ、思えばアル様の貴重な時間をそんなことに費やしてしまったなんて、私ってばなんて不出来な弟子だったんだろう!!

……いや、今はそんな反省してる場合ではないわね。

手紙よ手紙!


「アレッサンドロ師匠様 今まで本当にお世話になりました まだまだ一人前とは言えませんが もうすぐ成人になる私が これ以上師匠のお荷物になるわけにはいかないので そろそろお暇致します 師匠も婚活頑張ってください 師匠ならこの国一番の別嬪さんでも落とせますよ! 結婚式には呼んでくださいね って、新郎側には女友達呼ばないのがお約束か じゃあ、仕方ないので 陰からこっそり覗かせてもらいます では、お元気で ガーネットより ……ふむ。こんなもんでいいかな?」


書いた手紙をダイニングテーブルに置き、風で飛ばされないように重石も置いた。


「じゃ、行きますか」


丁寧に施された結界の外に、私は一歩踏み出した。


アレッサンドロ。アレキサンドライトからとったのにも関わらず、なんだかすっかり別物な響き…(笑)

今日もありがとうございました! (*^.^*)

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