↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自衛隊員サバイバル日記改  作者: kero


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
24/60

古代人の遺産と宇宙への道

調教師の新たなる方針と、おでこの誓い

「――いいですか、姫様。今日から我が『山田家』の第一規律を適用します。

何があっても『太郎基準(人間種・四十歳男の限界)』を最優先にすること。

物を一つ壊すごとに、太郎からの『ご褒美』が一日一回ずつ減っていきますからね?」


北の大地へと再び高機動車を走らせる街道の途中、太郎は助手席に座るシャルロット姫様に向かって、ビシッと人差し指を立てて言い聞かせていた。


「えっ……ご、ご褒美が減ってしまう……!?」

130センチの可憐なロリ体型に、前がはち切れそうな巨乳を揺らした最強の婚約者――シャルロットは、その大きな瞳をこれ以上ないほど見開いて、文字通り『この世の終わり』を迎えたかのような衝撃を受けていた。


これまでの旅では、姫様が少し不機嫌になったり、驚いたりしただけで、周囲のドアノブが紙屑になり、ホテルの床が陥没し、エルフの里に一本の見事な直線道路(更地)が完成していた。


だが、恐怖のあまり一周回って「逃げるのを諦め、彼女を人間基準(太郎優先)に教育(調教する)」と決意した太郎は、力による対抗を完全に捨て、彼女の『ピュアすぎる恋心』を人質に取るという、極めて要領の良い精神的ブレーキを考案したのだ。


「ちなみに、この一日の間、何一つ壊さずに『人間種としての優しい力加減』を維持できたら――日の暮れに、太郎からおでこへの『チュウ(接吻)』を一個プレゼントします」


「お、おでこに……ちゅ、チュウ……ッッ!!!」

 ドッバァァァン!!! と、高機動車の背後で、姫様から漏れ出た興奮の念波により、街道の脇の岩が一つ爆砕した。


(あ、今壊したからマイナス一回ね)と太郎が冷徹に告げると、姫様は「ひゃぅあぁっ! ごめんなさい太郎様! シャルロット、今度こそ命がけで、指先一つまでフカフカの綿毛のように動かしてみせますわ!」と、涙目で必死になって自分の小さな両手をギュッと握りしめ、おとなしくシートに深く腰掛けた。


 バックミラーに目をやると、後部座席では、やんちゃ坊主のレオが「なー、さんぼう。おでこにチュウってそんなに凄いご褒美なのか?」と、太郎から貰ったマルチツールをいじりながら呑気に尋ねてくる。


「レオ坊っちゃん、大人の世界にはね、どんな大量破壊兵器のスイッチをも封じ込める、最強のパスワード(ご褒美)があるんですよ」

 太郎は引きつった詐欺師の笑みを浮かべながらも、大人しくなった助手席の姫様をチラリと見て、内心で小さく微笑んだ。

 

可愛いのは、本当に可愛いんだよ。

……だからこそ、世界中、いや宇宙の果てまでお前らの遺跡をひっくり返してでも、お前を創った超古代人を見つけ出し、その化け物染みたオリジナルスペックを、普通の女の子の仕様へと完璧にデバッグ(書き換え)させてやるからな。

 自衛隊の一等陸尉としてのプライドと、一人の男としての本気の愛を胸に、太郎の新たな調教ロードムービーは、極めて順調な滑り出しを見せていた。

*

数日後。高機動車は、前回のドワーフの国やエルフの里から、国家規模の予算で量産・備蓄され始めた『大量の複製銃弾』と、不純物を完璧に取り除いた『ドワーフ特製ガソリン』の追加補給を受け、ミリタリーアセットをこれまでにないほど強固なものにしていた。


そして一行が到着したのは、人類の未踏の地とされる、不毛の赤茶けた岩山が連なる大峡谷の最深部だった。

エルフの古い伝承と、聖国で太郎がハッキングした超古代の地図データが指し示す場所――そこには、千年の風化に耐え、奇跡的にその原型を留めている巨大なドーム状の建造物が眠っていた。


超古代文明の【宇宙船発着場(スペースポート)】の遺跡である。


※


「……ここだ。ここに、超古代人が別の星系へと旅立った、あるいは今も生き残りがいるかもしれない世界への通信ログが眠っているはずだ」


太郎は高機動車を停め、暗視ゴーグルをヘルメットの上部に跳ね上げ、携帯フラッシュライトを右手に握りしめた。


「太郎様、シャルロットが先頭に立って、中にいる悪いロボット(防衛ドローン)たちをスクラップにして差し上げますわ!」

 おでこのご褒美のために数日間一切の物理破壊を我慢し、限界までウズウズしていた姫様が、衣服を破らんばかりの巨乳を揺らして前に出ようとする。


「ダメですよ、姫様。今回は『お留守番』です。


中の機械はなまじ精巧ですからね、姫様がちょっとでも触ってバリバリと壊しちゃったら、目的のデータごと木端微塵になって終わりです。

ここは、俺の故郷の知識を使った、スマートなハッキング(頭脳戦)で落とさせてもらいますよ」


むぅ……太郎様のお役に立ちたかったですのに……。

分かりましたわ。

シャルロット、ここでレオと一緒に、お利口さんにお留守番をしていますわね」

姫様は少し寂しそうに頬を膨らませたが、太郎の「人間基準(太郎優先)」の命令を完璧に遵守し、高機動車のボンネットにちょこんと腰掛けた。


太郎はニヤリと笑うと、フラッシュライトの超高輝度な白い光で、暗黒の宇宙港の内部ゲートを一直線に真っ二つに切り裂いた。


現代兵器のアドバンテージを隠し持ち、この世界では生身の肉体スペックは最弱のまま。しかし、愛するワイフを本当の女の子にするための、山田太郎の『超古代ハッキング工作』が、いま息詰まる緊張感と共に、深淵の遺跡の奥で幕を開けるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。