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【34】自然について part3

【34】


2018.05.16


彼女は僕達の全てであり、彼女は、僕達をその輪舞のなかに、招待してくれます。彼女は、あどけない少女のような顔を持ち合わせながら、同時に、調和的気品が漂う淑女でもあります。彼女に恋する者は、その手をそっと握り返してくれて、微笑み、有限と無限の彼方へ僕達を連れ去ってくれます。彼女を愛する者は、その真摯な心持ちのなかで、大気(プラーナ)の母乳を吸って、彼女と抱き合い、ひとつとなって、婚姻を果たし、永遠なる至福を約束してくれるのです。


彼女は、とどまることを知りません。彼女は、静止することを魅せておきながら、絶え間なく、無償の愛の創造運動を行い続けているのです。彼女は、いつでも未来を語りながら、その身体は、太古のままなのです。彼女の胸元で戯れることを、彼女は、(とが)めはしません。彼女に、逆らう者がいたとしても、彼女は、優しく日ごとの食物を与えて下さることでしょう。


彼女の優雅さには、病める者も疲れた者にも、そっと、生命力の源である、聖なる息吹きを吹きかけて下さることでしょう。彼女を、僕達が忘れていたとしても、彼女は、木陰から、秘かに、天上の祈りと愛のテレパシーを僕達に贈り続けて下さいます。僕達は、その彼女の祈りのなかで、聖霊の御加護を賜り、日常という営みに、神性と彩りを発見し、幼子のような、喜びを感受することが出来るのです。彼女がいなければ、そこに愛は、生じず、また、命もありません。一枚の葉のなかに、彼女の幾千もの姿を垣間見ることが出来ます。いつでも彼女は、僕達のなかにあり、僕達は、いつでも彼女のなかで呼吸をしております。彼女の演技ほど、僕達を魅了するものはなく、彼女のドレスほど、美しいものはありません。彼女のまえでは、どんな一流の画家でさえも、才能は乏しくなり、また、彼女のまえでこそ、僕達の才能は豊かに覚醒していくのです。


彼女の慈悲の涙は、雨となり、渇いた僕達の心の深淵に、潤いを与えてくれます。そして、その潤いから、僕達は、天上の御心を知って、改悛し、感謝と喜びの祈りと、礼拝をするのです。それがやがて、天なる雲を創造します。ですから、雲とは、彼女と僕達が愛し合った、愛の軌跡、そのものであり、それこそ、あまたの生命の源となる、豊かな海となります。


愛する彼女と、僕達は、一時も、離れることは、ありません。いつでも、どこにいても一体であり、一緒なのです。この彼女の愛の囀ずりに、気付かない者は、哀れです。僕達は、彼女からの愛に気付くことから、全てが始まり、永遠の道、完全体への道を、歩み出すことになるのでしょう。何故なら、彼女は、僕達の全てであり、僕達と彼女は、はじまりから、おわりまで、ひとつなのですから。

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