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第47話 調査へ

 ラフィちゃんと夜中のギルドでお話をして数時間。

 すっかり朝になりました。

 とはいえレンくんとランちゃんはまだ寝ているようですが。

 窓から向かいにある宿の、レンくんとランちゃんが止まる一室を見て、小さく頷く。

 まだ動き出している気配はありませんでした。

 昨日は疲れたでしょうからね。

 初めての依頼……それもカニバルズスライムなどという特殊な個体との戦闘でしたからね。

 ゆっくりと休むのですよ。

 心の中で語り掛けて窓を締める。

 そこでライちゃんからの念話が聞こえてきました。


『レイフォルト、例の件、調べが着いたぞ』


 丁度良いタイミングですね。

 今、情報が欲しいと思っていたところなのですよ。


『良いところで連絡をしてくれましたね。ライちゃん。で、状況はどのような感じですか?』


『うむ、とりあえずお前に言ったのとは別の方を先に調べたんだがな。そっちは空振りだった、黒曜石を使った工芸品に凝っているらしくてな……最近、弟子も数人取ったようで消費量が増えたらしい。不自然なところはなかった。そのため、レイフォルト、お前に言ったもう一つの方なわけだが』


『ふむ、工房でしたか……』


 ライちゃんから聞いていた候補は二つでした。

 その中の一つが外れた形になります。

 工芸品を作っていればそれは消費量も増えることでしょうし、不審な点は見受けられないでしょう。

 出来ることなら、私が自分で裏を取りに行きたいところですが、ね。

 ここはライちゃんを信じて、まったく調べられていない方に手を伸ばしておきましょう。

 ライちゃんが不自然なところはないというのですからね。

 もう一つ、というのはこれのことでしょう。

 懐から依頼票を取り出す。

 昨日ラフィちゃんに受付処理をして貰った依頼票……そこにははっきりと『黒曜石の納品』の文字が書かれている。


『それで、そのもう一つだが』


『見てきましたよ、ギルドに依頼として張り出されていました。黒曜石の納品、これですね?』


『そうだ。黒曜石を最近になってやたらと集め出したもう一つというのがそれだ。隠す気もないのか、簡単に調べはついた』


『ミリオフェルン伯爵家……ですね?』


『ん、まぁそういうことだ。集めてはいるのだが詳細は不明でな……集め出す理由もない。黒曜石にそこまでの価値はないはずだからな。不自然とも言い換えられる。お前に提示された条件の中で考えると一番有力なのはそこ……まぁ、厳密にはそこの家の当主というわけだ』


 それから軽い激励の言葉を最後に念話が途切れる。

 あとは、私の仕事ですね。

 これ以上ライちゃんに関わって欲しくはない案件ですからね。

 死の黒杖、なんてものに関わるのは少ない方が良いですから。 


「ふむ……それにしても……成程」

 

 中々、大きな情報でしたね。

 私が取ってきた依頼票の情報を固める大きな要因でした。

 集め出す理由もない、不自然だとライちゃんが言い切ったのです。

 突如として芸能に目覚めただとか、そんなことはないでしょう。

 そこには何か、理由があるはず。


 ミリオフェルン伯爵家。


 納品場所はそこです。

 かなりきな臭い雰囲気が出てきましたね。

 貴族が集めている、というのがひどく嫌な感じです。

 単に貴族の道楽であるとするなら楽なのですが……きっとそうではないのでしょうね。

 その場合、きっと大々的に活動を行うはずです。

 貴族ですから、衆目を集めることをやるでしょう。

 それが貴族としての体面を保つ意味にも繋がり、他領の貴族へ力を示す牽制にもなる。

 まぁ、一言でいってしまえば『見栄』ですね。

 他者に軽く見られることというのは貴族にとってはマイナスへと繋がるものですから。

 ただまぁ、そんな貴族が沈黙を貫いたまま黒曜石を集めているというのが怪しい所以なわけですが


「……ふぅむ、妙ですね」


「どうしたんだ?師匠」


「いえ、少し奇妙なことがありましてね……」


「そう……それはいいけど、あんまり唸るのはどうかと思うぞ」


「ん?唸っていた?」


「ああ、うるさかったよ」


「ほう……」


 コウガ君が呆れたような顔で私を見ていました。

 ふむ、そうですか。

 唸っていた……そんなに声を上げていたつもりはなかったのですが。

 悩みを表へ出し過ぎましたかね?


「……ふむ、そんなに唸っていましたか?」


「あぁ、さっきからうんうん言ってたぞ。見てるこっちが落ち着かない感じでさ……唸らないか、さっさと悩みを解消するかどっちかにしてくれない?」


「はは、それはまた酷なことを」


「……同じ部屋に居る俺に酷なことをするのをやめて欲しいんだけど」


 遠慮もなく言い放ってコウガ君が微妙な目で私を見ていました。

 ふぅむ、中々うまいことを言いますね。

 同じ部屋に居る自分に酷なことをするのをやめて欲しいですか……そう言われても解決しないから悩んでいるのですから中々に難しいのですがね。

 コウガ君も中々酷いことを言いますね。

 失礼なことを躊躇いなく言いきるのは、この環境に慣れてきた証拠でしょうかね?

 私と一緒にここに泊ったばかりの頃はとても静かで……借りてきた猫のようでしたからね。


「うぅむ」


「ほら、また唸っている」


「はは、仕方ないではありませんか。それほどに大きな問題なのですよ」


 コウガ君に軽く言って、情報をまとめた書面に向き直る。

 これまでの情報はここにまとめてきましたが……少々、情報が足りませんね。

 判断するには材料がもう少し欲しい。

 考えても仕方がないとはこのことですね。

 これでは答えなど出ようがありませんからね。

 と、自然に唸り声を上げそうになっている自分に気付いてコホンと咳払いをする。

 ふむ、まぁ唸ってばかりいるのが健全ではないというのも一理ありますね。

 あまり気は進みませんが、人に打ち明けてみるというのも一つの手かもしれませんね。


「で、どうしたんだよ?」


「ええ、実は少し腑に落ちないところがありまして、ね」


「ふ~ん、腑に落ちない、ね」


「ええ」


 どうでもよさげな返事。

 しかし、別にこれでよいのです。

 何か明確な答えが欲しかったわけではありませんからね。

 別の行動を取っているときに何かヒョイと良い考えが浮かんでくることなどよくあること。

 気分転換も兼ねて、少しお茶にでもしましょうかね。

 カチャカチャとティーセットを用意する。

 その光景が珍しいのか、コウガ君が興味深そうな目でこちらを見ていました。


「コウガ君は甘いのはお好きですか?」


「……え?あぁ、まぁ、好きっちゃ好きだけど……程々くらいかな。師匠、茶を淹れるのか?何で?」


「気分転換みたいなものですよ。コウガ君も一緒に飲みましょう」


「いいけど、なんでまた急に……」


「考えを落ち着かせるためですよ」


 程々と言っていましたね。

 コウガ君のは甘さ控えめにしておきましょう。

 それから茶葉は……強い香りを放つものにしましょうかね。

 今はそういう気分ですから。

 良い香り……芳醇な匂いというのですかね?

 こういったものを嗅いでいると何だか心が落ち着いてきますね……

 レンくんとランちゃんが卒業する前はよくこうしてお茶を淹れてあげたものですが、最近はめっきり機会がありませんでしたからね。

 頃合いを見て、カップにお茶を注いでコウガ君へと出す。

 私の分は、特別甘くしていくとしましょうか。

 甘く、甘く……それ以外は感じないくらいに入れ過ぎなくらいに甘く。 

 一息。


「……それ、甘すぎない?大丈夫?」


「ふふ、私はこちらの方が好きなのですよ。今日の私はこういう気分なのです」


「えぇ……」


 まぁ、淹れている光景は見ていましたからね。

 味を想像して、その甘さでも仮想的に味わったのでしょう。

 コウガ君が微妙な表情をしていました。

 こういうのも悪くはないのですけどね……

 もう一度口を付けて一息。

 甘さが脳天にまで回っていくかのような甘い感覚。

 うん、落ち着きました。

 おかげで、ちょっとばかり頭も回ってきましたね。

 死の黒杖、この問題には極力関わらせない方が安全で都合が良いのですけど、ね。

 今回は関わってもらうことにしましょうか。


「コウガ君、潜入任務をお願いしたいのですけど頼めますか?」


「……へ?潜入? それって、どういう?」


 お茶を飲みかけのコウガ君が不思議そうに尋ねてきました。

 まぁ、頼みごとをするのは初めてですからね。

 ピンと来ないのも無理はないでしょう。

 彼の適正から鑑みればそう可笑しな頼み事ではないのですが、ね。


「そうですね。具体的に言うと、私からの依頼ということです。ちゃんと報酬も出しますよ」


「……へ?嘘……報酬?……あの、鬼畜無茶振りの師匠が? え?それって、訓練とかじゃなくて? 特にご褒美もなく俺に無茶な要求をするのとは違うのか?」


「訓練ではありません、それほど無茶ではありませんよ」


 酷い言い草でした。

 確かに失敗をすればそれはとんでもなく危険ではありますが。

 コウガ君には出来る程度のこと。

 少なくとも私はその辺りを見極めてお願いをしてるつもりです。

 私としては決して無茶を言うつもりもありません。


……普段も無茶を言っているつもりはないのですけどね。


 鬼畜無茶振り……どうしてそう思うのでしょうね?


「不思議なものですね……それほど酷いことを命じたことはないはずですが……まぁ、今回の頼み事も難しいですから訓練になるのは間違いはないですけどね。何せミリオフェルン伯爵家の宝物庫に行ってちょっと状況を見てきてもらうのですから」


「…………ん?何だって?あの、師匠?」


「何ですか?」


「聞き間違え、かなぁ? 貴族の宝物庫に侵入して来いって聞こえたんだけど」


「ええ、そう言いましたよ。コウガ君ならこれくらい出来るはずですからね」


「…………やっぱり、鬼畜無茶振りの師匠だ」


「いやいや、やっぱりって何ですか?」


 過小評価が過ぎるのではないですかね?

 コウガ君ったら……これは適切な難度のはずですよ?

 そのあたり、この依頼を通じて治ってくれると良いのですが…… まぁ、死の黒杖が関わる時点で危険性は相当なものですから、その点で言えば無茶ぶりというのも間違いではないでしょうが。

 とりあえず、依頼内容は書面にまとめておくことにしておきますか。

 こういうのを形にしておくをのは大事なことですからね。

 あとで妙な言い張りが出来てしまうことにもなりますし、確かな約束がなければやる側としてもやる気が出ないでしょうからね。

 ふむ……潜入任務、危険性は極めて大……事前情報は皆無。

 成程、成程……そこそこ金額設定は高めにしなければ納得できない案件ではありますね。


「ふむふむ……では、コウガ君。報酬金はこんなものでどうですか? 何なら前金も渡しますけど」


「…………え?」


「ん?どうかしましたか?どこか気になる点でも?」


「……いや、だってこの金額」


「金額がどうかしましたか?」


 私としては妥当な金額を書いたはずですが。

 書面をもう一度よく見る。

 0の数がかなり多いですが……まぁこんなものだと思うのですが、ね。

 ええ、まぁ書面にまとめてみたら結構な酷い依頼ではありましたからね。

 危険性は極めて高い。

 だというのに依頼する側からの事前情報は皆無・・・・・・まぁ、賢い冒険者なら受けませんね。いくら高くても。

 控えめに言って、こんなものが張ってあったら私は疑いますね。

 まぁ、おそらく事前情報の有無は依頼票には書かないでしょうから・・・・・・依頼主に説明と同時に丸投げをされて、即座に断ってお暇するのが至極賢い反応ではないでしょうかね?

 まぁ、今回に関しては断られたら困るのでその辺も考慮した金額なわけですが。


「ふむ、即決をするにはちょっと少なかったでしょうか……もうちょっと高めの方がやる気が出ます?」


「いやいやいや!やめてくれよ!報酬が高すぎて怖いよ!何だよ、この額!」


「おや?そっちでしたか」


「そうだよ。何でこんなに金を払うんだよ……」


「それはまぁ、危険ですからね。それなりに高くはなりますよ」


「危険って……それだけでそんなに?」


「ええ、死ぬ可能性がありますから」


「へっ?」


 死の黒杖について調べる、ということはそういうことですからね。

 使われる危険性は当然考慮に入れなければならない。

 ちょっとしたことで口封じのために、とか。

 試しに一回、とか。

 効果が単純で分かりやすいが故に使用をする側も軽く使いがちになる。

 その点を考えれば、安全な時とそうでない時の差は相当なものですからね。

 安全に事を運べば無事に帰ってこれますが、失敗をすればかなりの高確率で命を落とす。

 この依頼での危険とは、つまり死。


「……師匠が、そんな大真面目に断言するってことは本当にそれだけヤバいってことなんだな」


「ええ、そうです。嫌なら断って頂いても構いません」


「……いや、やる」


「一応、言っておきますが本当に危険ですよ?」


「……あぁ、金額から相当危ないんだなぁってのは何となく分かるよ。でも、なぁ……俺からも聞くけど、師匠は何で俺に頼むんだ?」


「コウガ君なら出来ると思ったからですよ」


 実際、コウガ君の隠密能力は大したもの。

 その辺りを察知する技術も鍛え上げたはずですが、レンくんとランちゃんにはまるで気付かれることなく周囲をうろつくことが出来ますし、気付かれるようなこともまずない。

 二人に気付かれないということは大抵の状況において大丈夫、ということです。

 レンくんとランちゃんは私がみっちりと鍛え上げたのですからね。

 確かに、危険はありますが嘘偽りなくコウガ君なら出来ると私は信じています。


「だからだよ」


 コウガ君が小さく頷いてくれました。


「師匠にはあれから鍛えて貰ったし、出来るって言うんなら腕試しも……それとちょっとした恩返しも兼ねてやってみたいし」


「恩返し……ですか?」


「……あぁ、金は貰うから対等な取引か……うぅ、いや、でも金は、金は、借金もあるから必要だし」


「いやいや、そこは報酬なのでちゃんと受け取ってください」


「うぅ……借金持ちな自分の身が恨めしい」

 

 そこで葛藤をする必要はないのですけどね。

 報酬なのですからそこは受け取ってくれていいのですが……

 変なところで真面目なコウガ君には失礼ですが少しばかり笑ってしまいます。

 山賊に借金を借りるなんて、あからさまにまずいことをしていた子とは思えない言葉ですね。

 これがなければ、なんてコウガ君が首についてる誓約の首輪を触ってどんよりとしてますが……これに関しては仕方のないことでしょう。

 コウガ君が借りたのですからね、コウガ君自身が何とかしないと。

 借りたものを返さないのはいけないことですよ?

 凄い額の借金をしていたので踏み倒したくなる気持ちも分からないでもないのですけど、ね。

 借金の先は山の涙さん、私が契約を結び直したので額までしっかりと覚えています。

 その額、三百万ゴルド。

 人が数年暮らしていくには十分なお金。

 まぁ、今回の報酬を返済にあてればそれなりに余裕が出来ることでしょう。

 それにしても恩返し、ですか。

 私としては別にそこまでのことをした覚えはないのですが、ね。


「頼んでもよいですか?」


「あぁ……任せてくれ師匠。しっかりこれまでの訓練の成果を見せてやる。別に、何か悪いことをしようってわけじゃないんだろ?宝物庫から何か盗んでこいとか」


「当たり前ではないですか。盗んだら泥棒ですよ? 中の様子を確認して欲しいだけです」


「そっか、なら大丈夫だよ。ささっと見てくるさ」


「そうですか、では」


「あぁ、あんたが屋敷に入ったあと機を伺って入ってくるさ」


「そうですか、ではお願いしますね」


 コウガ君が窓から飛び出して行く。

 それを見守って、書面を保護する。

 魔法を使って他者に見つからないように。

 まぁこういうのは存在してること自体危険なので、消してしまうのが一番安全なのですけど。コウガ君との約束を反故にしないための証でもありますからね。

 コウガ君が依頼を終えて戻ってくるまではしっかりと取っておくことにしましょう。

 ふぅむ、それにしても悪いこと……ですか。

 当然、盗みなんて頼みません。やれとも言いません。

 それはそうなのですが……ええ、本来は侵入するだけで大問題なわけなのですが、ね。


「……まぁ、これに関しては仕方ありませんか」


 やらなくてはならないことがある。

 都合のいいことですが、これに関しては目を瞑ることにしましょう。

 悪いことをさせることはとても心苦しいのですけどね。


「頑張ってください、コウガ君……」


 それにしてもあの感じですと……忍び込むことはコウガ君にとっては悪いことの内には入らないのかもしれませんね。

 彼、少しばかり世間の常識に疎い部分もありますからね。

 悪いことというと……人に直接的に被害を与えること、盗みや暴力、彼にとってはその辺りになるのでしょうか?

 この辺りに忌避感を覚えていることは私は何となく感じてはいましたが。

 

「……ふむ」


 それにしても腑に落ちないのは黒曜石を集めているのがミリオフェルン伯爵家、だというところです。

 チラ、とまた依頼票にかかれた字を見るもやはり間違いではない。

 ミリオフェルン伯爵家、とはっきりそう書かれている。

 

「あの家がそのようなことをするとは思えないのですが……」


 ミリオフェルン伯爵家、この家のことは私は以前から知っていました。

 前にちょっと関りがあってその縁なわけですが……とても印象的な人でした。

ミリオフェルン伯爵……当代は私の知る者からまた代替わりをして知らない者であるでしょうけど、私が特に覚えているのはその人柄についてです。

とても良い人なのですよね。

 素直で実直。民、そして国のことを最優先に考えて、その上で自分がどうなろうと一向に顧みず物事を行う。今時珍しい貴族の鑑とも言える高潔な精神を持っていた方。

 その血を受け継いでいる以上、当代も私の知るミリオフェルン伯爵からそう変わるとは思えない。

 彼らがこのようなものを欲する理由など無いはずですから。

 世代が変わって人柄が変わってしまった、あると言えばあるでしょうが……しかし。


「……それなら、悪い噂の一つや二つ聞こえてきそうなものですが」


 この街でミリオフェルン伯爵の悪名を聞いたことはない。

 それどころか空気とすら言える存在感のなさ……これはミリオフェルン伯爵が真面目にやっている証であると言えるのではないでしょうか?

 目立つことをすれば大なり小なり噂になる。

 しかし、それがないということは人々に当たり前に取られるくらいしっかりと領地経営をしていることに他ならない。

 しっかりやっているからこそ、誰もその存在を気にしないわけです。

 仮にそれが情報統制の結果だったと考えても、人々の不満は聞こえてくるはず。

 不満を持ち、嫌気に差している人間の口をそう簡単に止められるものではないですからね。

 なのでミリオフェルン伯爵の人柄に関しては保証されていると見て良いのではないかと思うのですが……


「さて……どういうことなのでしょうか」


 カップに残ったお茶を飲み干して、部屋を出る。

 きっと行けば分かることでしょう。


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