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第45話 達成報告

 さて、そんなわけでレンくんとランちゃんに付いてギルドまでやってきたわけですが。

 ふむ、ギルドへ行け、でしたか。

 ライちゃんがここへ来る前に言っていた言葉、その意味が来た瞬間に分かってしまいました。

 張り出されている依頼を一枚取り、すぐさまレンくんとランちゃんの後方へ。

 今はレくんとランちゃんの方が大事ですからね。

 これでいいでしょう。

 ラフィちゃんが私へと奇異の視線を送ってきてますが……まぁ、そこは気にしないでおきましょう。


「ラフィ姉様、スライム討伐終わったわ。勘定をお願い」


「……えぇ、そうね。それじゃ見ていきましょう」


「?ラフィ、さん?どうかしたの?僕たちの後ろを気にして……? 特に何もないけど」


「……あぁ、ごめんなさい。何でもないわ。特に、何でもないのよ。少し前に依頼を取っていった人が気になっただけだから……」


 気を取り直してラフィちゃんがレンくんとランちゃんの出した大量の核に向き直る。

 最後に訝しげな視線を私に投げかけてきましたけど。

 ふむ、これでも先生も冒険者の登録自体はしてあるので依頼を取っても可笑しなことではないと思うのですけどね。

 まぁ、随分前に何もやらなくなって久しい昔のままな登録カードですけどね。

 ギルドカードに更新日など無いので今でも有効なはずですよ?

 ここは一応、ラフィちゃんの方へと私のカードをちらつかせておく。

 すると少しビクッと身体を震わせましたが特に反応もなく、大量の核へと視線を落として、小さく頷いた。

 そこにあるのは一つだけ傷が付いた色違いの核。

 それを灯りの方へとかざすように持って、ジッと見つめる。


「やはりそうね。これは……カニバルズスライムね」


「「カニバルズスライム?」」


 ラフィちゃんは知っていたみたいですね。

 私が自主学習に任せるくらいの珍しいマイナーな魔物なのですが……よく勉強しているようですね。

 ギルド職員なので、その辺りの知識もしっかりと身に付けているのでしょう。

 勤勉で何よりですよ、ラフィちゃん。


「カニバルズスライム、というのはスライムを捕食して身体を大きくする、スライムの中でも特に珍しい個体ね。吸収するごとに力も増していって強くなるし、過去に出た時には国に甚大な被害をもたらしたって話よ」


「うわぁ……それじゃ、ええと僕たち凄いのに出会っちゃった、ってことなの?ラフィさん」


「そうね。色々な意味で……運がよかったわね、二人とも。私も似たようなことが冒険者だったときにあったけど、あれはラージスライムだったかしら? 二人の方がよっぽど強運ね」


「……まあ、実際にちょっと危なかったとこもあったもの、強運ってのは間違ってないわね、ラフィ姉様。レンなんか最後ちょっと危なかったから」


「そう……それなりに強い個体だった、ってことかしら? 先生の下で学んだ人間を苦戦させるなんてね……」


 考え込んでいますね。

 まぁ、ラフィちゃんにとって私の元を卒業したというのは一種の指標でしょうからそこからレンくんとランちゃんが遭遇したカニバルズスライムの強さを測っているのでしょう。

 確かに、あのスライムは強かったですが……まぁ、国を墜とすほどかと言われるとそこまでには至っておらず、そこへ至るにはまだまだ時間がかかる感じではありましたね。

 私から見てあれは未成熟な個体でした。

 ただ、まぁ……そうですね。

 ここで仮にコウガ君があれと出会っていたとしたら……回避は続けていくでしょうか、猛攻に耐えきれず疲労の果てにその強酸性の体液に身体を溶かされて跡形も残らなかったことでしょう。

 あれほどの魔物がこの付近に居てまるで話題になっていないのもこの辺りが理由かもしれませんね。

 それにしても……ふふ、ラージスライムですか。

 懐かしいですね。

 昔にも似たようなことがありましたね。

 今日と同じようにレフィ君とラフィちゃんがスライム討伐の依頼を受けて意気揚々と森へと出て行って……ラージスライムなんかに出くわしちゃって。

 私はあの時も後ろでしっかり見守っていましたが、レフィ君とラフィちゃんが怪我をしないかドキドキしながら見ていたものです。 

 カニバルズスライムといい、ラージスライムといい私の可愛い教え子たちはどうしてこういう妙なことに出くわすのでしょうね?


「確か……昔に国を危機的な状況にまで追いやった個体は山ほどの大きさがあったとかって話だったわね」


「あ、そうなんだ……僕たちが出会ったのは、ううん、大体……そうだなぁ」


「人が三人分くらい、ってところじゃない?多分、私とレンが肩車するよりも大分高かったと思うわよ?けど……うん、山ってほど大きくはなかったわね」


「ふぅん、それだと、やっぱりまだ成長途中ってところかしら? 参考までにどうやって倒したか聞かせてもらってもいいかしら?」


 私が思い出に心を温めて過去を振り返っている間、レンくんとランちゃんの方ではラフィちゃんによる聞き取りが始まっていました。

 どうやら災害指定種が出たのでギルドの職員としてはやらなければならないみたいですね。

 ただ、その辺りラフィちゃんもいやいやではなく職務に真面目な様子。

 真剣な面持ちで聞き取りを行っています。

 うぅむ、欲を言えレンくんとランちゃんに対して冒険者としても私の元で学んだ教え子としても先輩であるラフィちゃんに色々と指導をして貰いたいところなのですが。

 

『ラフィちゃん?ちょっとお願いしてもいいですか?』


『駄目、黙ってもらえない?先生。今、私いろいろと忙しいから』


 ふむ、すげなく断れてしまいました。

 仕方ありません。

 ここは黙って見守っていることとしましょう。

 ラフィちゃんの聞き取りはとても手際のよいものでした。

 聞くべき項目もしっかりと整理されていて、要点も逃さずに質問を重ねている。

 このあたり、ラフィちゃんの手腕なのでしょうかね?

 ギルドの積み重ねによるマニュアルなのでしょうかね?


「ええっと、倒し方としてはランが光線で核を射抜いたんだ」


「スライムは核を壊せば活動を停止するって先生が言ってたから、結果的にレンは囮だったってところね」


「じゃ、この核に開いた穴はそれってことね。で、結果的に、というと?」


「うん、ランがファイヤボールを打ち込んだけど効かなくってさ。外側が強かったみたいで」


「……ふぅん、取り込んだ核の数からしてそういうこともあり得るのかもしれないわね。核を取り込めば取り込むほどカニバルズスライムは強くなるって話だものね」


 補足をするとそこから知性を獲得する一歩前の段階というところでしたね。

 もう少し取り込んだ核の数が多ければ、戦いもより厳しくなり、また違った対応をしなければならなかったことでしょうが。

 その辺りは運がよいと言えるでしょうね。


「成程ね。それで魔法が効かない相手に二人はどうしたのかしら? 光線魔法なら貫通力が高いから抜けなくはないかもしれないけれど、それにしても一撃にかけるにはちょっと分が悪い気がするわね」


「あぁ、外からじゃ効かないから中からならいけるんじゃないかと思って、剣を突き刺してそこから火炎魔法を」


「あら?へぇ、レンくんは魔法もいけるのね……ふむ、同じくらいの頃の私たちとは大違いね」


「へ?同じくらいの頃のラフィさんたち?」


「ええ、レフィの阿保が武器を振り回すしか能が無くて魔法は私じゃなきゃ……っとそれはいいのよ、今はあなたたちの話よ」


「ええっ、気になる!」


「私も聞いてみたい!ラフィ姉様!」


「駄目よ」


 おやおや、取り付く島もない返事でしたね。

 ですが……ふふ、ラフィちゃんからしたらきっと後輩に言うには恥ずかしいから嫌なのかもしれませんね。

 その当時のことは私も見ていました。

 レフィ君は火力を上げれば物理攻撃で何でも倒せると信じていて、それでまぁ物理攻撃の効かない相手には随分と苦戦をしていましたね。

 それを何とかしたのはラフィちゃんです。

 突っ込んでいくラフィちゃんに頭を抱えながらも、その度に魔法でどうにかして、と。

 まぁ、その反面ラフィちゃんはレフィ君と違って物理攻撃の方が苦手だったので魔法が効きにくい相手が出てきた時はまったく逆の様相を呈していたわけですが……

 まぁ、そんなことを目をキラキラと輝かせてみているレンくんとランちゃんには言いづらいでしょうね。


「はぁ……今はあなたたちの話よ、私の話はいいのよ。まぁ……そうね。仕事が無いときにご飯でも一緒に食べることがあったら、その時に機会があったら私が覚えている範囲でよければ話してあげなくもないけれど」


「!ほんと!?ラフィさん!」


「ラフィ姉様!じゃあ、その時には先生の昔の話なんかも一緒に聞いてみたいっ! わたしたちの知らない先生の話もあるのよねっ!」


「……ああ、うん。いいわよ、先生の話は特に何でも話してあげるわ。期待しててね」


 あぁ、これは……私の話ばかりして自分の話はあまりしない前触れですね。

 覚えがあります。

 確実に言い切らない消極的で迂遠な引き延ばしな返事に、流れるような仕草で目線を逸らすその姿。

 この辺り、昔から変わっていませんね。

 先延ばしにして結局はやらないように考えているとき特有のラフィちゃんです。

 何故でしょうね? 変わらない姿に、ほんのちょっぴり安心する私が居ます。

 面倒くさがりですからね、ラフィちゃんは。

 それもただの面倒くさがりではありません。

 嫌だと思ったり面倒だからやりたくないと思ったことにはどんな面倒なことをやったとしても回避しようとする……それは普通に回避せずにやった方が面倒が少ないのでは?と思うような、奇妙な回避をするのがラフィちゃんの特徴なんですよね。

 面倒ごとに別の面倒ごとをぶつけてうやむやにしようとするのですよ。

 まぁ、さっきの言葉から察するに……まず仕事詰めにするくらいは軽くやるでしょうね。

 休みがあったとしても他の職員の代わりに仕事を請け負ったり、休日出勤をしたり……それでも仕事をすることがなくなって休みになってレンくんやランちゃんに都合悪く出会ってしまって約束だと言われても私の話だけをして


 あら、もうこんな時間ね。今日はここまでにしましょう


 なんて言って終わらせるのでしょうね。

 だいたい分かってしまいます。

 ここは……ふむ、私が少しお節介を焼いて話すタイミングを増やしてしまいましょうかね?

 

「で、カニバルズスライムはその火炎魔法を内部から受けた後どうなったの? 火炎魔法、っていうとスライムが受けたら液体で構成された身体の温度が上がって身体の構築が上手くいかなくなるはずだけど」


「あ、そう、えっと、その時はラフィさんが言ってることと同じことが起きたんだ。普通のスライムと違ってそれだけで倒せるってことはなかったけど、身体の中が沸騰して動かなくなって」


「ふむふむ、カニバルズスライムの身体は強酸性のはずだけれどそれはどうやって?」


「それは、身体に魔力を纏わせて通さないように」


「ふぅん、成程……で、そこをランちゃんが光線を放ってってとこかしら?」


「ええ、奥の方でちょっと見えにくかったのだけど一つだけ忙しなく動いている核があったから、それを狙ったのよ」


「ん……?ふぅん、そう……一つだけ動いて……他の核は火炎魔法を受けた時点で機能を停止してたけど、それだけは耐久力が違った……ってとこかしら?」


 自分の考えを呟きながら書類にまとめていますね。

 まぁ、カニバルズスライムはこの付近では滅多に出ない個体ですから情報を集めることは大事でしょうからね。

 数自体も少ないのでそれだけ情報も少ないはずです。

 実際、私も一から十まで知っているわけではないのですよ。

 名前と、特性と、強さと……攻撃に対する反応とか、生物学的なとこまでになると流石にさっぱりです。そこまで知らなくても核を潰せば終わりですからね。

 カニバルズスライムと言えどスライムの名を冠している以上はスライムです。

 私としてはそれ以上でも以下でもありませんから。

 書類に走らせていたペンの音が止まる。

 情報のとりまとめは終わったみたいですね。

 書類の端を机で揃えて、それからラフィちゃんが二人と向き直る。

 その顔は、書類仕事がよほどうまくいったのか晴れやかなものでした。。


「うん、二人とも珍しい魔物の貴重な情報をありがとうね。これに関しての追加報酬も後で出るから期待していいわよ? こういう珍しい魔物の情報はギルドでも高く買ってくれるから」


「へぇ、そうなんだ」


「ええ、時間を取らせてごめんなさいね。こういうのは、報告を受けた時点でまとめないと上の人がうるさいから」


「……ん、ラフィさんも大変なんだね」


「…………そうね。ギルドの仕事って楽そうって思って働きだしたけど面倒ね」


「ラフィ姉様……それは言っていいこと? 後ろの方で何かすごい顔の人が」


「いいのよ、ちゃんと働いてるんだから文句の一つや二つや三つや四つ」


 ふむ、後ろに筋骨隆々の男の人。

 確か、ギルドマスターのバルザスさんでしたか?

 ラフィちゃんがすみませんね。

 喋るわけにもいかないので心の中でだけですが、謝っておきます。

 どうもこの感じからすると、ラフィちゃんったら普段からこんなことを結構言っているみたいですからね。

 またこいつは……と言いたげなうんざりとした呆れた表情。

 これは、心の中だけではなくラフィちゃんの保護者として私が後でしっかりと菓子折りでも持っていた方がよいでしょうかね?

 佇むバルザスさん。

 しかし、それを気にしたふうもなくラフィちゃんが後ろに居るバルザスさんへとちょうどよいとばかりに書いたばかりの書類をヒョイと渡して追い払う。


 ……ますますうちのラフィちゃんがすみません。


 それからラフィちゃんが依頼達成の処理をして大量の核の分と合わせた報酬を渡す。

 報酬金が入っている袋を覗き込んでランちゃんが「ふぅん」とどうでもよさげに離れたのに対し、レンくんがピシリと固まった。


「え、こんなに?……えっと、ラフィさん。こんなに貰っちゃって、いい、の?」


「ええ、いいのよ。正当な報酬だもの」


「でも……」


 レンくんが固まったまま動きませんね。

 まぁ、カニバルズスライムから核を大量に確保してきた影響でスライム討伐とは思えない高額の報酬になってしまってましたからね。

 こんなに貰っちゃっていいのか、なんてレンくんが悩んじゃうのも分かります。

 ただ、ランちゃんはそんなレンくんを肘で引っ付いて「いいのよ、正当な対価なんだから。貰っちゃいなさいよ」なんて特に迷うこともなくランちゃんが言っていますが。

 レンくんはいきなり大金を渡されたのでこわいのですよね。

 でも、ランちゃんはその辺りをまるで気にしない、と。

 

「ふふ、真面目ね。いいのよ、贔屓してるわけじゃないんだから、それはあなたたちの正当な評価よ。むしろ貰ってくれないと困るわ」


「え、あ、はい……それじゃ」


「歯切れ悪いわね、レン。いいじゃないの、そんなこと気にしなくて。貰えるんなら貰っておきましょ」


「ランちゃんは決断はやいわね~。ふふ、二人とも良いコンビになりそうね」


「ありがと、ラフィ姉様。でも、わたしはちょっと心配だけど。レンってつまらないことで悩むもの」


「ランが悩まなさすぎなんだよぅ」


「ふふ、そう」


 未だに困った顔をしてるレンくんにどうでもよさげに見ているランちゃん、それを微笑ましそうに見るラフィちゃん。

 うんうん、教え子同士が仲良くしているのは私としてはとても良い光景です。

 微笑ましくもあり、嬉しくもあり……まぁ、混ざることが出来ない身としては少しばかり寂しくもありますが。

 誇らしい気持ちになります。

 三人とも真っ直ぐに育ってくれましたね、と。

 渋々といった未だに納得をしていなさそうな表情でお金を仕舞うレンくん。

 それに露骨に溜息を吐くランちゃん。

 それを見てラフィちゃんがポンと手を叩いた。


「報酬も受け取ったし、初依頼は見事これで終了ね。何か気になったこととか、依頼の最中で困ったことはあったかしら?」


「ん~……そうね、わたしは何も。ありがとラフィ姉様」


「いえいえ、これが仕事だもの。レンくんの方は?」


「あ、僕も特には……あ、ごめんラフィさん。それじゃえと、一つだけいいかな」


「ええ、何かしら?」


「その……実は」


 言うのを躊躇うように、一瞬レンくんが口ごもる。

 しかし、それもすぐに終わることでした。

 聞かない方が嫌だったのでしょう。

 疑問を吐露するようにすらすらと打ち明けていく。

「実は……最後、倒したと思って気を緩めたら、そこにカニバルズスライムの液体が飛んできて」


「……もしかして、大怪我したの?」


「違うわ、ラフィ姉様。かかりそうになったところでカニバルズスライムの身体と一緒に光になって消えたのよ。不思議なことに」


「…………光に? そう……そう」


 途端、ジトッとした目でラフィちゃんから睨まれました。

 何でしょう?

 とりあえず、手をにぎにぎとして返事をしておく。

 すると、誰にも分からないくらい小さく溜息を吐いてレンくんとランちゃんの方へと向き直りました。


「レンくん、ランちゃん。そういうことはね、基本的にはないわ。私は他の冒険者の報告では聞いたことがない」

 

「そうなんだ……それじゃもしかして、カニバルズスライムってそういうものなの? 僕も、ランも他の魔物では見たことないんだけど、これって珍しいこと?」


「………………そうね、すご~~~く珍しいわね。私も一度しか見たことがないわ」


「一度だけ……というと、カニバルズスライムの特性ってことじゃ」


「違うわね。私が見た時は別の魔物、そう……私が見たときはデーモンと戦ったときね、その一回以外は他にデーモンと戦っても光にならずに普通に死体が残ったわ」


「じゃあ、ラフィ姉様?その、今回のことって」


「そうね、とても」


 そこで区切られる。

 何やら含みのある言い方ですね。

 ふむ、それにしてもデーモンですか。

 確かにそんなことありましたね。

 あれはデーモンが死んだ後に発動する術式がまだ残っていたものですから、それを無力化するために完全に勝利ムードだった二人に代わって発動の直前に私が消し飛ばしたのです。

 ラフィちゃんはあれが私の仕業だともう分かっているみたいですね。

 本当に成長したものです。

 ね、ラフィちゃん?

 あえて目を合わせると、ラフィちゃんの方から目を逸らされてしまいました。

 それから諦めたかのような表情で、色んな感情を吐き出すかのようにレンくんとランちゃんに向かって。


「運がよかったわね。カニバルズスライムの液がかかってたら重傷じゃすまなかったかもしれないもの。こんな都合の良いことはもう二度と起こらないと思って今後は戦った方がいいわね」


「…………うん、ありがとう、ラフィさん。僕もそう思う。きっと、ああいう不思議なことが起きなければ大変なことになってたと思うから……」


 ラフィちゃんの言葉にレンくんが神妙に頷きました。

 うんうん、含蓄のある言葉ですね。

 実体験を伴っていますからね。その説得力はひとしおでしょう。

 いや、しかし、それにしても流石はラフィちゃんと言うべきでしょうか?

 先輩として指導をして欲しいとは思っていましたが、まさか私がお願いをする前に自発的にやってくれるとは。

 ふふ、出来た教え子を持って先生はとても嬉しいですよ?


『それで、ラフィちゃん? お願いなんですが、次は薬草採取を取るように誘導をして欲しいのですが』


「はぁ」


 おや?溜息を吐かれてしまいましたね。

 何故でしょうか?

 少しばかり悲しいですね。


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