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第40話 不穏

 ギルドを出て数分。

 レンくんとランちゃんはスライム討伐のための準備をしていました。

 私としては薬草採取を取って欲しかったのですけどね。

 ラフィちゃん……どうして協力してくれなかったのでしょう?

 寂しいものですね。

 元々、色々と準備をしていたことも相まって準備は確認程度ですぐに終わりました。

 特に気負った様子もなく、街の外へと出て行く。

 まぁ、スライム討伐、ですからね。

 そこまで緊張するようなこともないでしょう。

 

「ねぇ、ラン。帰ったら何する?」


「ん……そうね。依頼を終えたら報酬も出るのよね……となると、わたしとしては初の依頼達成記念に何か欲しいわね。っても、スライム討伐の報酬で買える物となると……どの程度かしらね?」


「記念品かぁ……僕もちょっとそういうのいいなぁって思うなぁ。せっかく冒険者になったんだしね」


 ふむふむ、記念品ですか。

 二人tものんびりとした様子。

 捕らぬ狸の皮算用ではありますが……そうやって未来のことに想いを馳せるのもよいことでしょうね。

 頑張りなさい、レンくん、ランちゃん。

 万が一の時は、私が何とかしてあげますからね?

 楽しそうな会話をしながら二人が歩いていく。

 すると街の外からこちらへ向かって歩いてくる人影がありました。

 あれは……ふむ。


「あ、レンくんにランちゃんだっ、またあったね!」


「あぁ、ユリィ。こんにちは」


「相変わらず陽気ね……能天気そうで羨ましい限りよ」


「能天気って何さ~!これからあたしは依頼の達成報告だよぉ?陽気なのは当たり前だって~」


 ふむふむ。

 距離を取って見守っているのでよくは見えませんが……あれはユリィですね。

 二人のお友達、ということになっている。

 ええ、彼女を見間違うことはありません。

 首に、とても特徴的なアクセサリーを付けていますから。

 瘴気、それが僅かに放たれる黒い首輪。

 その手には薬草が多数抱えられていて、服は草や葉にまみれ……まさに駆け出し冒険者、といった風貌ですが。

 

「ん、それをギルドに納めるわけ?」


「うんっ、あたしがいつもやってる採取依頼っ!駆け出しでも出来る割に報酬もそこそこ高いし、安全だし!あたしって頭イイと思わない?流石の依頼選択だよね~」


「あぁ、はいはい、そう思うんなら別にいいんじゃないの、それで採取依頼、ね」


「レンくんとランちゃんも受けようようっ!色々と教えてあげるっ!」


「ん~?別にそういうのいいわよ?わたしもレンも薬草の知識は一通り先生に習ってるもの。ま、三人でやるのはいいかもしれないけど」


「本当っ!?じゃあじゃあ!近いうちにやろうね!ふっふ~、楽しみ~」


「……別にわたしは楽しみではないけどね」


「ひどいいいいいいぃいいぃぃぃっ!あたしたち友達でしょっ!」


「だから、何よ……」


「あ、はは、ラン?いい加減、素直になったら?」


「は?何言ってんのよ?わたしは素直よ」


 楽しそうに会話をしていますね……

 何だかんだと言いつつ、ランちゃんは心の奥底ではとっくに友達だと認めている様子。

 ランちゃんは気難しい子ですからね。

 少しでも気に入らなければ言っているはずですし、友達だと認めていなければそう言っているはずですからね。

 それが、あからさまに否定しないということはもう認めてしまっているということ……

 こういった心を開ける相手が増えることは保護者としてはとても微笑ましいものなのですよ。

 まぁ、彼女が、あれでさえなければ、ですが


「っていうかユリィ?依頼の達成報告に行くんじゃなかったの?? 薬草ってことは鮮度とかもちょっとは関係すると思うんだけど」


「あ、そうだったっ。本当に時間なかったんだ!それじゃあ、レンくん、ランちゃんっ!あたし行くから~。ええっとぉ、二人はこれから何しに?」


「スライム討伐よ。最初の討伐と言えばやっぱりこれよね」


「!へぇ、そうなんだっ、じゃあ二人とももう冒険者になったんだねっ」


「?そうだけど……気付いてなかったわけ?それなら何で採取を一緒にとか言ってきたのよ?」


「いや、だってほら?関係ない人を連れて労働力として貢献してもらえれば報酬を独り占めできるうえに楽できるかなぁって」


「……相変わらず狡いことを考えるわね、あんた」


「えへへ、そうかなぁ?」


「褒めてないわよ」


 楽しみにしてるからね~、と軽く挨拶をしてからユリィが去っていく。

 その姿は、後ろに居る私の近くを通り


「ふぅん、スライム討伐、か……ふふ」


 ニヤリと口角を吊り上げる。

 私のことは見えていない様子でした。

 ふぅ、妙なことにならなければよいのですけど、ね。

 

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