# 第六話 ## 「魔王、母に説教される」
# 第六話
## 「魔王、母に説教される」
「というわけで!」
ルナが元気よく手を挙げた。
「みんなで魔王城に行こう!」
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「どういうわけだ!」
悠人は叫んだ。
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だが決まってしまった。
ルナを送り届けるため。
そして戦争の真相を知るため。
悠人たちは魔王城へ向かうことになった。
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数日後。
魔族領。
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黒い山々。
巨大な城。
空を飛ぶドラゴン。
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普通なら震える景色だった。
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しかし。
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「綺麗ねぇ」
母は観光気分だった。
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「母さん緊張しろよ!」
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「大丈夫よ」
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何が大丈夫なのか分からない。
だが本当に大丈夫そうだった。
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そして魔王城。
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巨大な門が開く。
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ドゴォォォン!!
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「魔王様ぁぁぁ!」
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魔族たちが整列する。
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悠人はゴクリと唾を飲んだ。
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ついに。
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魔王との対面。
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人類最大の敵。
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最強の存在。
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きっと恐ろしい男だ。
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そう思っていた。
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玉座の間。
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そこに座る男は。
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身長二メートル。
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黒いマント。
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鋭い目。
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巨大な角。
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完全に魔王だった。
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「よく来たな」
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低い声が響く。
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空気が震える。
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悠人は足がすくんだ。
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しかし。
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魔王の視線が美鈴に向いた瞬間。
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ピシッ。
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固まった。
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「・・・え?」
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魔王の顔色が変わる。
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青くなる。
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白くなる。
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震える。
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そして。
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ドゲェェェン!!
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土下座した。
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「申し訳ありませんでしたぁぁぁ!!」
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「えええええ!?」
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玉座の間が大混乱。
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側近たちも混乱。
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悠人も混乱。
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リリアも混乱。
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ミルフィはお菓子を食べていた。
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「美味しいです」
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「空気読め!」
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魔王は震えながら言う。
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「お、お母様・・・」
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「お母様?」
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悠人が固まる。
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母が首を傾げる。
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「どちら様?」
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「二十年前!」
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魔王が叫ぶ。
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「森で倒れていた私にスープを作ってくれた方です!」
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静寂。
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「・・・は?」
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悠人は理解できなかった。
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魔王は続ける。
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「あの時私はまだ若かった」
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「うん」
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「腹ペコで倒れていました」
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「うん」
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「そこへ現れたお母様が」
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魔王は涙目になる。
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『ご飯食べる?』
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『いっぱい食べなさい』
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『ちゃんと野菜もね』
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「とても優しかったのです!」
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号泣。
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「それ以来ずっと恩人です!」
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「そんな理由!?」
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母は思い出した。
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「あら」
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「思い出しました!?」
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「野菜嫌いの子ね」
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魔王。
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ビクッ。
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「まだ食べてないでしょ?」
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「・・・」
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「食べてないわね?」
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「はい・・・」
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「ダメ」
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魔王。
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正座。
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「申し訳ありません・・・」
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完全に母と息子だった。
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その夜。
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魔王城で晩餐会が開かれた。
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人間。
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魔族。
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同じテーブルで食事をする。
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何百年ぶりかの光景だった。
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ルナは嬉しそうだった。
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「こういうの見たかったんだ」
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悠人も笑う。
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その時。
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リリアがそっと近づいた。
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「悠人さん」
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「ん?」
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「少し散歩しませんか?」
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悠人の心臓が跳ねる。
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しかし。
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反対側から。
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ルナも腕を掴んだ。
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「私も行く!」
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「・・・」
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「・・・」
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二人の視線がぶつかる。
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バチバチバチッ!!
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火花が見えた気がした。
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ミルフィがメモする。
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『恋愛戦争開始』
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「だからそのメモやめろ!」
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だが。
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楽しい時間は長く続かなかった。
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城の外。
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誰も知らない場所で。
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黒いローブの男たちが集まっていた。
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「魔王と人間が手を組み始めた」
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「まずいな」
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「計画を早めろ」
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不気味な声。
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そして。
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男たちの中心には。
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巨大な黒い結晶。
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その中で何かが脈打っていた。
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ドクン。
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ドクン。
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まるで生きているように。
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そして男は笑う。
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「世界を滅ぼす時が来た」
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その言葉が。
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新たな戦いの始まりを告げていた。
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### 次回予告
## 第七話
### 「初めてのデートと世界の危機」
リリアとルナ、二人から同時に誘われた悠人!
人生初のモテ期到来!?
一方その頃、怪しい組織が世界滅亡計画を始動!
そして母・美鈴は魔王城の台所を完全制圧!?
恋も冒険も大加速!
さらに――
悠人のポエムがまた誰かに読まれる!?!?




