# 第三話 ## 「銀髪騎士と恋の始まり」
# 第三話
## 「銀髪騎士と恋の始まり」
「あなたが噂の“最強お母様の息子”ですか?」
美しい声だった。
悠人が振り返る。
そこにいたのは――
銀色の長い髪。
青い瞳。
白銀の鎧。
腰には細身の剣。
絵本から飛び出してきたような美少女騎士だった。
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「え・・・」
悠人は固まった。
人生初だった。
こんな綺麗な女の子と話すのは。
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「私はリリア・フォン・アルセイン」
少女は優雅に一礼した。
「王国騎士団副団長です」
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悠人の頭が止まる。
美少女。
騎士。
副団長。
情報量が多すぎた。
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「おーい」
母が肘でつつく。
「悠人」
「な、なに?」
「口開いてるわよ」
「え?」
「恋?」
「違う!!」
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リリアが首を傾げる。
「恋?」
「違います!!」
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顔が真っ赤になる悠人。
母はニヤニヤ。
ミルフィはメモを取っている。
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『初恋確認』
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「何メモしてるんだ!」
「天界への報告書です!」
「そんな報告いらない!」
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その後。
悠人たちは王都へ向かうことになった。
狼退治のお礼らしい。
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道中。
リリアは美鈴に何度も質問していた。
「どうやって魔物を倒したのですか?」
「え?」
「秘技ですか?」
「普通に叩いたけど」
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リリアが青ざめた。
「普通とは・・・?」
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実は美鈴本人も理由が分からない。
異世界に来てから身体能力が異常だった。
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歩けば速い。
力も強い。
体力も無限。
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「肩こりも治ったわ」
「それはよかったな」
「老眼も治ったわ」
「すごいな」
「腰痛もないわ」
「異世界万能すぎるだろ」
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ミルフィが胸を張る。
「異世界ですから!」
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その瞬間。
木にぶつかった。
ゴン!
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「前見ろ!」
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王都へ着く頃には夕方になっていた。
巨大な城壁。
無数の人々。
賑やかな市場。
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悠人は感動した。
「すごい・・・」
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すると。
突然。
お腹が鳴った。
ぐぅぅぅぅ。
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「・・・」
「・・・」
「・・・」
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リリアが笑った。
初めて見せる笑顔だった。
「お腹が空いているのですね」
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その笑顔に。
悠人の心臓が跳ねた。
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ドクン。
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「え・・・」
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胸が苦しい。
だけど嫌じゃない。
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母は気づいた。
完全に気づいた。
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ニヤァ・・・。
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「母さん、その顔やめろ」
「青春ねぇ」
「違うって!」
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リリアは意味が分かっていない。
「青春?」
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「気にしないでください!」
悠人は必死だった。
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その夜。
王都の宿屋。
悠人は眠れなかった。
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窓から月を見る。
異世界の月。
地球とは違う月。
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静かな夜だった。
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ふと。
ノートを取り出す。
昔からの趣味。
誰にも見せたことのないもの。
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ポエム。
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悠人は書いた。
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**『誰かを見て、こんなに胸が苦しくなるなんて知らなかった。』**
**『きっとこれは痛みじゃない。』**
**『閉じた心に差し込んだ、優しい光だ。』**
**『もし君が笑うなら、明日も少し頑張れる気がする。』**
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書き終える。
少し照れる。
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その時だった。
後ろから声がした。
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「素敵ですね」
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「え?」
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振り返る。
そこにはリリアが立っていた。
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全部読まれていた。
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「・・・」
「・・・」
「・・・」
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悠人の顔が真っ赤になる。
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「ぎゃあああああああああ!!」
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人生最大の悲鳴が宿屋に響いた。
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一方その頃。
別室。
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美鈴は腕相撲大会で優勝していた。
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「お母様ー!!」
「最強だー!!」
「結婚してくださいー!!」
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「息子がいるから無理よー」
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王都中が大騒ぎだった。
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### 次回予告
## 第四話
**「ポエムがバレた日」**
リリアにポエムを読まれた悠人!
恥ずかしさで逃げ出すが、リリアの反応は意外なものだった。
さらに王国で開催される剣術大会に母・美鈴が出場!?
参加者たちが震える中、ポンコツ天使ミルフィはなぜか実況席へ!
恋と笑いと大騒動の王都編、開幕!




