# 第二話 ## 「車椅子の母、異世界で立つ」
# 第二話
## 「車椅子の母、異世界で立つ」
「ぎゃあああああああ!!」
「説明書を逆に読んだだけですー!」
「大事故じゃねぇか!」
「てへっ♪」
「ごまかすな!」
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光に包まれた悠人たち。
次の瞬間。
ドサッ!
三人は草原に落ちていた。
青い空。
見たことのない大地。
遠くには巨大な城。
空には二つの月が浮かんでいる。
「ここが……異世界?」
悠人は呆然と呟いた。
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「着きましたー!」
ミルフィが両手を広げる。
その直後。
足元の穴に落ちた。
ズボッ!
「たすけてぇぇぇ!」
「お前、五分に一回落ちるな!」
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母の美鈴は笑っていた。
「面白い子ねぇ」
「母さんは笑いすぎだよ」
「だって可愛いじゃない」
「えへへ」
ミルフィは照れた。
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しかし。
その時だった。
美鈴がふと立ち上がろうとした。
いつもの癖だった。
もちろん立てるはずがない。
そう思った。
だが――
スッ。
立った。
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「・・・え?」
悠人は固まる。
ミルフィも固まる。
鳥まで固まる。
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「え?」
美鈴も固まる。
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一歩。
また一歩。
歩く。
歩いている。
確かに。
自分の足で。
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「母さん・・・」
悠人の声が震えた。
「歩いてる・・・」
「私・・・歩いてる・・・」
美鈴の目から涙が溢れた。
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十年ぶりだった。
十年間。
立つことができなかった。
走ることも。
散歩することも。
できなかった。
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美鈴は空を見上げた。
涙を流しながら。
「もう一度・・・歩けるんだ・・・」
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悠人も泣いていた。
止まらなかった。
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美鈴は悠人を抱きしめる。
立ったまま。
自分の足で。
「ありがとう」
「・・・」
「今まで支えてくれて」
「母さん・・・」
「ありがとう」
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悠人は子供みたいに泣いた。
異世界に来て初めて。
心の奥の重荷が少し軽くなった。
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その時。
ミルフィも泣いていた。
「うぅぅ・・・感動ですぅ・・・」
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そして。
鼻水を拭こうとして魔法を発動。
ボン!!
自分の服が爆発した。
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「きゃああああ!」
「何してんだお前!」
「感動すると魔法が暴発する体質でして!」
「そんな体質あるか!」
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感動が一瞬で消えた。
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だが。
その直後。
草原の向こうから悲鳴が聞こえた。
「助けてー!」
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振り向く。
荷馬車が襲われていた。
巨大な狼の魔物。
三体。
いや四体。
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商人たちが震えている。
「まずい!」
悠人は走ろうとした。
だが戦う力なんてない。
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その時。
美鈴が前に出た。
「母さん?」
「悠人」
「え?」
「母は強いのよ」
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次の瞬間。
ドゴォォォォン!!
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狼が空へ飛んだ。
一匹。
二匹。
三匹。
四匹。
全部。
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「・・・」
「・・・」
「・・・」
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商人たちが固まる。
悠人も固まる。
ミルフィも固まる。
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美鈴は首を傾げた。
「私、何かした?」
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空の彼方で狼たちが星になった。
キラーン☆
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「母さんんんんんん!!?」
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こうして。
山田美鈴。
五十二歳。
元車椅子。
異世界最強候補。
爆誕。
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そして悠人はまだ知らない。
この先。
王国最強の銀髪騎士。
美しい魔法使い。
元気な獣人少女。
様々な出会いが待っていることを。
そして――
人生で初めての恋が始まることを。
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### 次回予告
## 第三話
**「銀髪騎士と恋の始まり」**
狼を吹き飛ばした母は王国で大騒ぎに!?
一方、悠人は銀髪の美少女騎士と出会う。
しかしその第一声は――
「あなたが噂の“最強お母様の息子”ですか?」
恋より先に母が有名人になっていた!?
ポンコツ天使ミルフィも大暴走!
異世界家族コメディ、さらに加速!




