表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超ひも♡理論君  作者: いたあめ(しろ)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
55/60

第54話 Tシャツ

54話はお話が少し進みます。

理論君が加奈を驚かせるために何か画策しているようです。

「理論君とサイズが合わなければ、相手の服が伸びることになるわ」

「確かにそうですね」


「服を借りて伸ばすのは忍びないでしょ??」

「その通りです」


「服を伸ばさないためには、服を買ってもらうしかないわよね??」

「そうです」


「理論君、お金ないのよね??」

「その通りです」


「お金も渡さずに友達に服を買ってもらうの??」

「それはさすがに悪いですね」

 しょんぼりする理論君。


「そうでしょ。それなら、理論君、あなたは私のお金を受け取るべきなのよ」

「分かりました」


 理論君はポチ袋を受け取ると、ポケットにしまいこんだ。


「それでいいわ」

 私はコクリとうなずく。


「お礼になるかどうかはわかりませんが、加奈さんをびっくりさせたいと思います」

「私をびっくりさせる?? どういうこと??」


「加奈さん、不思議野邦乃のファンなんですよね??」

「そうね。大好きね」


「それなら、今日はすぐに帰ってきてください」

「何があるの??」


「それは帰ってきてからのお楽しみです。間違いなくびっくりしますよ」


 とてもうれしそうにする理論君。

 そんなに勿体付けなくてもいいのに……


「へえ、それは楽しみね」

「そうでしょ。今日もはりきって出社してください!!」


「分かったわ」

 理論君に促され、化粧をばっちりとした後、ネイルをつけて着替えた。


 もちろん、着替えは理論君に見られないように、脱衣所でだ。

 着替え終えて理論君の様子を見に行くと、理論君はまだご飯を食べていた。


「それじゃあ、私、会社に行くわね」

「お気をつけて」


 理論君に見送られ、玄関を出る。

 カチャリとかかるオートロックの音が私の心を満たした。


 落ち着いて、金子加奈。

 今の音はオートロックなの。


 部屋の中にいる理論君が鍵をかけてくれたんじゃないのよ。

 分かってはいるが、孤独じゃないという安心感が私の心を勘違いさせる。


 部屋の中に誰かがいるだけで、こんなにも違う風景になるとは思わなかった。

 帰ってくるのが楽しみだ。


 心を躍らせながら、会社へと向かった。

 高くそびえたつ会社が目に入ってきたので辺りを見回す。


 トッシー先輩はいないようだ。

 ほっと胸をなでおろした後、秘書室へと向かった。


 秘書室の人たちへの挨拶して、自分の席へと座って、パソコンを立ち上げる。

 さてと、いつも通り、メールチェックをしますか……


 12通か……少ないな。

 そのうち重要メールは1通。


 この重要メール、トッシー先輩関連じゃなかろうな??

『トッシー先輩、社長に盗聴器を仕掛けてクビに』といった内容でも私は驚かないぞ。


 メールを開けると、『注意喚起 データ流出にご注意ください』という文字。

 何でデータ流出をしてしまったんだ??


 パソコンがウィルスにやられたのか??

 メールの内容を目で追う。


『在宅ワーク時に、後ろから家族の友達に覗かれて、次回の商品の情報が漏れてしまったケースがありましたので、以後、仕事をしているときは、背後にも気をつけるよう徹底してください』……か。

 いわゆるショルダーハッキングというやつだ。


 どこにいても、仕事関連の情報を扱うときは絶対に気が抜けないということだ。

『背後に気を付ける』って、使い古された陳腐な脅し文句みたいだな。


 夜の道は背後に気をつけろよ……的な。

 まあ、私はそもそも家に仕事を持ち帰らない主義だから、問題ないだろう。


 それにしても、ショルダーハッキングで、情報を盗み見た上に、情報漏洩させた犯人は、けしからんな!

 私も昨日、理論君のパソコンを覗こうとしたけども。


 あれはノーカウントだよね。

 理論君の仕事ぶり……というより、きちんと親御さんと連絡を取れたかを確認するためであって、後ろから覗き込んで、何か悪用しようとしたわけではないしね。


 うん、セーフ。

 理論君の情報を入手しようとしただけだもん。


 それよりも続きは何が書いてあるのだろう??

『仕事中、外部の人との接点は極力持たないようにしてください』


 “外部の人”という単語にすぐさま理論君を思い浮かべる。

 理論君とは仕事中じゃなく、完全プライベートだからセーフだよね。


 うん、セーフ、セーフ。

 さて、メールチェックも済んだし、業務にとりかかりますか……


 ピコン。

 トッシー先輩からのチャットだ。


『昨日の件、成功しました!!』


 まじか。

 あんな適当な作戦で、盗聴器を回収するなんて、なんて強運なんだ。


『お礼がしたい』

 お礼だって??


 そんなことされたら、小山課長に目を付けられる。

 よし、既読スルーをしておこう。


 さて、仕事、仕事。

 私は溜まっているメールを開けた。


 …………

 ……


 ノートパソコンの右下の時計を見やる。

 17時だ。


 勤怠システムのタイムカードを打ち、『お疲れさまでした、お先に失礼します』と普通番・遅番の人につげると、すぐさま走って帰宅した。


 私を驚かすと豪語した理論君。

 どのように驚かせてくれるのだろうか??


 期待に胸を膨らませ、走ること約20分。

 独身寮の1階ロビーに到着する。


 そこには、オートロックの前で紫色のリュックをかつぎ、微動だにせずに立っている人がいた。

 背は175センチ前後で、髪は短い金髪。


 ロングTシャツも紫色で、筋肉があるのだろうか、がっちりとした体型だ。

 後ろ姿だけで、体育会系だと分かる体つき。


 何をしているんだろうと思いながら、顔をちらりとだけ盗み見る。

 黒いサングラスをかけていて、素顔は分からない。


 顔のしわだけを見ると20代くらいで若そうだ。

 ただ、1つだけ分かることは、この寮で初めて会う人だということ。


 もしかしたら、309号室の人か??

 ……いや、ここの独身寮に住んでいるならば、オートロックを開錠して中に入っているはず。


 こんなところで足止めを食らってうろうろしているわけがないのだ。

 ならばやはり、単身寮には住んでいない人間。


 この寮に住む誰かの彼氏の可能性もあるけど、それなら部屋番号を押して、中に入れてもらえばいいだけだ。


 警戒心をさらに強めて体の方を見る。

 そこには見覚えのあるイラストがプリントされていた。


「“和code”の限定Tシャツ、不思議野邦乃ちゃんバージョン……だと……ウルトラレアTシャツじゃないか!!」


 思わず声を上げてしまった。


 “和code”が結成当時にゲリラライブ後の物販でしか手に入らないはずだ。

 まさか、こんなところでお目にかかることができるなんて!!

まとめ

理論君、加奈を驚かせると宣言する。

帰宅した加奈、1階のオートロックの前で、和codeの限定Tシャツを着ている人に会う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ