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超ひも♡理論君  作者: いたあめ(しろ)


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第52話 就寝

52話は少ししか進みません。

加奈と理論君が就寝する話です。

 おっと、独りじゃないことに感動していないで、早くお風呂に入っちゃおう。


 髪へのダメージが少ないはちみつ入りシャンプーとリンスで頭を洗い、化粧を落とし、肌への刺激が少ない弱酸性のボディソープ(泡タイプ)で体を洗ってから、38度のぬるま湯に浸かる。


 ふー、生き返る。

 やはり、お風呂は半身浴で30分は入らねばな。


 ゆっくりまったりお風呂に半身浴で長時間は入ることで、リラックス効果が期待できて、寝つきも良くなるって健康番組で言っていたからな。


 実践せねば。


「加奈さん!!」

 お風呂の外で理論君の声がした。


「どうしたの??」


 一瞬ドキッとしてしまう。

 まさか、本当に私の入浴シーンを覗きにきたんでは……


「歯磨き終わったので先に寝ます!!」


 なんだ、寝る報告か……

 ……って、それ必要??


 勝手に寝てくれていいのに。

 律儀だな、理論君。


「了解。おやすみ」

「おやすみなさい!!」


 言い残すと理論君はどこかへ行ってしまった。

 さて、私はゆっくりとお風呂に入りますか……


 …………

 ……


 お風呂から上がって、パジャマを着ると、すぐさま水分補給するために冷蔵庫をあけて、麦茶をとると、コップに入れ、ごくごくと飲む。


 ぷはーっ。

 生き返った。


 さてと、のども潤ったことですし、髪を乾かしますか。

 私は理論君の睡眠の邪魔にならないようにドライヤーの風量をlowにしてから、髪を乾かす。


 うう、lowだと、highの時の2~3倍、時間がかかるんだよな……

 髪を切ってベリーショートにしようかな……


 これから、ドライヤーの風量をhighで乾かすと、先に寝てしまっている理論君を起こしてしまったら悪いしな。

 ベリーショートにすれば乾かす時間が短くなるので時短も節電もできる。


 でも、長い髪はいろいろな髪型でおしゃれができるんだよな……

 悩む。


 いや、それ以前に、今の家の近くに、良い美容室ってあったっけ??

 スマホで近辺のおしゃれな美容室をチェックする。


 口コミはどこも似たような評価で、特色が分かりづらい。

 これでは、どこがいい美容室なのか、判断つかないな。


 まあ、そのうち考えればいいか。

 乾ききった髪に冷風をあてて、キューティクルが出たかどうかを確認し終えてから、洗濯物を乾燥機に入れる。


 もちろん、理論君の睡眠の妨げにならないように、サイレントモードでだ。

 さて、お次は名もなき家事を済ませてしまおう。


 荒熱の取れたすき焼きを冷蔵庫に入れて、炊飯器のタイマーをセットしてと。

 あとは、三角コーナーのネットを取り換えて、ゴミ袋を取り換えれば、今日の家事はすべて終わりだ。


 …………

 ……


 ふぅー、終わった、終わった。

 時計に目をやる。


 もうすぐ0時を回ってしまう。

 スマホの目覚ましをセットして、寝ますか。


 寝不足はお肌の大敵だしね。

 歯磨きをして、常夜灯のついている寝室へ向かう。


 理論君はベッドの奥の右半分だけを使って寝ていて、左半分を開けているようだ。

 左半分開けてくれるのはありがたいんだけど、シングルベッドだから、二人で並んで寝たら、寝返りが打てないだろう。


 理論君はただでさえロングスリーパーなのだ。

 もしも理論君が寝返りを打てずにさらに睡眠時間を確保しなければならないことになってしまっては申し訳ない。


 今日はソファで寝るべきか??

 いやいや、理論君が左半分を開けてくれたのだ。


 せっかく開けてくれたスペースを使わなかったら、逆に申し訳ないのか……

 気を遣ってくれた理論君に感謝しつつ、ベッドの半分を使わせてもらう。


 まったく、無防備にかわいい寝顔しちゃってさ……

 ちょっと待って。


 私が理論君の寝顔が見られるということは、理論君からも私の寝顔が見られるということだ。

 恥ずかしい。


 もう一度私は理論君の寝顔を暗闇の中覗き込む。


「加奈さん」

「はひっ!!」


 寝ていたんじゃないの、理論君。

 びっくりして声が裏返ってしまった。


「すみません、赤子のように体力がないせいで今日は色々と迷惑をかけてしまって」

「迷惑だなんて思っていないわ」


 むしろ、孤独を感じさせないでくれてありがとうございます。


「そう言っていただけて、感謝します。ですが、明日もこのように迷惑をかけるかもしれません」

「安心して迷惑をかけなさい!!」


「すみません、手がかかる子どもで」

 申し訳なさそうにお礼を理論君。


「あなたは子どもじゃないわ。だって、私に朝ごはんを作ってくれたじゃない」

「それはそうですけど……」


「私、とっても助かったの。二日酔いで寝坊して時間がなかったから」

「ですが、その二日酔いの原因を作ってしまったのは僕ですよ」


 う、確かに。


 ただ、ここで、『そうね、貴方の責任ね』なんて言えない。

 正確に原因を突き詰めるなら、私が理論君にお酒を飲ませようとしたことなのだから。


「飲みすぎたのは、大人なのに飲みすぎてしまった、私の自己管理不足よ!」


 そう、たとえ理論君にあおられようとも、最初の一口だけでやめることだってできたのだ。

 理論君にあおられてビールを飲んだ私が悪い。


「さすが、大人ですね」

 薄暗いベッドの上でニッコリ笑う理論君。


「そうよ、なんちゃって大人とは違うのよ、なんちゃって大人とは!!」


 久しぶりの楽しい会話。

 まるで修学旅行の夜みたいだ。

 この会話が永遠に続けばいいのに……


「そうですよね。僕、加奈さんを本当の大人と認めて、手本にします」


 私が手本??

 嬉しいことを言ってくれるじゃないか、理論君。


「それなら早く寝なさい。明日は友達と相談するんでしょ?? 明日のことを見通して、自己管理するのが大人なのだから」


 本当はもっともっと理論君と会話したかった。

 だがしかし、ただでさえ理論君は体力がないのだ。


 理論君の手本である大人として、睡眠を促す一択しかない。


「分かりました。おやすみなさい」

「おやすみなさい」


 おやすみなさいと言ったものの、眠れない、眠れないよ。

 私の隣には好青年が眠っているのだ。


 ドキドキが止まらない。

 落ち着くのよ、加奈。


 相手は体力のない18歳なの。

 あちらは私のことなんて意識していないはずよ。


「加奈さん……」

「はひっ」


 急に名前を呼ばれて、返事をしてしまう。


「本当にありがとうございました……むにゃむにゃ」


 なんだ、寝言か……

 びっくりさせないでよ、理論君。


 うん、こんなに近くにいるのがいけないのだ。

 なんとかしないと……


 あ、そういえば、まだ開けていない段ボールにゲン専用の布団が入っていたんだった。


 今、思い出してしまった。

 布団を敷けば、わざわざベッドを半分にしなくても良かったじゃない。


 後から布団を出したら、一緒のベッドに眠りたくて布団を出さなかったと理論君に勘違いされてしまう。

 どうする??


 今すぐ布団を段ボールの中から出すか??


 でも、暗がりの中で今から段ボールを開けると、眠っている理論君を起こしてしまう可能性が高い。

 だがしかし、このまま寝ると疲れがとれないだろう。


 …………よし、理論君を起こしてしまうかもしれないけど、ゲン専用の布団を出そう。


 私は静かに段ボールから布団を取り出すと、ベッドの隣に敷いて毛布にくるまった。

 それにしても、今日は疲れた。


 疲れたけど、眠れない。

 心と体が一致しないまま、一夜を過ごした。

まとめ

加奈、眠れず。

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