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超ひも♡理論君  作者: いたあめ(しろ)


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第44話 帰宅

44話は少ししか進みません。

加奈が帰宅する話です。

 18時。

 勤務中に仕事はすべてこなしたので、すぐに帰ることができる。


 心なしか帰る足取りは軽やかだ。

 さて、夕飯どうしようか??


 家に帰れば理論君がいるのだ。

 今日の夕ご飯まではきちんと面倒を見なければいけないよね。


 お別れする理論君の前途を祈って、豪華に牛肉ですき焼きにでもしようか……

 家の近くのスーパーマーケットによって、2割引されている国産黒毛和牛やらすき焼きのタレやら春菊やら糸コンやら生卵やら、すき焼きに必要な材料を多めに買い物かごに入れていく。


 多すぎるかもしれないけれど、残ったら、明日の朝ごはんにすればいいよね。

 理論君、おなかすかせているだろうな……


 冷蔵庫はほぼ空だしね。

 会計を済ませると、すぐさま理論君の待っているわが家へと向かった。


 …………

 ……


 外から私のマンションの一室を見ると、部屋に明かりはなく、暗かった。

 もしも理論君がいるのならば、カーテンの隙間から光が漏れ出ても良さそうなのに……


 理論君は私に迷惑がかかるのを嫌がっていた。

 きっと、お別れも言わずに出て行ってしまったのだろう。


 私はとぼとぼとマンションの中に入る。

 理論君、出て行っただけならまだいい。


 もしも理論君が泥棒だったら、私の家にあるものすべてなくなっているかもしれない……

 テレビもパソコンもゲーム機も。


 いいえ、疑ってはいけないわ。

 だって、あのマンションは防犯カメラがついているのよ。


 もしも、何かを持ち出そうとすれば、すぐにバレてしまうわ。

 そんなことをするはずがない……


 ないのだが、目の前にお金になりそうなものがあれば、逮捕されると分かっていながら魔が差して、盗んでしまうこともあるかもしれない。


 世の中、自制心が働く人間ばかりだとしたら、犯罪行為なんてものはありえないわけだし。

 犯罪をする人は、自制心が働かず一線を越えてしまっているのだ。


 理論君も一線を越えてしまっていたら……

 私、理論君を犯罪者にしてしまったのかもしれない。


 二日酔いで頭が痛くて全然回らなかったとはいえ、私は何てことをしたんだ。

 眠気がひどいなら、タクシーを呼んで、どこかのビジネスホテルにでも泊まらせればよかったんだ。


 どうして、自分の部屋に泊めたんだろう……

 本当に私のバカ。


 エレベーターに入る足取りも重い。

 しんと静まり返ったエレベーターの中での体感時間がやけに長く感じられた。


 エレベーターが止まると、一瞬出るのをためらったが、頭を振ってエレベーターから降りた。

 こんなに足取りが重いのは、スーパーでいつもより多めに買った食材のせいだ!


 そうだよ、腕が疲れているから自然と足が遅くなっているに違いない。

 逆に、早足で家に戻ろう。


 そうすれば、1秒でもはやく真実が分かる。

 私は鉛のように重たい手足にも関わらず、早足で玄関の前にたどり着いた。


 扉の前で『すーはー』と1度だけ深呼吸してから、鍵を開ける。


「ただいま!!」


 少しだけ大きめの声で言ってみるが、返事はなくしんと静まり返っていた。

 玄関の靴を見る。


 昨日の朝と同じく、私の靴しかない。

 やはり、理論君は家から出てしまったようだ。


 いや、理論君のことだ。

 置手紙くらいはあるかもしれない。


 玄関の扉を閉めると、オートロック施錠を確認せずに急いで靴を脱ぎ、部屋の電気をつけると、買い物袋を冷蔵庫の前におき、机のところに向かった。

 机の上には置かれっぱなしの合鍵と千円札。


 置手紙はない。

 テレビもパソコンもゲーム機もきちんと置かれていた。


 どうやら、挨拶をせずに家を出て行ったようだ。


「あの礼儀知らず!!」

「誰が礼儀知らずなんですか??」


「それはもちろん、理論君よ!……って、理論君!?」


 なんでここに理論君が??


「おはようございます」

 むくりとベッドから上体を起こす理論君。


 その姿をみて私はなぜだかホッとしてしまった。


「おはよう……って、もう夜だけど」

「すみません、『こんばんは』ですね」


「そうね、『こんばんは』ね……って、そこじゃないわ!! 今までずっと寝ていたの??」

「そうですよ」


 こくりとうなずく理論君。


「今、夜の7時を過ぎているのよ!! 朝の7時から寝ていたってこと??」

 もしも理論君の言っていることが本当なら、12時間は寝ていたことになる。


「疲れている時は、12時間以上眠るなんて当たり前ですが……」


 そう言いながら、うつらうつらし始める理論君。

 まだ眠たいみたいだ。


「ちょっと待って、理論君、あなた、靴はどうしたの??」

「僕の靴ならベランダに置いてありますよ」


 なるほど、最初からベランダに置いていたのか。

 あれ??


 それなら、朝、家を出るときに理論君の靴がないことに気づきそうなものだけど……

 そういえば、朝は二日酔い状態だったんだっけ。


 頭が痛かったから、家を出るときに理論君の靴がないことなど、気にも留めなかったのだろう。


「そうだったのね……って、なんでベランダに靴を置くの??」

 妥当は玄関だよね!!


「ベランダに靴を置いておけば、もしも、合鍵を持っている加奈さんの彼氏さんがこの部屋に入ったとしても、ベランダから逃げられるじゃないですか」


 なんて子なの!?

 まさかそこまで想定していたなんて……


「逃げるって、ここ3階よ、理論君」

「3階なら余裕で降りられます。いないと思いますが、もしも彼氏さんが来たらすぐに逃げるので言ってください」


「何で私に彼氏がいないって思うの??」

「1番の理由は歯ブラシですね。加奈さんの歯ブラシだけで、他の人の歯ブラシはありませんでした」


「確かに、歯ブラシは私のものしかないけど、それだけで付き合っている人がいないと思うのは早計なのでは??」

「歯ブラシだけでは早計です。ですが、机の上にあったメモから、男の影はないと推理しました」


「え?? そのメモで??」

「ええ。加奈さん、あなた、やることリストを作成するくらいかなりきっちりとした性格ですし、仕事柄か気が利く性格ですよね??」


「確かに、きっちりした性格だし他の人と比べて気が利くのは自負しているけど、どうしてその性格で男の影がないと分かるのよ??」


「きっちりした性格で気が利く人に彼氏がいるならば、修羅場になりそうなことは前もって僕に忠告して回避するはずです。ですが、忠告はありませんでした」

「確かにそうね」


 この子、かなりの推理力があるのね。

 わずかな情報だけで私に彼氏がいないことを言い当てるなんて……

まとめ

理論君の推理力はすごい。

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