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超ひも♡理論君  作者: いたあめ(しろ)


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第43話 牽制

43話は少ししか進みません。

加奈がエレベーターで会話するお話です。

 エレベーター乗り場に私以外誰もいなかった。


 それはそうだ。

 トッシー先輩から逃れるために、超スピードで食べたのだ。


 食堂に向かう人は多くても、食堂から自分の課へ戻る人間は少ないだろう。

 誰もいないエレベーターへと乗りこみ、38階のボタンを押した瞬間、目の前に見知った顔が飛び込んできた。


 すぐさま、閉まるボタンを連打する。

 もちろん、閉まるボタンを連打したところで、エレベーターの扉は速く閉まるわけもない。


 このままでは地獄の時間になってしまうと思い、私はすぐさまエレベーターを降りようとしたが、時すでに遅し。

 エレベーターの扉は閉まってしまっていた。


 落ち着くのよ、金子加奈。


 エレベーターという空間は特殊な空間なの。

 エレベーターが動き始まってしまえば、しんと静まり返るものだから、絶対に話しかけられたりなんかしないわ。


 いつも通りにふるまうのよ。


「何階ですか??」

 振り返らずに、普段通りに背後にいる人物に尋ねた。


 背後の人物は何も答えない。


『上に参ります』

 機械音声の後、エレベーターが動き始める。


「ねえ、あなたと瀬尾部長、一緒に昼ご飯食べていたのを見かけてしまったのだけれど、やっぱりあなたたち二人は仲がいいのかしら??」


 私の質問にはこたえずに、背後から訊ねてくる小山課長。

 質問を別の質問で返してくるなんてことある??


 怖い、怖いよ。

 私はどう返答すればいいの??


 早くこたえなければいけないのに。

 エレベーター内に流れる静寂の時間。


 この静寂はエレベーター特有のものでないのは確かだ。

 返答を間違えてしまえば、地方に飛ばされるか会社をクビになってしまうくらいのプレッシャーが背後からひしひしと伝わってくる。


 小山課長は本当にあの瀬尾部長のことが好きなのだ。

 それで、私と瀬尾部長が仲良くしているのを見て、気に食わないと思ったのだろう。


 いわゆる嫉妬というやつだ。

 だから、ものすごいプレッシャーをかけて、問い正してきたのだ。


 小山課長、男の趣味が悪いですよ。

 私も高校時代に騙されて付き合っていたから人のことは言えないけど。


「瀬尾部長は高校生の時の先輩なんですよ」


 少しの静寂の後、その言葉だけをなんとかひねり出した。

 彼女だったことは伏せておこう。


 純愛……というより、トッシー先輩に振り回されただけだったし、キスもしていないし。

 トッシー先輩とのお付き合いはノーカウントでいいよね。


 もしも、元カレ・元カノの関係です……なんて言ったら、私の命の危険になりそうだし。


「もう、それならそうとはやく言ってよ。私、勘違いしちゃったじゃない」


 エレベーターの中の空気がとても穏やかになった気がした。

 小山課長の表情は見えないが、きっと安心に満ちた顔をしているだろう。


「勘違いってどんな勘違いですか??」

「あなたたちが現在進行形で恋仲関係なのかと思ったのよ」


「現在進行形で恋仲関係なはずないじゃないですか」

『えへへ』と笑うような勢いで軽いノリでこたえるとエレベーター内は温かい空気に包まれた。


「そうよね、恋仲関係じゃないのよね……それなら、どうして食堂でこそこそ話をしていたのかしら??」


 またものすごいプレッシャーがのしかかってきた。


 小山課長の緩急をつける心理テクニック。


 油断したところをがぶりと食いつく作戦ということだろう。


「それはですね……高校時代の瀬尾部長がミスをしたという恥ずかしい話で、誰かに聞かれたら、瀬尾部長のメンツが潰れるかもしれませんでしたから」


 微笑を意識しながら、噛まないように言ってのけた。


 私はうまくウソをつけているのだろうか……


 鏡がないから分からないけど、大丈夫、顔がひきつっていたとしても、小山課長は背後にいるのだ。

 バレることはないだろう。


「そうだったの。それならこそこそと食堂で内緒話は良くないわ。二人の仲が良いと勘違いしてしまうから」

 そう言っている小山課長に先ほどまでのプレッシャーは感じなかった。


「そうですよね。こそこそ話はよくないですよね。次から気を付けます」

 食堂で密談なんかしていれば、付き合っているのかと勘違いされても仕方ないですよね。


「ところで、高校時代に瀬尾部長がどんな高校生だったか気になるわ。彼女とかいたのかしら??」

「それは……プライバシーの点から、私の口からはなんとも……」


 まずい。

 付き合っていたなんて口が裂けても言えない。


「もう、口がかたいんだから」

「口がかたくないと秘書は務まりませんからね」


「確かにそのとおりね。金子さんは向いているわ、秘書」

「お褒めの言葉、ありがとうございます」


 お礼をした直後、エレベーターが止まり、扉が開いた。

 ルンルン気分でエレベーターから出て、秘書課へと向かう小山先輩。


 ふぅ、ギリギリの攻防だったが、首の皮一枚つながったようだ。

 間違いない。


 小山課長はトッシー先輩が好きなのだ。

 ん??


 小山課長は確か、30歳。

 トッシー先輩は25歳だから、5歳年上。


 確か、トッシー先輩のストライクゾーンはトッシー先輩の年齢+3歳~-3歳……小山課長アウトじゃないか??


 いやいや、私は口がかたい女。

 そのことは伏せておこう。


 ストライクゾーンの話は高校生の時の話だもん。

 大人になったトッシー先輩のストライクゾーンが今は広がっているかもしれないしね。


 小山課長の恋愛、全力で応援させていただきます。

 私も秘書課へと戻った。

まとめ

加奈、小山課長とエレベーターで話して、トッシー先輩との関係性を説明する。

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