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超ひも♡理論君  作者: いたあめ(しろ)


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42/61

第41話 ホワイトナイト

41話は少ししか進みません。

加奈がトッシー先輩に助けを求められるお話です。

「何が分かったんですか、トッシー先輩??」

「金子は俺を見放そうとしているということがだ」


「そんなわけないじゃないですか」

「いいや、お前は俺を見放そうとしているね。そうでなければ、場所を替えて話をするはずだ!!」


「見放すつもりはないですよ。でもですね、トッシー先輩に近づくな……とくぎを刺されたばかりなんですよ」


 ついさっき、小山課長に忠告されたばかりなのに、会社外であっていて、しかもアドバイスまでしていたことがばれたら、間違いなく私は秘書課にいられなくなる。


 せっかく本社に来れたというのに、トッシー先輩のせいで地方に逆戻りしてしまったら、笑いものだ。


「誰にだ?? そいつは俺のことが嫌いなんだろう!!」

「誰ってそれは……」


 ここで小山さんの名前を出せば、トッシー先輩は小山さんを嫌いになるかもしれない。


 トッシー先輩のことを好きな小山さんが私のせいでトッシー先輩から嫌われたら、私も小山さんから嫌われるだろう。


 小山さんの恋路を邪魔したことが秘書課のみんなにばれれば、間違いなく秘書課にはいられないくなる。


「……それは答えられません。秘書課には守秘義務がありますから」

「分かった。誰かまでは聞かない。だから、ミスした俺を助けろ!!」


 上から目線で命令してくるトッシー先輩。


 言ってることがめちゃくちゃだな、この人!!

 自分のミスくらい、自分でどうにかしてよ!!


「今回ばかりはできません」

「助けないなら、俺は問う!! 誰だ、俺のことが嫌いなやつは??」


「それは教えられません」

「わがままだぞ、金子!! どちらかを選べ!! 秘書課でライバル会社のお菓子を配った俺を助けるか、俺が嫌いな人を密告するか」


「どちらも選べません!!」

「選べよ、金子!! さもないと、金子が俺を部長どころか社員じゃないと判断して警察に電話しようとしたことを社内で広めまくるぞ!!」


 根に持っていたんだ……


 私は、『はぁ』と一つため息をついてから、ラーメン鉢を両手で抱え込み、ごくりとスープを飲みこむ。

 ああ、ほどよい塩加減が五臓六腑に染みわたる。


「えっと、確認なんですけど、先輩が助けてほしい内容って、秘書課に持ち込んだお菓子の件ですか??」

「ああ、その通りだ。社長の一声で役職についている人達からは評価されたからな。問題は秘書課だけだ」


 秘書課の件だけでいいなら、楽勝だ。


「しかたないですね……耳を貸してください」

「お?? 俺が嫌いな人の密告か??」


「違いますよ!! 先輩を助けるアドバイスです!! 耳を貸してください」

「了解」


 嬉々として右耳を出してくる先輩。

 大声で怒鳴って、鼓膜を破ってやろうか!!


「昨日の秘書課の件ですが、特に何かをする必要はないと思います。秘書課のみなさんは優秀な瀬尾部長が会社のスパイをあぶりだすための奇策を弄したと思い込んでいますから」


 怒りを押し殺して耳元でささやく。

 優秀なトッシー先輩なら、この言葉ですべて理解するはず!!

 そう、トッシー先輩が優秀であるならば。


「俺が優秀で奇策を弄した?? どういうこと??」


 そうですよね。

 トッシー先輩は優秀じゃないですもんね。

 知っていました、こうなること。


 本当にこのポンコツだな。

 どうやってこの会社受かったんだ??


「とにかくですね、トッシー先輩は威風堂々としていればいいんです」

「イフウドウドウ??」


 難しい四字熟語は知らないのか……

 トッシー先輩だもんな、仕方ない。


「つまりですね、『やってやったぜ感』を出せばいいんですよ!!」

「任せろ!! それなら、大得意だ!!」


 サムズアップしながら『やってやったぜ感』を出すトッシー先輩。

 そうでしょうね。

 ハッタリだけで成功してきた人ですもんね。


「これで解決ですね。それでは、もうこのお話はやめにしましょう」

「ああ、そうだな」


 うなずくトッシー先輩。

 よしよし、誰に見られているか分からない。


「それでは」

 このままこの場から立ち去ろうと立ち上がろうとする。


「ちょっと待ってくれ。『ホワイトナイト』って言葉、何か知っているか??」


 ホワイトナイトを知らないだと……

 本当に先輩は社会人なのだろうか。


「インターネットで検索してください」


 今ではネット検索するだけで、AIが要約してくれる機能だってあるんだから、私に聞くよりずっと良いだろう。


「つれないことを言うなよ。検索した文章を読んで俺が分かるわけがないじゃないか。これだけ教えてくれたら、戻って良いから」


「仕方ないですね。ホワイトナイトっていうのは、乗っ取られそうな会社を守る第三者の会社です」

 ため息交じりでトッシー先輩に説明する。


「つまりどういうことだ??」

 分からないんかい。


「例えば、『A会社』が『B会社』の株を買って、会社を乗っ取ろうとしていたとします。ここまでは分かりますか??」

「ああ、もちろん」


「会社を乗っ取られたくない『B会社』は、『C会社』にお願いして大量の株を買ってもらって守ってもらうんです。B会社を守るC会社のことを一般的にホワイトナイトと呼びます」


「なるほど、ホワイトナイトは正義の会社ってことでいいんだな??」

「そうですね。分かったなら、私行きますね」


 これ以上関わったらろくなことになりそうにない。

 私は今度こそ立ち上がった。


「そっかー、つまり、成神グループが和色グループを買収しようとしているから、うちの会社がホワイトナイトになったってことか」


 聞いてしまった。

 知らなくていい機密情報を聞いてしまった。


「私、何も聞いていません」

 遅ればせながら、耳を塞ぐ。


「おいおい、完全に最後まで俺の話聞いたよな、お前」

「確かに先輩の話を私は聞いたかもしれません。ですが、その話が本当かどうかなんてわからないじゃないですか。信ぴょう性がない話は聞いていないのと同じです」


「信ぴょう性ならあるぞ。なぜなら、録音もあるからな」


 そう言いながら、耳を塞いだ手を強引にこじあけ、私の耳の穴にイヤホンを押し当ててくるトッシー先輩。


『わが社がホワイトナイトとなり、和色グループを成神グループから守ります』という男性の声が流れる。

 その声は確かに社長の声だった。


「ははは、今のフェイクの技術ってすごいですよね。まさかここまで社長の声に似せることができるなんて。それでは」

「現実から目をそらすな!! これはAIが作ったフェイク音声などではない!!」


「フェイク音声ですよね?? フェイク音声だと言ってください!!」

 私はいつの間にか先輩の胸倉をつかんでいた。


「残念ながら本物なんだ」

 ぽんと肩に手を置き諭す先輩。


「本物ですって?? そんなわけないじゃないですか。本物だとしたら、何で録音までしているんですか??」

まとめ

加奈、トッシー先輩を助ける。

加奈、トッシー先輩から社長を盗聴したという爆弾発言される。

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