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超ひも♡理論君  作者: いたあめ(しろ)


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第40話 食堂

40話は少ししか進みません。

加奈が社食でご飯を食べるお話です。

『金子、ヘルプ!!』『昨日。秘書課での件、どうしよう??』『やはり、謝るべきかな??』エトセトラ、エトセトラ。


結局99件すべてトッシー先輩からだった。

頭がガンガンと痛くなる。


これはそう、二日酔いのせいだ。

決してトッシー先輩の迷惑チャットのせいじゃないんだからね。


それにしても暇すぎないか、トッシー先輩。


仕事をしなさい、仕事を!

チャットでそう送ろうかとも思ったが、今の私には、小山課長から特別ミッション、『トッシー先輩に近づくな』が発令されている。


こうなったら、仕方ない。

必殺技、既読スルーで対抗だ!!


こちとら、仕事が溜まっていて、トッシー先輩にかまっている暇などないのだよ。


追加でトッシー先輩からガンガン送られてくるチャットもすべて既読スルー。

仕事の邪魔になるから、トッシー先輩のチャットだけミュートできる機能が欲しいところだ。


いや、ダメだ。

急用の場合もあるだろうし、それを無視したら、トッシー先輩に何を言われるか分からない。


トッシー先輩のチャットを無視しつつ、仕事をこなすデュアルタスク……二日酔いの私にできるのか??


できるのかじゃない!!

やらなくちゃ!!


それにしても、瀬尾部長と距離をとれ……か。

まったく、とんでもないミッションを課してくださったものだ。

…………

……


12時。

お昼ご飯だ。


二日酔いには、塩分がいいとテレビの健康番組で紹介していた。

顔や脚がむくむのを覚悟して、今日は塩ラーメンを食べようじゃないか。


「すみません、塩ラーメン一つ」

プラスチック製の箸をとって、ウォーターサーバーから水を入れたあと、すぐさま注文をした。


「はいよ」


すぐさま塩ラーメンが出てくる。

どうやら、すでに作り置きしたものがあったようだ。


ラッキー。

スマホの電子マネーでお会計を済ませると、あたりを見回した。


食堂の椅子と机は200席あり、今はまだ空席ばかりだ。

それもそうか。


二日酔いの重い頭を抱えながら、階段で直行したのだ。

お昼時で混んでいるエレベーター組よりも先に着くのは至極当然。


さて、席は選びたい放題。

どこに座ろうか……


食堂の席には年功序列といったようなものはない。

どこでも座りたい放題だ。


やはり景色の良い窓側がいいかな……


「いただきます」


おいしい。

アサリ出汁のあっさりスープと細麺が絡まり合い、食が進む、進む。

社員食堂のクオリティーとは思えない。


「おいしそうに食うな。俺も塩ラーメンにすればよかった」

後悔しながら一人の男性が私の目の前の席にどかりと座る。


「どうしてここの席に座ったんですか?? ほかにも席、たくさん空いていますよ、トッシー先輩!!」

周りを見回せば、空席ばかりだ。


「つれないな。一緒に食おうぜ。どうせ、一人なんだろう??」

トッシー先輩は、割り箸をパキリと割りながら話しかけてきた。


「一人ですが、一緒には食べたくないんですよ」


近づいてはいけない業務命令が出ていますしね。

私はラーメンの入ったお盆を持ち、空いている席に座ろうとする。


「ちょっと、待てよ。俺とお前の仲じゃないか!!」

牛丼が置いてあるお盆を手に、私についてこようとするトッシー先輩。


「ついてこないでくださいよ!! 私は独りで食べたいんですから」


一緒にいるところを小山さんに見られでもしたら、また問題が増えるじゃないか。

念のため周りを見回す。

視界に小山さんはいなかった。


「珍しいな。寂しいのが嫌いな金子が、独りになりたがるなんて……まさか、お前、転勤3日目でとんでもないミスをやらかしたのか?? だから独りになりたいということか??」

「なんでそうなるんですか!! ミスなんかしていませんよ!!」


寂しいのは嫌いだけど、疫病神であるトッシー先輩とは食事したくないもの。


「隠さなくても大丈夫だ。何とかしてやるから、部長の俺に相談してみろ」

「いやいや、昨日やらかしたのは、トッシー先輩でしょ?? ライバル会社のお菓子を持ってきて、ピンチになったあげく、何ともできなかったじゃないですか!!」


「そう、俺が話したかったのは、昨日持ってきたお土産のことなんだよ!!」


ニヤニヤしながら話を切り出すトッシー先輩。

しまった。


誘導された……いや、違う。

トッシー先輩が意識的に昨日の話を蒸し返せるはずがない。


この男の無自覚巻き込みスキルに巻き込まれてしまったのだ。

やってしまった……これは私の完全なミス。


「昨日のお土産のことを今日チャットで聞いたのに、お前、既読スルーしただろ??」

「しました」


「あっさりと白状したな……どうして既読スルーした??」


トッシー先輩は静かに怒っている。

ここが社員食堂でなく、誰もいない裏路地であったなら、私の胸倉をつかんで殴りかかってきそう雰囲気だ。


『今、あさりラーメンのせいであっさりと白状しました! あさりだけに!!』とおやじギャグを言ったら、さらに逆上しそうだから、この案は却下だ。

さて、波風を立てずにどう言い訳するか……


「先輩、よく聞いてください。チャットとは、履歴が残ってしまうので、もしもトッシー先輩の問いかけに私がチャットでこたえたものが第三者に見られてしまったら、社内通報窓口に通報されて、私もトッシー先輩もピンチになってしまうんです」


そう、仕事場でのチャットは、証拠になり得るのだ。

「なるほど、そういうことだったのか」


私の鮮やかないいわけに、トッシー先輩はひざを打つ。

本当にちょろいな、この人。


「そういうことだったんです!!」


本当は単純に先輩の質問に答えたくなかっただけだけど。

建前大事。


「それなら、チャットじゃなくてメールで教えてくれ!!」


「先輩、私の話を聞いていましたか?? チャットだろうとメールだろうと、誰かに文章を読まれてしまったらピンチになるのは先輩なんですよ??」


「ああ、そうだな」

「ああ、そうだな……じゃないですよ!! 危機感が足りないんです、先輩は!!」


「すまなかった!! 謝るから、今後俺はどのようにすればいいかを教えてくれ!!」

「イヤです」


「おいおい、金子、お前は上司を補佐する優秀な秘書だろ??」

「それはそうですけど……」


「それなら、上司の出張があったら旅程を計画するし、上司がミスをしたら今後の対応について考えるのが優秀な秘書の役目だ! 違うか??」

「違いますね」


「違うだと??」

「ええ、そうです。先輩がおっしゃったように、上司の出張があれば工程を確認しチケットを手配します。ですが、上司のミスの対応については業務外です」


私自身の失敗ならともかく。


「そこをなんとか!! 俺を助けると思って!! お前がライバル会社のお菓子を褒めたことは誰にも言わないから」


「すでに社長にバレているんですよ!! トッシー先輩のせいで!!」

「そうだったっけ……」


「先輩、いい加減にしてくださいね」

「本当にすまなかった!! だが、聞いてくれ!! 俺だって、ライバル会社のお菓子だとは知らなかったんだ!! 今回だけはアドバイスをくれ!! チャットもメールもダメならここでいいから」


頭を下げるトッシー先輩。


「ここでアドバイスはあげられませんね」

「どうしてだ??」


「ここは食堂ですよ!! 誰に聞かれているか分からないじゃないですか!! それこそ、昨日のように社長が食堂の視察に来たら、おしまいです」

「ああ、確かに!! それなら、場所を替えよう!! 近くの喫茶店でいいか??」


「それもできないんですよ!!」

「何で??」


「それはですね……」

「それはどうしてなんだ、金子??」


「それは……」

どうしよう、うまくごまかす返答ができない。


「分かったぞ」


何かひらめくトッシー先輩。

ラッキー。

トッシー先輩がうまく誤解してくれていれば、この局面をうまく乗り切れるかもしれないぞ。

まとめ

トッシー先輩からの助けをスルーする。

トッシー先輩、食堂までくる。

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