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超ひも♡理論君  作者: いたあめ(しろ)


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第33話 頭痛

33話は少ししか進みません。

加奈が理論君を部屋の中に入れてしまうお話です。

「それなら、308号室に行きますね」


私の説明なしに、理論君はドアノブにある3センチ四方の正方形に鍵のタグを近づける。


『ピコッ』っと音が鳴ると、カチャリと鍵が開いた。


「手慣れているわね」

まさか、理論君の本職は泥棒じゃないだろうな??


「そんなことないですって。ドアノブに鍵を近づけただけなんですから……」


あれ??

309号室のことを論争していて、何か大切なことを忘れている気がする……


あ、そうだ。

理論君を家に入れないようにしなければならないんだった!!


何で今まさに家の中にあげているのよ!!

こんなことしたら、居座ってしまうかもしれないじゃない。


「理論君、ちょっと待って!!」


私はとっさに叫ぶが、すでに玄関の中に入ってしまっている理論君は急には止まらない。

理論君は私の部屋の中へと入ってしまった。


「もう大丈夫らよ、理論君!! 私は!! それじゃあ、さようなら!!」

私は玄関のところでしゃがみ込み靴を脱ごうとするのだが、うまくいかない。


「全然大丈夫に見えませんよ。酔っているんですよね??」

「違うわ。これは玄関が暗いからで、酔っているからではないのよ」


「ここの玄関、オートセンサーですよね?? 電気点いていますよ??」


しまった。

言い訳が裏目に出た。


やはり痛い頭で言い訳するのは無理があったか……


「僕に任せてください」


理論君は玄関で右足をひざまずき、私のパンプスを片方ずつ脱がせてくれた。

その姿はまるでシンデレラにガラスの靴を履かせる王子様。


……って、違う、違う。

正気に戻るの、金子加奈。

靴はパンプスだし、私の靴を脱がせているんだから!!


「ありがとう」

「いいえ、どういたしまして」


人懐こくにっこりと笑う理論君の瞳に視線がくぎ付けになってしまった。

理論君も私の瞳を見つめ返してくる。


何かがカチャリと閉まる音がした。


ん?

何の音??


音の先を見ると、玄関の扉。

そうだ、オートロックだった!!

おいおい、これじゃあ、私が理論君を連れ込んだみたいになるじゃないか!!


「それじゃあ、私は大丈夫なので、理論君はドアのカギを開けて、部屋から出て!!」

「すみません、加奈さん、僕、限界みたいです」


え??

何が限界なの??


私の顔をじっと見つめながら、理論君が少しずつ私に近づいてきた。

これって、もしかして……キスなの、理論君。


私のファーストキスが謎の18歳男子に奪われてしまうってこと??

理論君の唇と私の唇が触れそうになった瞬間、私は目を閉じてしまった。


どさっ!!

大きな音がしたので、私はとっさに目をあける。


そこには玄関に理論君が倒れこんでいた。


「大丈夫、理論君??」

「すみません、活動限界カロリーを超えたみたいです。もう1歩も動けません」


何??

活動限界カロリーって??

そう訊こうと思ったが、まずは理論君を助けるのが先だ。


「大丈夫、理論君??」

私は立ち上がり、理論君を起こそうとするのだが、腕がすっぽ抜けてしまった。


ごん。

腕がすっぽ抜けた勢いでそのまま床に頭をうつ。

すぐさま、目の前にお星さまがいっぱい見えはじめる。


「理論君、お月様じゃなくて、お星さまなら取れそうらよ」

「ちょっと、本当に大丈夫ですか??」


理論君の心配そうな声が耳に入った途端、目の前が真っ暗になってしまった。


…………

……


頭が痛い。

何でこんなに頭が痛いんだろう??


目を開けると目の前には見慣れたベッドがあった。

ごろりと上向けになると、社宅の天井。


つまりは、自分の部屋で寝ていたのに、頭が痛いということだ。

風邪のせいか??


自分の手をでこに持ってくる。

視界に入ってきた服装は仕事着のままだった。


あれ??

何で私、仕事着のままベッドで寝ているの??


昨日、パジャマには着かえなかったっけ……

昨夜は……ダメだ、頭痛のせいで思い出せない。


この痛み、風邪ではなく、二日酔いの痛みなんだよな……

二日酔い……


私、昨日、お酒を飲んだの??

下戸だからお酒を飲まない私が。


何で??

急に、男性の顔を思い出した。


この顔は……理論君!?

そうだ、理論君だ!!


私、理論君にお酒を飲ませようとしたんだけど、理論君は未成年で、結局私が飲む羽目になったんだ。


あれ??

でも、私、理論君と社宅まで帰ってきたよね??

それなら、理論君は今どこにいるんだ??


頭痛がするので、目だけ動かして理論君らしき人を探す。

部屋の中はがらんとしていて、人っ子一人いなさそうだ。


なーんだ、私、理論君とあったできごとはすべて夢だったのだ。

うん、そうに違いない。


漫画や小説にある、夢オチというやつだ。

よかった、夢で。


イタタタタ……

頭痛が現実逃避を目論んだ私をリアルへと戻す。


もしもすべてが夢だったなら、今現在、二日酔いであるはずなどないのだ。

たとえ残酷な現実が待っていたとしても、向き合いたくなくても、きちんと現実に向き合わなくては。


ポケットに入っていたスマホを何とか取り出し、昨日撮った写真を見返す。

そこには昨日居酒屋で撮った唐揚げが映し出されていた。


うん、分かっていました。

昨日のできごとは夢オチではないってこと。


着衣は乱れていない。

おそらく、理論君がベッドまで運んでくれたのだろう……


いや、待て待て。

理論君がベッドまで運んでくれたというのなら、その理論君はどこにいるんだ??


この部屋、全然人の気配がしないじゃないか。


まさか、理論君は部屋にあった私の金品を盗んで逃走したんじゃないだろうな。


頭痛がさらにズキズキと痛む。


どうする?? 

警察に電話か?? 

そのまえに、ママに電話?? 


いや、電話する前にまずは何を盗られているかを確認が先か??

二日酔いのせいか、思考がうまくまとまらない。


まずは、落ち着け、落ち着くんだ。

鼻から深呼吸をした瞬間、香ばしい小麦の香りが鼻腔をくすぐった。


何で、小麦の香り??

307号室か309号室の人がパンでも焼いているのだろうか??


ちらりと窓の方を見る。

窓は開いていない。


窓でも開いていない限り、こんなに香ばしい香りが漂うなんてことはないはずだ。

どういうことだ??

考えをまとめようとすると、さらに頭がズキズキと痛んだ。

まとめ

加奈、酔ったあげく、頭を打って気絶。

翌朝、目が覚めると、ベッドに寝ている。

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