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超ひも♡理論君  作者: いたあめ(しろ)


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31/60

第30話 大人

30話は少ししか進みません。

加奈がビールを飲んだ後のお話です。

「確かに僕はお酒が飲めません。でも加奈さんも下戸なんですよね??」


 いつの間にか『金子さん』から『加奈さん』になっているんですけど。

 距離詰めるの速くないか??


「そうね、私は下戸よ!! でも、この通り」

 私は啖呵を切って、ビールを一口だけ飲んだ。


「18歳の“なんちゃって成人”とは違うのよ。“なんちゃって成人”とは!!」

 びしっと理論君を指さす。


 本当はそんなこと思っていません。

 18歳は立派な大人です。


 全国の18歳の皆さん、ごめんなさい。


 でも、今は話をそらして、理論君にお酒を飲ませようとした事実をうやむやにしないといけないの。

 だから仕方ないの。


「加奈さん、ビッグマウスを叩いてますけど、全然減っていませんよ、ビール。やっぱり僕と同じで“なんちゃって成人”なんじゃないですか??」

 くっ、ビールを少ししか飲んでいないことがバレてしまった。


「そんなことないもんね」

 私は否定しつつ、今度はぐびりとビールを飲み込んだ。


 苦い……私の人生のように。

 炭酸がのどではじけて痛い……私の人生のように。


 なんで、下戸の私がこんな目にあわなくちゃいけないんだ。


 それはね、未成年に飲酒を勧めようとしたから。

 くっそー、あの時にビールを頼まなければ良かった。


「分かった、理論君?? 私は“なんちゃって成人”とは違うのよ、“なんちゃって成人”とは!! なぜなら、ビールが飲めるから!!」

 心の中で後悔しながら、私はごくりともう一口ビールを飲んだ。


「さすが、本物の成人は違いますね!! さあ、本物の成人の加奈さん。もう一口いきましょう」

「もちろんよ!! 私は本物の成人だからね」


 私はまたぐびりぐびりとビールを飲み込む。


 苦さと炭酸がのどではじけ祭りだ。

 あれ??


 何で私、理論君にあおられて飲めないビールを飲んでいるんだろう??

 そう思った瞬間、目の前が真っ白くなってきた……


「大丈夫ですか??」


 意識が飛びそうな私を心配そうに見つめる理論君。

 久々に男の人にやさしい言葉をかけられた。


 トクンと胸が高鳴る。

 いやいや、ちょっと待って。


 この胸の高鳴りは違うから。

 これは彼が格好良くて優しい言葉をかけてくれたからじゃないから!


 これはビールの魔力……というより、アルコールのせい。

 成人になりたての年下の男の子に、私の心は決して動いてなんかいないんだから。


「大丈夫、大丈夫」


 大丈夫とは言っているが、頭が痛い。

 そのうえ、意識が朦朧とする……


 いつのまにか、私の目の前はブラックアウトしていた。


 …………

 ……


「お客さん、もうすぐ閉店ですよ!!」


 女性店員の声。

 え??


 もうそんな時間??

 腕時計を確認すると、すでに23時。


 どうやら店員さんの言う通り、閉店間際まで気を失っていたらしい。


「お姉さん、大丈夫ですか??」

 その声は理論君だった。


「大丈ふ、大丈ふ。お金ならここにあるから」

 私は財布から1万円札を出す。


「会計も気になりますが、それ以前にお姉さんの体調のことを聞いているんですけど」

 お金を渡しながら、私の体調を気遣う理論君。


「大丈夫に決まっているじゃにゃい! 私は素面だお」

 何でそんな心配そうな目でこちらを見てくるんだ、理論君は。


「回ってませんよ、呂律」


「私の呂律はきちんと回っているのにょよ、理論君の耳がおかしいにょよ!!」

「そうですか」


 うなずきながら、理論君は女店員に私から受け取った1万円札を差し出した。


「お釣りです」

「ありがとう」


 女性店員が差し出すレシートとお釣りを受け取ろうとするのだが、不思議なことに、まるで蜃気楼を掴むかのように、お釣りを受け取ることができない。


 まさか、この女性店員、私にお釣りを渡したくなくていじわるをしているのか??


「お釣りもまともに受け取れないじゃないですか!! 僕が受け取って財布に入れておきますね」

 理論君は女性店員からお釣りを受け取ると、テーブルの上に置いてある私の財布にお金をしまいこんだ。


「会計も済んだし、私、帰るんだからあね!!」

「ちょっと、お姉さん、千鳥足じゃないですか」


「そんなことないわ!! 私はまともに歩いているんだから!!」


 ほら、この通りと歩いた瞬間に、どしりとしりもちをついてしまった。

 いたたたた――


「まともに歩けていないじゃないですか!! こうなったら、僕が家まで連れて行きます」

「どうも、ありがとう、理論君」


 理論君に寄りかかりながら、店の外へと出ると、当然、あたりは暗く、肌寒かった。


 あれ??

 何か大切なことを忘れている気がするけど、頭の中にもやがかかって思い出せない。

 早く思い出さないと!!


「家は近いんですか??」

 私が記憶をたどっている最中、理論君が話しかけてきた。


「うん、すぐそこ。歩いて5分くらいね」

 私は家の方角を指さす。


「それなら、タクシーはいりませんね」

「タクシーなんてもったいない!! 歩いて行くから」


 ああ、近くなんだからタクシーでも良かったのか……

 こういう時、貧乏性がどうしても抜けない……


「ちょっと、まっすぐ歩いてください」

「何を言っているの、理論君?? 私はまっすぐ歩いているわ」


「全然まっすぐじゃないですから!! 歩道の端っこまで来ているじゃないですか」

「えへへへへ」


 笑ってごまかす私。


「危ないんで、おぶります」

「え??」

 戸惑う私に関係なく、背中に背負われてしまった。

まとめ

加奈、酔っぱらって、一人で帰れないので、理論君が付きそう。

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