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超ひも♡理論君  作者: いたあめ(しろ)


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第28話 趣味

28話は少ししか進みません。

加奈が理論の趣味を訊きだそうとするお話です。

「理論さんって、アイドル詳しかったりしますか??」

「特に詳しくはないですね。でも、どうしたんですか、急に」


「いえいえ、私は“和code”の“不思議野 邦乃ちゃん”ってアイドルが大好きなので、理論さんもアイドル好きなら、話が合うかな……と思ったのです」


 まずは自分の好きなものをアピールして、自己開示をしないと仲良くはなれないからな。


「和codeの不思議野邦乃ちゃんですか……すみません、NGで」


 理論さんはバッテンを作る。

 写真と同様、この話はしたくないらしい。


「分かりました。ちなみに、理論さんの趣味は何ですか??」


 本当はどうして公園で倒れたかを訊きたかったけど、さすがに事情がありそうなので、まずはあたりさわりのない趣味を訊く。


 趣味を教えてくれさえすれば、『良い趣味ですね』と適当に相槌を打った後、『詳しく知りたいのでもっと教えてください』とお願いすれば、会話が途切れることもなくなるだろう。


 さあ、理論さん、趣味、カモン!!


「趣味はないです」

「そうですか、ないんですか……それは良い趣味ですね。詳しく知りたいので教えてください……って、趣味がないんですか??」


「これといって思い当たりませんね」


 思い当たらない……だと??

 こんな人間、今まで一度も出会ったことがない……なんてことはない!!


 これで私が困ると思ったら大間違いなんだから。

 ごくまれにいたんだよね。


『無趣味です』って人。


 でも、無趣味って人は、自分の趣味に気づいていないだけで、実は趣味があるのだよ。

 たった一つの質問で、理論さんの趣味をあぶりだしてやろうじゃないか。


「無趣味だというのなら、スマホの検索履歴を自分で見てもらってもいいですか?? 趣味がない人でも、検索履歴を見れば、自分の趣味趣向が分かるって言われていますから」


 そう、誰かに頼まれでもしない限り、スマホの検索履歴とは自分の興味関心ごとがあることしか検索しない。


 某、夜のバラエティー番組で得た知識だ。


 さすがに、初対面の相手にスマホをの検索履歴を見せてとお願いするわけにはいかない。

 だがしかし、相手自信に所有するスマホの履歴を見直してもらって、どういう趣味なのかを教えてもらおう。


「すみません、スマホはつい先日、海に捨てました」

 にっこりした笑顔でこたえる理論さん。


「そうですか、スマホは捨てたんですね」


 え??

 捨てた??


 何でも調べられて、何でも注文できる夢のようなマストアイテムを捨てたというのか??

 どうして……と聞きたくなるのを私はぐっとこらえた。


 世の中の大多数の人がスマホを捨てるなんてことはしない。

 つまりは、よっぽど触れられて欲しくないエピソードがあるはずだ。


 失恋で未練を断ち切るために……とか、借金取りに追われて……とか。


 少なくとも『人生をハッピーにするためにミニマリスト王に俺はなる!! そのためにスマホを捨てる!!』……的な前向きな話ではないはずだ。


「それならテレビは観ますか??」

 すぐさま話題を変えてみる。


「観ませんね」

 なんだと……


「スマホもテレビもなしに、どうやって情報収集をしているの??」


「最近では新聞ですかね」


 来た、来た、購読しているじゃないか、新聞!!

 話題を広げられる。


 紙媒体の新聞紙を購読はしていないけど、スマホで電子媒体の新聞は見ているのだよ。


「いいですよね、新聞。いろいろな記事が短時間で読めて」

「いろいろな記事が載っていますが、僕、新聞では天気予報の欄くらいしか読まないんですよね」


 なるほど、天気に興味があるということですね?? 高気圧と低気圧とか。

 天気予報士になれるくらいの知識に違いない。


 それなら、天気の知識について褒めればいいんだな。


「すごいです。天気に興味があるんですね。天気図とか詳しいんですか??」

「天気図は見ませんね」


 あれれー、おかしいぞー

 天気に興味があるのに、天気図は見ない??


「それなら、何を見ているんですか??」

「今日は晴れるかどうかと、最高気温と最低気温がどれくらいかだけでしょうか。着ていく服を決めるために」


「そうなんですね」


 服を決めるためだけに、天気予報を見ているだけなら、褒め損じゃないか。

 なんとか話題を替えなくては。


「……えっと、それなら、お休みの日とかは何をなさっているんですか??」


 無趣味な人でも、公園で散歩していますとか、家でくつろいでいますとか、何かこたえてくれれば、話のきっかけになるはずだ。


「休みの日は基本寝ていますね」


 来た、来た。

 寝ているじゃないか。


 趣味が睡眠の人とお酒を飲んだ経験もあるのだよ。

 ベッドや枕、シーツにこだわりがあれば、すぐにでも会話を深掘れる。


 さて、まずはとりとめのない会話だ。


「いいですよね、お昼寝。私も大好きでして――」

「本当はあまり好きじゃないんですよ、寝るのって」


「好きじゃないんですか、寝るの??」

「そうですね」


 ん??

 好きじゃないのに寝るってこれいかに??


「好きじゃないけど、お休みは寝ているということですか??」

「そうですね。好きじゃないけど、寝なければいけないんです」


 好きじゃないけど寝なければいけないとはこれいかに……

 そこを話題にするか??


 いや、好きでもないことを深堀したら、心を閉ざしてしまう可能性が高い。

 違う話題だ。


「そうなんですね。それなら寝ている間、夢とか見ますか??」

「夢は見ませんね」


「そうなんですか。私は夢を見るタイプなんですよ」

「へー」


『どんな夢を見るんですか??』と訊かないということは、私の夢には興味がないのだろう。

 そうだよね、小学生ならまだしも、大の大人が今日見た夢の話なんて、興味持つわけないよね。


 夢の中なんて何でもありだし。

 先日、悪夢をみまして……とも言えないしね。


 えっと、話題、話題……


「寝るのって、すぐに寝付けますか?? それとも時間がかかるタイプですか??」

「時と場合によりますよね」


 微笑みながらも、ばっさりと会話を切り捨てる理論さん。


「そうですよね」


 分からない、この男。

 話題のきっかけが全然つかめない。


 どうしよう。

 まさか、コミュ力が高くて、どんな相手でも会話を続かせてきた百戦錬磨の私が沈黙をするなんて……

まとめ

理論は無趣味。

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