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超ひも♡理論君  作者: いたあめ(しろ)


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第25話 写真

25話 話は少ししか進みません。

加奈がスマホで写真を撮るだけのお話です。

「おいしい!! このお米は魚川産コシヒカリですね」


 一口食べるだけでお米の産地が分かるなんて、エスパーですか……と突っ込みたくなったが、メニューにきっちりと『一級品、新潟県産魚川産コシヒカリ』と書いてある。


 きっと、私がメニューを見せた時にしっかりと覚えていたのだろう。


「おいしいなら良かったですね」

 私は笑顔をつくり、男性の顔をじっと見つめる。


「ご飯をおかずにしてご飯が食べられます!!」


 どういうことだよ……と思いながら、その幸せそうな笑顔に私はドキリとしてしまった。

 父親の笑顔に似ているな。


 いかん、いかん、目の前の男性と父親は別物なのだ。

 一緒にしては失礼になってしまう。


 男性の顔からご飯の方へと視線を移した。


 唐揚げ待ちなのか、もともと食べる速度が遅いのか、男性は箸を器用に使って、ご飯をちびちびと口の中へいれていく。


 その姿を見て、私のおなかがぐーとなってしまった。


 聴こえてなかったよね??

 そう思いながら、男性を見る。


「あれ?? お姉さんもおなかすいているじゃないですか、食べないんですか、ご飯」

 ちゃっかりと聞かれてしまった。


「ご飯は最後なの」

 健康番組で、野菜→お肉→炭水化物の順番に食べた方が太りにくいって説明をしていたからね。


「ああ、なるほど!! ご飯は食後のスイーツってわけですね!!」


 うん、違うよ。

 ご飯はおかずでもスイーツでもないよ。


「そういうことになるのかしら」

 今日初めて知り合った男性に説明するのも面倒なので、適当にうなずく。


「はやく来るといいですね、シーザーサラダと唐揚げ」

「おまちどおさまでした」


 男性と話をしていると、従業員のお姉さんがやってきた。


「シーザーサラダです!! こちら、とり皿になります!!」

 従業員のお姉さんは、楕円形の白いお皿の中に入ったサラダと小さな取り皿2枚をテーブルの上におく。


「「ありがとうございます」」

 先ほどと同様に、男性と声がそろってしまった。


 また目が合って、ドキンとすることを恐れた私は、今度はシーザーサラダに目を向ける。

 緑のレタスと赤いミニトマトクルトンとドレッシングのコントラストがとてもきれいだ。


 これぞ芸術。

 料理は見た目が9割だよね。


「おいしそう」

 私は独り言ちながら、すぐさまスマホを取り出した。


「そうですよね、こんなにボリューミーでおいしそうなサラダ、スマホがあったら写真で撮っちゃいますよね」


 うん、うん、とうなずく男性。


「当然です」

 私は財布から千円札を取り出すと、サラダの隣においてパシャリとサラダの写真を撮った。


「何で千円札を出して、一緒に撮っているんですか??」

「あ、スケール感が分かりやすいじゃないですか」


「スケール感ですか??」

「ええ、千円札って、15cmくらいだから、隣におけば、皿がどのくらいの大きさか分かりやすいじゃないですか。千円札なら大抵財布に入っていますし」


 そう、千円札を入れることにより、後から見直したときに、サイズ感が分かりやすいのだ。


「なるほど……でも、おいしそうなサラダに千円札が映り込んでいると、SNSにあげた時に評価が下がりそうですが」

「私、SNSは万人に向けて発信していないので大丈夫です」


 私が発信しているのは、大学の時の友達、ゲンくらいだ。


「それよりも、あなたは写真撮らないんですか??」

「ええ、撮りませんというか、撮れませんね」


 撮れない??

 それも、そうか、誰の助けも呼ばずに、行き倒れていたのだ。


 スマホの充電が切れているのだろう。


「撮れないなら、私のスマホで代わりに撮りましょうか??」

 私はスマホのカメラを男性に向けた。


「やめてください!! 肖像権の侵害です」


 本気で怒る男性。

 大きな声だったので、私は少しだけびくっとしてしまう。


「すみませんでした」

 すぐさま私は謝る。


「こちらこそ、すみません。写真NGで」


 申し訳なさそうに人差し指でばってんを作る男性。

 写真NGって、有名人か何かなのか??


 確かに男性の顔は目鼻立ちがはっきりしていて、アイドルにいてもおかしくないくらいイケメンだ。

 でも、アイドルにも精通している私の記憶に、目の前の男性の顔はメモリーされていない。


 私が知らない新人アイドルなのか、はたまたカメラNGの一般男性なのか……

 分からないが、男性にスマホを向けないように心がけよう。


「あ、写真に写るのはNGですが、写真をうまくは撮れるので、何枚か撮りましょうか??」


 男性は提案してくる。

 まさかとは思うが、スマホをそのまま持っていくんじゃないだろうな??


 昭和の時代、『写真を撮ってあげます』と言われて、高価なカメラを渡したら、そのままカメラを盗まれたという事件もあったらしいし。


 スマホは高価だからな。


 新しい盗難事件の恐れもある。

 だがしかし、体力のない男性が逃げ出すとも思えない。


 ここは場の雰囲気を良くするためにも、男性にカメラを渡してみよう。


「お願いします」

 男性にカメラを渡すと、画角を調整しながら、ぱしゃぱしゃと写真を撮る男性。


「おいしそうに取れたと思いますが、いかがでしょう??」


 スマホの画面をのぞき込むと、まるで採れたての新鮮な野菜かのようにみずみずしい写真だった。

 私ではここまでうまく撮れない。


「とってもおいしそうな写真です。もしかしてプロの写真家ですか??」

「プロのわけないですよ」


「それなら、どうしてこんなに上手に撮れているんですか??」

「たまたまです。たまたま」


 謙遜しつつ男性はニッと笑って見せた。

まとめ

男性は写真を撮られたくないが、撮るのはプロ級。

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