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超ひも♡理論君  作者: いたあめ(しろ)


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第20話 帰宅

20話 話はまったく進みません。

加奈が仕事を終えて、会社を出るだけのお話です。

 相変わらず逃げ足だけは、はやいんだから……


『逃げるな、卑怯者!!』と叫ぼうかもと思ったが、さすがに秘書課の前で騒ぎを大きくするわけにはいかない。


 トッシー先輩(厄災)が去ったことだし、私も仕事しないと……


 秘書課に帰って、スリープさせていたパソコンを起動させる。


 そういえば、小山課長のチャットって、なんの用だったんだろう??


 チャットを開くと、小山課長からの最新のチャットには、『ごめんね、金子さん もっと早く教えておくべきだった 大丈夫だった??』という謝罪と私を気にかけてくれる文。


 何を早く教えておくべきだったのだろうか??


 不思議に思って画面をスクロールする。


『瀬尾部長が持ってきたイチゴ大福は、本日成神グループに買収された若赤グループのお菓子なので、褒めないように』


 さすが、小山課長。

 ライバル会社のお菓子だと気づいていたんだ。


 …………いや、違う。

 小山課長だけじゃない。



 私以外の人は感想を言っていなかった。

 みんな小山課長の警告チャットをチェックする前から気づいていたのだ。


 さすがは一流会社の秘書。


 トッシー先輩があの箱を持ってきた時点で気づくとは。

 はやく、私も精進して、みんなと同じレベルにならなくては。


 お昼休憩の時に、横着せずに、会社の近くに若赤グループのお菓子についてもっと調べておけばよかった……


 情報は武器だって知っていたはずなのに……

 反省だな、これは。


 いや、反省の前に、ピンチをうまく切り抜けられたことと、教えていただいたお礼を伝えないといけないぞ。


『大丈夫です うまく切り抜けられました 教えていただきありがとうございました』

 チャットで返す。


『それなら良かった どう切り抜けたかと、なぜ瀬尾部長があなたに土下座をしていたか、時間あるときに教えて』


 小山さんからチャットが返ってきた。

 さすがは小山さん。


 私のフォローをしつつ、状況を訊くつもりだろう。

『承知いたしました』


 私はチャットを返すと、仕事にとりかかった。


 …………

 ……


 18時55分。

 私は自分のパソコンから上役が社内にいるかどうかを確認する。


 部長以上の上役はほとんどゲートをくぐって帰ってしまったみたいだ。

 誰も残業しなければ、私も残業ができないじゃないか!!


 誰か残業しろよ!!

 上役で遅番で残業しそうな人……


 あれ??

 トッシー先輩って今日は遅番じゃなかったか??


 そうだよ、私と同じ時間に出勤していたんだから、遅番だよ。

 それなら、まだ社内にいるはずだ。


 トッシー先輩がまだ会社内に残っているなら、それを理由に私も残業ができるぞ。

 ほくそ笑みながら私は共有スケジュールでトッシー先輩の予定をチェックする。


 スケジュール上では遅番になっているのだが、仕事の内容が、『飲み会の参加』になっていて、すでに退出していた。


 飲み会の参加が仕事っておかしいだろ!!

 心の中で叫ぶ。


 もちろん、私の心の声など届くはずもない。


「お疲れさまでした」


 私と同じ遅番の人達が雑談をしながら足並みそろえて帰って行くのを「おつかれさまでした」とあいさつを返して見送る。


 ああ、私以外の秘書課の人たちって、みんな仲がいいんだよな。


 それもそうか。

 多忙を極める秘書課にいる私以外の10人はここで何年も務めているのだ。


 結束しなければ、何年も務まらないもんな。


 あーあ、私も仲間に入りたいな。

 仲間に入るには、成果をださなければ!!


 そう、お荷物じゃないとアピールしないと、仲間に入れてもらえない。

 そのためにも、はやく仕事に慣れて、質と量をこなさないと!


 何か急ぎの仕事はないのか??

 残業しても申し開きができる急ぎの仕事は??


 パソコンをくまなく探すが、急ぎの仕事はない。


 はぁ、仕事がないなら、はやく帰らなきゃ。

 パソコンのシャットダウン時間と、1階のゲートの時間に30分以上ずれがあると、何をしていたか追及される。


 もしも、サービス残業だとばれたら、怒られるもんな。


 怒られて本社から追放されたら、仲良くなるどころじゃないし。


 晩ご飯どうしようか??

 スマホを取り出し、チェックする。


 あるのは、コンビニのお得クーポン情報だけで、ゲンからの連絡はなしか……


 東京に戻ってから、何回もご飯の誘いをしているのに、未読スルーとはどういう了見だ??

 久しぶりにあって、外食でもしようと思っていたのに。


 忙しいのかな??

 大学院2年生って、今の時期忙しいんだっけ??


 いやいや、まだ春休み中だから修士論文にさえ手を付けなければ、忙しくないはず。

 まさか、ゲン、修士論文に手をつけたのか??


 うん、それはない。

 嫌なことは後回しにするタイプのゲンが修士論文に手をつけるわけがないもの。


 ゲンのことだ。

 大方、パチンコで忙しいに決まっている。


 あるいは、スマホ料金の未払いで、スマホを動かせていないとか。

 うん、どちらもありうる。


 いずれにせよ、私のせっかくのお誘いをスルーされているのだ。

 ゲンとの晩ご飯は諦めなければならないな。


 さて、どうするか??

 近くのスーパーで食材を買って、自炊するか??


 週の初めで、晩御飯作るの億劫(おっくう)なんだよな……

 お昼御飯がゼリーだけでおなかもすいているしね……


 あ、そうだ、今日放送していた居酒屋さんへ行ってみようかな……

 いやいや、今日はダメだ。


 309号室の引っ越しのあいさつがある。

 直帰をしなければならない!!


 冷蔵庫には『ジャガイモ』と冷凍している『鮭』があったはずだ。

 買い物には行かずに、私は会社を出て家に向かってまっすぐ歩き始めた。

まとめ

加奈が仕事を終えて、会社を出る。

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