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超ひも♡理論君  作者: いたあめ(しろ)


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第12話 午前中のお仕事

12話 話はまったく進みません。

チャットを見るか見ないか悩むお話です。

 そうだ、このまま中を確認せずに放置してしまおう。


 赤字で書いてあるから気に留めていなかったけど、このメールは添付ファイルがつけられている。

 悪意ある人間がウィルスを仕込んで送っていたとしたら、情報流出にもなりかねない。


 そうだよ、もしかしたら、無闇やたらに添付メールを開けないための訓練かもしれない。

 うん、やはり最適解はメールを開けないことなのだ。


 私は自分で自分を納得させようとしていた。

 そう、このメールの送り主が秘書課の上司小山さんだということさえ除けば、開けないことが最適解なのだ。


 ああ、なぜに送り主が小山さんなのか……

 そうでなければ、絶対に開けないのに。


 直属の上司である小山さんからのメールなら、開けないわけにはいかない。

 うわー、開きたくない。


 だがしかし、目の前には、赤い色のフォントで【緊急・重要】の文字。

 この文字を見てしまったからには、未読のままでいいはずがないのだ。


 でも、開けたくないよ。

 心の中で葛藤する。


 その間にも刻々と流れていく時間。

 はたから見れば、画面を見つめたままフリーズしている給料泥棒に見えるだろう。


 そんなふうに思われたくはない。

 指先一つを動かせば添付ファイルは開くのだ。


 動け、自分の指!!

 せっかく本社に来たのに、メールを開けなかったせいで、すぐに支社に戻されたら指をさされて笑われてしまう。


 絶対に開けなければならないのだ。

 大丈夫。


 開けたところで、トッシー先輩が部長になりましたという情報が入っていなければ、何も恐れるに足りないのだ。


 トッシー先輩の名前がありませんように……心の中で願いながら小刻みに震える手で添付ファイルをダブルクリックした。


 中には、宴会部宴会部長の瀬尾 利訓という名前とトッシー先輩の写真。


 本当に宴会部はあったんだ!

 トッシー先輩はウソつきじゃなかったんだ!!


 ……なんて思っている場合じゃない。

 やってしまった。


 一気に頭が重くなる。

 私、トッシー先輩になんて言ったっけ??


『もしも本当にトッシー先輩が部長なら、何でもしてやる』的なことをトッシー先輩の前で豪語した気がする。


 もしも先輩が、俺の彼女になれなんて言ってきたら、私、付き合わなくちゃいけないの??

 いや、彼女になるだけならまだいい。


 彼女になったあげく、お前の給料は俺のものだ……とか、お前の家に住まわせろ……的なことを要求してきたら、私、ずっと先輩を養わなくてはいけなくなってしまうではないか……


 どうしよう……


 何でもしてやるなんて言ってしまったんだ……

 過去に戻れるなら、自分で自分を叱り飛ばしたい。


 もう、覆水盆に返らずだけど。

 私の人生終わった。

 いや、待て待て。


 このまま絶望して何も手につかなくなってしまったら、クビになってしまう。

 それこそ本末転倒。


 今までの努力が水の泡だ。

 トッシー先輩の件は一度保留にしてしまおう。


 トッシー先輩、記憶力が悪いから、私の発言は覚えていないかもしれないし。

 たとえ覚えていたとしても、変な要求はしないだろう……多分。


 まずは、仕事をしよう。

 まだ、メールしかチェックしていない。


 まずは、社内用のスケジュールで割り振られた仕事を確認し、優先順位をつけて、社内全員が閲覧できる予定表に今日一日の自分のスケジュールを打ち込まなければ。


 トッシー先輩のことを考えないようにするために、午前中はたくさんの仕事を割り振ってしまえ。

 そうすれば、午後から少し空いた時間ができるはずだ。


 その空いた時間でトッシー先輩のことを考えればいい。

 さすが、私。


 パーフェクト・プラン。

 私は自分で自分を褒めて、午前中のお仕事に取り掛かった。


 …………

 ……


 よし、予定通り、午前のお仕事はこれで終わり。

 パソコンの右下にある時計を見る。


 時間は12時58分。

 遅番の休憩は13時からだから、昼休み2分前。


 計画通りに終わらせることができたけど、さすがに疲れた。

 先輩のことを考えないためとはいえ、午前に多く割り振り過ぎた。


 腕を組んで伸びをする。

 おなかがぐーとなった。


 他の人に聞こえなかったよね……


 隣を見ると、人はいなかった。

 良かった。


 席に戻っていないということは中番でお昼休憩中か……

 2つとなりの人はリモート会議の準備なのか、ヘッドホンをしているし。


 さすがに3つ隣の人まで私のおなかの音は届かないだろう。

 安心してパソコンの時計をみると、12時59分。


 13時になるのを待たずして、お昼休憩に入っても、罰は当たらないだろう。

 お昼ご飯はどうしようか??


 弁当は持ってきていないから、やはり、20階にある社員食堂かな。


 昨日は会社から入社記念のお弁当を自分のデスクで食べたので、食堂は使わなかったから、約半年ぶりだ。


 とっても楽しみ。

 今日の日替わりランチは何だろう??


 肉かな??

 魚かな??


 ルンルン気分でパソコンをスリープモードにしようとすると、ポンとチャット着信の画面がでてきた。


 誰だよ??

 人がせっかくルンルン気分で休憩をとろうと思ったのに……


 パソコン右下のデジタル時計は12時59分。


 まだ13時ではないのか……

 どうする??


 もうすぐ休憩時間だし、気づかなかったことにするか??

 いや、社内チャットでの連絡とはいえ、急用の場合もある。


 まだ12時59分ならば、中身を見ておくべきだろう。

 後で難癖をつけられても嫌だし。


 仕方なく、私はチャットをクリックした。

 どうやら、トッシー先輩からのメッセージのようだ。


 私が遅番で13時から休憩時間だと知っているはずだが、こんなギリギリの時間にいったいなんの用だろう??

まとめ

添付ファイルは開けるし、チャットもみます。

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