36.こっちへおいで
■36.こっちへおいで■
【リリース】:最終幕九席
【作詞】:ポメロ
【作曲】:ポメロ
【V.】:ポメロ
【熱情の名前】:恋情
【熱情の形状】:真っ赤なシーツ
【内容】:
曲について熱に浮かされるように語るポメロ氏の様子と、
歌詞の内容がおぼろげに伝わるのみで、
公式発表はおろか、身内へのお披露目すら
一度も行われたことのない、幻の曲。
故に、良し悪しの評価も楽曲の解説もできないのだが、
ポメロ氏自身はこの曲を『最高傑作』と自認していたようだ。
だが、その日その場でスコアを破り捨ててしまい、
以後、この曲が話題に上がることはなかったという。
同席したメンツも硬く口を閉ざしており、
ポメロ氏の奇行についての理由を伺い知る事すらできない。
一説によれば、作曲に行き詰まり、
精神的に追い込まれてしまったポメロ氏が、
ありもしない作品を出来たと思い込み、
白紙のスコアを自慢げに公開して……
仲間の反応から、最高傑作が幻想であったと気づいた。
故に破り捨てたのだとも。
成程、整合性もあり、
他のメンツが沈黙を保った理由も説明がつく。
論者もこの説を支持しようと思う。
【歌詞抜粋】:
♪―― きみの寝顔はぽかぽかだけど
♪―― そろそろ声が聴きたいな
♪―― この陽だまりはぬくぬくだけど
♪―― あの月明りも綺麗だよ
♪―― 僕はとっても欲張りだから
♪―― 昨日夢見たお昼寝が
♪―― 今日は物足りなくなっちゃった
♪―― だから こっちへおいで
♪―― だから この手を取って
♪―― 僕と一緒に お散歩に行こう
ポメロ25歳:
作曲しているときはね、
17歳だった少年のポメロはね、
余計なことは一切考えていなかったんだ。
ただ、リノの事を。
リノへの恋情の事を。
僕の想いを。
どうか報われて欲しいとの祈りを。
絶対に結ばれてやるとの意思を。
お散歩に誘うって決意を。
純粋に紡ぎ出していたんだ。
でも、今にして思えば。
恋情を、愛を。
リノに受け入れて欲しいその気持ちを。
歌詞にして歌に乗せちゃった。
その時点で、もう。
ただの恋するポメロじゃなくて、
表現者ポメロだったんだなって。
だからね、リノ。
聞いて欲しい。
いつかの『届いて』の歌と同じ。
言葉の無い、
心を編んだ、
僕のプロポーズを。




