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思わぬ所でレアな出会い、魔王と勇者は共に怒る

「しかし…物好きだよなぁ、奴隷商人の所に連れてくって知った後でそこに自分から行くなんてよ」



 馬車に揺られながら、コリンとアリナはゴロツキ達に囲まれていた。



 通常なら2人は連れて行かれていると思いがちだが、立場は逆だ。


 コリン達の方が彼らに道案内をさせているので、共にこうして馬車に同乗の状態。



「分かってるだろうけどさぁ、これで嘘の場所行って騙し討ちとかやったら…あんたらの人生が終わりだからね?」



「…!わ、分かってるっての!」



 睨みを効かせるアリナ、散々痛めつけられて恐ろしさを知ったゴロツキ達に脅しをかけておき、ちゃんと案内をさせる。



 馬車は東の方角へと進み、一行を運ぶ。




「(良いのかよ?このまま案内させたら俺達…)」



「(頭使え…!自分達から袋のネズミになってくれるんだ、総掛かりでやっちまえばいくらこいつらが強かろうが捕らえられるはずだろ…)」



 このまま案内させたら自分達の立場が危うい、かと言って案内しなければ命そのものが危機に晒されるかもしれない。


 天秤にかけた結果、ゴロツキ達は命の方を取っていた。



 だが従ってばかりではない。



 場合によっては袋のネズミとなった彼らを捕らえ、奴隷として捧げれば許してもらえるかもしれないという希望もあり、脅されながらも密かに悪知恵を働かせる。



「どうかしたの?」



「いやいや、こいつがトイレ行きてぇとかほざいて我慢しろと行って聞かせてやっただけだからよ」



「ああ、まあ腹がヤバかったけど…もうじきマルシャンに着くから我慢するわ」



 揉めてそうと話しかけて来たコリンに、ゴロツキ達は適当に誤魔化す。


 企みを此処で悟られては終わりだ。




 その時、馬車の馬が足を止める。



 どうやら目的地に到着したようで、コリンとアリナはゴロツキ達と共に馬車から降りた。



 既に町へと入って、人々の歩く姿が見える。



 人相の悪い男達の集団は目立つようで、皆が恐る恐るとチラ見しながらも避けるように遠ざかっていた。



「あんたら怖い存在なんだねぇ、まあ善良な市民からすれば恐ろしいから無理もないかー」



 ゴロツキからすればそれを言うアリナの方が怖い、という言葉が喉から出そうになるも、かろうじて飲み込んでいた。



「この町に奴隷商人、奴隷達が居るんだよね?何処?」



「ああ…こっちだ」



 マルシャンの町に着いてから、ゴロツキ達が先導して歩きコリン達を奴隷商人の元へと案内する。



 人々の恐怖と興味の混じった視線を浴びながら町中を歩き、大通りから外れて寂れた路地裏に入って行く。


 その通りで扉の前に立って腕組みをする、体格の良い男が居てゴロツキ達は彼の前で足を止めていた。



「よう、ご苦労さん」



「おう、そいつらは…新しい奴隷か?」



「まあな…苦労したぜ」



「それじゃあボスの所に届けて来い」



 軽く挨拶を交わした後コリンやアリナへ視線を向けると、男は右へと避けるように移動。



 入って良いようだ。



 扉を開けて中へ進むと、そこには下へと降りる階段があるだけで、それ以外は何も無いただの小部屋。



「こういうのは地下に一体どうやってそんな広い施設建てたんだよって感じの物があったりするんだよね〜」



「そうなの?」



「地上だと奴隷の声がご近所に聞こえて奴隷を扱う方にとって不都合だろうからさ、万が一の事を考えての地下かなって」



 ゲームをプレーしたり漫画を見てきて、奴隷が捕まっているシーンというのは目にしている。


 実際こんな施設を地下に作るなんて現代の工事技術も無い、ファンタジーの世界で似つかわしくないと思ったものだ。



 アリナが奴隷施設の知識をコリンに語り、長い階段を降りて行けば地下の施設に到着する。




 薄暗く、周囲は洞窟のようであり鉄格子の牢屋がいくつか見えた。



 牢屋には若い女性や子供が鎖に繋がれ、囚われている。


 女性は大体10代から20代、子供の方はコリンと同じぐらいの背丈、それより小さな子供まで居た。



 皆がすすり泣いたり力無く座り込み、自ら望んで奴隷となった訳ではない事が伝わる。



「ん?あれ…」



 その時、コリンは子供の中で気になる者を見つけて目に止まった。



 サラッとした金髪に可愛らしい顔立ち、半袖のシャツと短いズボンは共に白。


 男の子なのか女の子なのか分からない中性的な容姿だが、それより目立つ所が耳にあった。



 人よりも長く尖っていたのだ。




「ねえ、あの子と話せない?どうにかしてさ」



「分かったよ…」



 コリンはゴロツキの1人に話せるようにしろと見上げて言えば、牢屋の見張りに向かって近づいて行く。



「よお、此処代わるから休んどけよ」



「良いのか?わりぃなぁ、お言葉に甘えて一眠りしてくるわ、ガキや女の見張りも楽じゃねぇな〜っと〜」



 見張りの男に代わると言えば、鼻歌混じりに上機嫌で歩いて去って行った。


 これで此処はコリン達だけ、牢屋から出す事も出来るが外には見張りが居る、今のまま逃げ出したらそこで止まる事は確実だろう。



 なのでコリンは牢屋越しで尖った耳の子供へと話しかける。



「ねえ、君エルフだよね?」



 エルフと呼ばれ、子供は自分へ向かって笑いかけて来るコリンと視線を合わせた。



「(おお〜、可愛いエルフの子供!良いね、これぞファンタジー!)」



 ファンタジーの漫画やゲームを見て来てる中、エルフの姿は何度も見た事があった。


 それが今目の前に居て、アリナは脳内でエキサイト状態だ。




「大丈夫?何か酷い事されてない?」



「うん…」



 力無くではあるが、コリンの返事にエルフの子供は頷く。その白い肌に傷は特に無い。


 他の者は奴隷としての教育を受けたのか、所々に傷が見られる。



「…あれ、君…?」



 その時エルフの子供はコリンを見て、何かに気付く。



 コリンはそれを見て自分の右人差し指を立てて、自らの口に当てる。



「色々興味あるけど、すぐ終わらせて来るからね♪ちょっと待ってて」



 此処で長話はせず、コリンは待つように伝えてその場から離れた。




「これは来て良かったねー…そのままエノルム王国行ってたらあの子達を救うの誰も居なかったかもしれないし」



 牢屋に捕らえられた女性や子供達の姿を見て、アリナは奴隷商人に対して怒りが込み上がっている。



「本当そうだよ、こんな事は…許されないから」



 アリナだけではない、コリンも同じように怒っていた。



 自分の目指す世界で奴隷にするのはやってはいけない事、それをする愚か者は1人残らず懲らしめる必要がある。



 魔王と勇者は原因となった奴隷商人の所へと向かう。

此処まで見ていただきありがとうございます。


怒った魔王と勇者、これから先が気になる、この話を応援したいとなったら作品ブックマーク、☆のマークをポチッと押して応援いただけると凄い嬉しいです。


アリナ「此処までー!?まだボコる所まで行ってないのにー!」


コリン「それは後だね、とりあえず次の話の僕達にバトンタッチしよっかー」


アリナ「女性や子供捕らえてこんなんするのはもう最低野郎確定じゃーん!いっちょやったりますかー!」

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